パドルコントローラ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
パドルコントローラ(英: Paddle controller)とは、回して操作するための円形のツマミを備えたゲームコントローラのことである。単にパドル(Paddle)と呼ばれることも多く、「ツマミ」だけを指してパドルと呼ぶこともある。元々、パドルとは英語で卓球のラケットのことを指す言葉だが、卓球を模したビデオゲームである『ポン』を始め、ボールを打ち返すタイプのゲームに多用されたことから、この種のコントローラもパドルと呼ばれるようになった。
目次 |
[編集] 概要
パドルコントローラのツマミは主にゲーム画面上の一本の軸上を移動する物体(ボールを打ち返すための「パドル」など)を操作するために用いられる。 回転量を調整するデバイスとしてステアリングコントローラと目的は同一であり1976年にAtariがリリースしたアーケードゲーム『Night Driver』のAtari 2600の移植版では車のハンドルに見立てて使用するなどの例外はあるものの、パドルコントローラは基本的にはレーシングゲーム用のステアリングコントローラとは区別される。
[編集] 構造
ツマミを回すと基準の位置からの角度の情報が入力され、その角度の分だけ画面上の「物体」が動く。コントローラが十字キー、ジョイスティックの場合は指定した方向に画面上の物体やキャラクターが一定速度で進んでいくのに対し、パドルコントローラは回した分だけすぐに移動する。このように、パドルコントローラは画面上の物体とツマミの位置が一致する絶対位置的なコントローラであるといえる。その点において、十字キーやジョイスティックなどと対照的である。
初期のパドルはアナログ出力調整などに使われるボリュームを使用しており、回す方向の左右両側に端が存在するのでツマミは一定の角度まで(一般的に330°程度)しか回転させることができなかった。言い換えれば、それ以上に回そうとすると故障の原因になる。タイトーが1986年に発売した『アルカノイド』からは光センサーが使われた。これはパドルを回すと内部に入る光が変化し、光電導セルによって流れる電流が変わるもので、抵抗器式より壊れにくい、ゲームが始まるたび必ず操作対象(ラケットなど)が中央に来るという長所を持つ。以後アーケードゲームでは光センサー式が主流となった。
[編集] 採用された例
パドルコントローラは、複雑な操作を要求されない単純な内容が多かった初期のビデオゲームに多く用いられている。
初めて商業的に成功した家庭用ゲーム機であるAtari 2600は幾つかのゲームにパドルコントローラを対応させていた。また、VIC-1001(海外ではVIC-20)のような初期のパーソナルコンピュータにも用いられていた。携帯機では珍しいが、初のカートリッジ交換型の携帯ゲーム機であるMicrovisionに小さいパドルが搭載されていた。
また近年の例では、タイトーが2007年12月6日に発売した『アルカノイドDS【同梱版(ホワイト)】』に専用のパドルコントローラが付属している。