トーマス・セイヴァリ
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トーマス・セイヴァリ (Thomas Savery、1650年頃-1715年)はイギリスの発明家である。1698年に蒸気機関の特許を取得した。
はじめ、船舶用の装置に興味を持っていたが、ポンプの考案を始めた。1698年6月2日、鉱山から排水する初期の蒸気機関の特許を取得した。1698年国王の前で実験に成功し1698年7月に特許を取得した。1701年、彼は特許の有効期間の延長を申請した。その結果、1733年まで21年の延長が認められた。セイヴァリが「鉱夫の友」('miner's friend')と命名したこのポンプはピストンを用いず蒸気の圧力による排水を行い、蒸気の凝集による負圧による揚水を繰り返すものである。この装置自体はまだ技術的に未熟なものであり、常に誤作動や爆発の危険を抱えていた。しかし、セイヴァリがこれによって取得した特許の範囲は火力によって、揚水する装置という極めて広いものであった為、1712年にトーマス・ニューコメンがより先進的な蒸気機関を開発したが、セイヴァリの特許を使用しなければならなかった。ニューコメンのエンジンは高圧の蒸気に起因する危険を避ける為、大気圧で作動していた。ピストンを使用するアイディアは1690年にフランス人のドニ・パパンによって発明されていた。
セイヴァリの揚水装置を基にしたいくつかの揚水装置が考案されたが、最も成功したのは2つの気室を持つPulsometer steam pumpだろう。