ハイウェイ・スター (楽曲)
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ハイウェイ・スター(英題:Highway Star)とは、ロックバンドディープ・パープルが作ったハード・ロック及びスピード・メタルの楽曲。「スモーク・オン・ザ・ウォーター」、「紫の炎」、「ブラック・ナイト」と並ぶディープ・パープルの代表曲。曲の長さは6分8秒。別テイクも存在する。
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[編集] 歴史
ハイウェイ・スターは1971年、ディープ・パープルがポーツマスへ向かうバスの中で生まれたとされる。1972年にリリースされたアルバムLP「マシン・ヘッド」の収録中、伝説の放火事件(詳細は「マシン・ヘッド」参照)により、安ホテルへと移動せざるをえない状況となったメンバーが、ローリング・ストーンズのモービル・ユニットを借りて録音したという逸話も残っている。
発表後はバンドを代表する一曲として、ライヴのオープニング・ナンバーに用いられていたが、特に第三期はアンコールにも使用されることが多かった。また、ライヴヴァージョンは数多く発表されており、ベストアルバムにも収録されていることがある。
[編集] 評価
この楽曲では、中盤部分に入るジョン・ロードのバッハのコード進行を引用したキーボードソロと後半のリッチー・ブラックモアの面目躍如たる速弾きギターソロが特に有名である。
バンドの代表格であるブラックモア、ロードはクラシック音楽の影響を非常に強く受けており、それまでにもロックとクラシックの融合を試みた経緯がある。そこで彼らはこの楽曲にもクラシックフレーズ導入を決意し、中盤部分でバッハのコード進行が遺憾なく発揮されている。このクラシックフレーズ導入は結果として成功し、パープル第三期の名曲「burn」でも、バッハのコード進行は引用されている。
そして、この楽曲最大の見せ場となるのが、リッチー・ブラックモアのギターソロである。可能な限りシンプルにまとめられながらも、緊迫感溢れるメロディアスな展開は、彼の面目躍如たるところである。最大の目玉となる超絶的な速弾きが後進ギタリストに与えた影響は計り知れない。
リッチー・ブラックモアのギターフレーズは、ギタリストとして必要最低限のギターテクニックが多く含まれているとされ、この楽曲にもそれは当てはまることから、ヘヴィメタル分野での教則本では、この楽曲が掲載されることが非常に多い。それでなくても速弾きのインパクトが絶大であったため、ギターを手にした者ならば、その多くがこの楽曲の速弾きをコピーしたとされる(特に日本ではパープルの人気が非常に高く、それが顕著であったといわれる)。発表後三十年以上の時がすぎているものの、この楽曲がギタリストとしての登竜門的な存在であることに変わりはない。
補足としての掲載ではあるが、、海外の最もすごいロック・ギターのソロ[1]では、このハイウェイ・スターのギターソロが8位にランク付けされるなどしている。
長年パープルのライヴでハイライトになっている楽曲とあってか、多くの名演奏も生まれている。第二期の来日公演を収録したライヴ・イン・ジャパンでの演奏はまさに鬼気迫るものがあり、即興演奏を得意とした彼らの壮絶な演奏をきくことができる。
なお、ライヴでは、キーボードとギターの各ソロはほぼ即興で行われることもあってか、その時のメンバーの状態によって演奏の質も長さも若干変化する。気難しいリッチーの場合はそれが顕著で、テンションが高い場合は神がかり的な演奏を披露するものの、機嫌が悪い状態では投げやり的でかつ時間が短いソロになることもしばしばである。
[編集] カバーバージョン
これまでこのハイウェイ・スターは、数々のバンド、アーティスト達からカバーされている。その中にはフェイス・ノー・モア、メタル・チャーチ、アルター・ブリッジ、ドリーム・シアター、クワタバンド(桑田佳祐バンド)が含まれており、多くはCDに収録されている。また、シンプソンズなどのアニメやゲームソフト中にも、この曲のカバーが部分的に収録されるなどしている。また、日本語直訳ロックの王様が『高速道路の星』という曲名でカバーしている。