ネコザメ
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?ネコザメ | ||||||||||||||
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カリフォルニア産のホーン・シャーク |
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分類 | ||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||
Heterodontus japonicus Maclay & Macleay, 1884 |
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和名 | ||||||||||||||
ネコザメ | ||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||
Japanese Bullhead Shark |
ネコザメとは、ネコザメ目ネコザメ科に属する魚の総称。しかし、普通ネコザメといえば日本近海に生息するネコザメ Heterodontus japonicus 1種を指す。
ネコザメ Heterodontus japonicus (猫鮫、英名:Japanese Bullhead Shark、ジャパニーズ・ブルヘッド・シャーク)は、ネコザメ目ネコザメ科に属するサメの一種。性格はおとなしい。底生性で海藻類の群生地帯に住み、硬い殻を持つサザエやウニ、甲殻類などを好んで食べる。そのためサザエワリとも呼ばれる。茶褐色の縞模様と、背鰭の前端にある棘、丸みを帯びた吻などが特徴。日本近海の暖海域にのみ生息する。
成長すると体長1.2m になる。体型は円筒形で、薄茶色の体色に焦げ茶色の太いストライプが入る。吻は尖らず、眼の上に皮膚の隆起がある。この眼上隆起を和名ではネコの耳に、英名ではウシの角に見立てている。背鰭は2基で、いずれにも前端に鋭い棘を備える。これは攻撃用というより防御用で、とくに幼少期に大型魚の捕食から逃れるのに役立っている。歯はネコザメの大きな特徴であり、ほとんどの歯が癒合(ゆごう)して巨大な臼歯状の歯を形成している。これでサザエなどの硬い殻を噛み砕くのである。日中は海藻や岩の陰に隠れ、夜間に餌を求めて動き回る夜行性である。泳ぐのはあまり速くなく、地を這うようにして移動する。
卵生。比較的大きな卵を少産する。卵は螺旋状のひだのようなものが取り巻き、一目でそれと分かる。子どもは卵の中で20~30cm の大きさまで成長し、殻を破って外に出る。
水族館でよく飼育され、日本の海でも普通に見られる。気性は非常におとなしく、人間を襲うことはない。観賞魚として、個人の家庭で飼われることもある。一般的に食用にはしないが、湯引いて酢味噌につけて食べる地方もある。探偵!ナイトスクープではこのネコザメがかかわった依頼がDVD化されている。
[編集] 近縁種
ネコザメ科 Heterodontidae はネコザメ属 Heterodontus 1属のみ。ネコザメ属にはネコザメ含め、以下の9 種が知られている。いずれも2基の背鰭に棘を備え、大きな臼歯をもつ。太平洋の西部および東部の沿岸海域、島嶼周辺海域に生息する。体色は地域差が大きい。
- シマネコザメ H. zabra (Gray, 1831)(縞猫鮫、英名:Zebra bullhead shark、ゼブラ・ブルヘッド・シャーク)
- 体長1m 。日本からオーストラリアにかけての、やや深い海に生息。ネコザメと比べて背鰭が大きく、縞が細くて多い。
- ポートジャックソンネコザメ H. portusjacksoni (Meyer, 1793) (英名:Port Jackson shark、ポート・ジャックソン・シャーク)
- 体長1.6m 。オーストラリア近海に生息。独特の縞模様が特徴。
- Horn shark(ホーン・シャーク) H. francisci (Girard, 1855)
- 体長1.2m 。カリフォルニア沿岸からメキシコ沿岸にかけて生息。縞模様と黒い斑点が多数ある。
- Crested bullhead shark(クレステッド・ブルヘッド・シャーク) H. galeatus (Günther, 1870)
- 体長1.5m 。オーストラリア近海に生息。眼の上の隆起が発達する。
- Mexican hornshark(メキシカン・ホーンシャーク) H. mexicanus Taylor & Castro-Aguirre, 1972
- 体長70cm 。コルテス海からチリ沿岸にかけて生息。体全体が暗色。
- Oman bullhead shark(オマーン・ブルヘッド・シャーク) H. omanensis Baldwin, 2005
- Galapagos bullhead shark(ガラパゴス・ブルヘッド・シャーク) H. quoyi (Fréminville, 1840)
- 体長60cm 。ペルー沿岸からガラパゴス諸島周辺海域に生息。ネコザメ科の中では小さく、黒ぶち模様が特徴。
- Whitespotted bullhead shark(ホワイトスポッテッド・ブルヘッド・シャーク) H. ramalheira (Smith, 1949)