ノルウェーの森
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ノルウェーの森 (ノルウェーのもり、Norwegian Wood (This Bird Has Flown)) は、ビートルズの1965年のアルバム『ラバー・ソウル』収録の楽曲。ジョン・レノン作による、アコースティック・ギター中心のナンバー(コンポーザー名義は「レノン&マッカートニー」)。リードヴォーカルおよび、アコースティック・ギターはレノン、バッキングヴォーカルはポール・マッカートニー、シタールはジョージ・ハリスン。
アルバム『ザ・ビートルズ・アンソロジー2』には別バージョン(お蔵入りになっていた第1テイク)が収録されている。
歌詞内容についてレノン自身は、ローリング・ストーン誌やプレイボーイ誌のインタビューで「当時の妻シンシアに気付かれないように、他の女性との浮気をかいたもの」と説明している。一見ふられたような歌詞にも受け取れるが、「it's time for bed(ベッドへいきましょう)」の後の間奏の間に情事があり、その後の歌詞は情事の後の会話として受け取ることもできる。
音楽的には、シタールの使用や、メインメロディー部分のEミクソリディアンモード(移動ドで、ドレミファソラ♭シの旋法)と、ポールのバッキングヴォーカルが重なってくる部分のEドリアンモード(移動ラで、ラシドレミ#ファソの旋法)のモードチェンジが特徴である。
[編集] 『森』か『家具』か
原題の“Norwegian Wood”が何を意味するかについては諸説あり、この点をとらえて、『~の森』とするのは誤訳ではないか、との指摘も見られる。ただし、英語圏の人もその意味は『ノルウェーの森』だという人と『ノルウェー製の家具』だという人に別れる。
- サブタイトルに『This Bird Has Flown(鳥は飛んでいった)』と森を暗示してあること、woodは単数でも「ひとつの森」という意味があること。
- 歌詞に出てくる女性の部屋には、ノルウェー製の家具があったという意味にもなること。
- (当時のヨーロッパでは北欧産の安い家具が大量に流通しており、女性がそれを自慢する程度の、陳腐でさして裕福でもない人物であることを婉曲に表現したとされる)
これは、どちらが正解ということではなく、どちらとも受け取れる曖昧さを、言葉遊びが好きなレノンが使ったと考えることもできる。
また、レノンが最初に書いた歌詞は“Isn't It Good, Knowing She Would?”(彼女がやらせてくれると分かっているのはステキだろ?)だったが、あまりにもそのままなので語呂合わせで“Norwegian Wood”に変えたもので、タイトル自体には深い意味はないという説もある。これは村上春樹が、真偽のほどはともかく、とあるパーティーで、ジョージ・ハリスンのマネージメントオフィスに勤める女性から「本人から直接聞いた話」として教えてもらったと、村上自身が著書で披露している。
なお、レノン本人は1980年のプレイボーイのインタビューでは「どうして "Norwegian Wood" という言葉を思い付いたかわからない」とその由来を忘れてしまっている。
ちなみに邦題はの付け方は「意味をとり間違えた」と訳者がコメントしている。。