デビルズ・ダイス
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『デビルズ・ダイス』はいとうのぶき著、佐嶋真実イラストのライトノベル。角川スニーカー文庫より、2008年4月現在既刊2巻。
目次 |
[編集] あらすじ
義母とその内縁の夫に虐げられる毎日を送っていた高校生、白川才(しらかわ さい)。――カネを稼いでこの家を出て、姉さんと二人で暮らす。そう強く願う才はある時、考古学者であった父が遺した研究ノートに書かれていたデビルズ・ダイスを手に入れる。それをきっかけに、彼の人生は大きく変わることとなった……。
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[編集] デビルズ・ダイス
各辺10mmほどの黒いサイコロで、2つで1組。古代の遺跡(作中、インダス文明の遺跡かもしれない示唆がされている)から発掘されたとされている。この物語の中核をなす重要なアイテム。
- 天のダイス
- デビルズ・ダイスの片割れで、6つの面にはそれぞれ赤い字で《 》(空白)《2》《3》《4》《5》《6》と記されている。
- 地のダイス
- デビルズ・ダイスのもう1つのほうであり、天のダイスと同じような外見。書かれているのは《 》(空白)《1》《2》《3》《○》《×》。
デビルズ・ダイスの一番の特徴は『数字を確実に透視できる』という能力にある。使用者が「あの数字を知りたい」と念じつつデビルズ・ダイスを振ると、ダイスは目の組み合わせで0〜9までの数字を表すことで、その数字を使用者に教える。デビルズ・ダイスの教えた数字が外れることは絶対にない。2桁以上の数字を透視する場合は何度かデビルズ・ダイスを振れば、上の桁から順に知ることができる。何らかの事情で透視ができない場合や、透視すべき数字の最後の桁まで示した後さらにダイスを振ったとき、ダイスは止まる前に持ち主の手元に自力で戻ってくる。
また「7」のように数通りの表し方がある数字の表し方は、使用者の決定に従う。つまり、《6》と《1》で「7」を表す、と決めてダイスを振れば、《4》と《3》、《5》と《2》などの組み合わせは絶対に出ない。
透視できる数字は「4択問題の正解の番号」「銀行の口座番号」「パスワード」など、数字であればほとんど全てを透視でき、未来における数字も絶対にはずすことなく透視(予言)できる。唯一透視できないのは「人間の死亡予定時刻」だが、これも何らかの条件を満たすことで透視できるようだ。
アルファベットやひらがなも、数字に対応させることで透視が可能。他にも使い方次第でさまざまなことを知ることができる。
地のダイスのみをつかった、物事の○×判定もできる。その際、「誰々は今金を持っているか」など抽象的な質問にはダイスは答えない(この場合だと、金を持っているというのが財布に金を入れているということか、それとも固定資産などまで含めるのかが曖昧である)。「誰々の銀行預金は現在1000万円以上か」など具体的な質問には《○》と《×》での正誤判定がでる。これを使えば、考えられる可能性すべてに対して○×判定することで、より詳細な情報を手に入れられる。
現在、デビルズ・ダイスは才が持つ2つのみ登場しているが、奈良の正倉院にさらなるデビルズ・ダイスかもしれないものがある。それに関しては詳しいことは不明。
[編集] 『財団』
デビルズ・ダイスを狙い、才を追う巨大組織。その根は広く、警察の上層部に働きかけたり広域暴力団を自由に動かしたりすることができ、人一人ほどの死であれば隠ぺいすることも可能。たくさんのセクションに分かれており、それぞれ兵器開発などを多岐にわたって手がける。
『財団』の最終目標は「地球全体を管理し、コスモス(秩序)へ導く」こと。これは現在のみを考えたものではなく、たとえば各国首脳に働きかけ紛争を起こすことも、兵器技術の進歩や人口の削減という観点から、大局的にはコスモスなのだ、というのが『財団』の主張である。
才を追っているのは『財団』の中の古代文明を研究するセクションの一つ、デビルズ・ダイス対策室という部署。
[編集] 登場人物
- 白河才(しらかわ さい)
- 頭脳明晰な高校生。クールで容姿端麗なので、彼に好意を抱く女子も多い。唯一の苦手科目は体育。スリルを楽しみ、それが危険であればある程快楽を感じる。
- デビルズ・ダイスを手に入れたことで、少しずつ合理的判断のみで行動するようになり、やがては人を殺すことすらためらわなくなる。その悪魔的な頭脳で、先の先を見越して二手三手先を行く行動をとり、彼を邪魔するものを次々と打ち破る。
- 「黒川戒」(くろかわ かい)と名をかえ、広島で暴力団の協力を得ることで、『財団』の強大な組織力への対抗手段を手に入れた。その後は奈良に向かった模様。
- 山寺法地(やまでら ほうじ)
- 才の同級生であり、幼馴染、親友。山寺総合医療センターの御曹司。彩に思いを寄せる。優等生な才とは対照的に、いわゆる不良のような格好をしている。
- 天性のカンに優れ、その的中率はかなりのもの。また成績は悪いが、論理的思考ができないわけではない。
- 才とともにデビルズ・ダイスによって得た快楽に浸るが、才の行動がエスカレートするに従って良心の呵責を覚えるようになる。そして彩とともに才からデビルズダイスを奪い、破壊しようとするが失敗、逆に殺されかける。そして才と「友情のためにお互い全力で潰しあう」という約束を交わした。
- その後、デビルズ・ダイス対策室の面々と行動を共にし、才を殺しデビルズ・ダイスを破壊するため死力を尽くす。
- 才によって、顔の左半分および左腕から肩にかけて重度のやけどを負った。さらに治療の際、『財団』によって左腕に高性能爆弾が仕掛けられた。
- 白河彩(しらかわ あや)
- 才の姉で、法地ともからの友人。才と似た顔立ちの美人で、高校でもファンが多い。
- 嫌とは言えない性格であり、家では虐げられながらも健気な姿を見せていた。だが才からデビルズ・ダイスを奪い、破壊すると決めた時には、毅然とした態度も見せた。だが才の策略によってデビルズ・ダイス破壊は失敗に終わり、才の罠で命を落とす。
- 笠原悠里(かさはら ゆうり)
- 中学生ほどの少女だが、デビルズ・ダイス対策室の責任者を務める。とはいえ、本職はまた別の部署である。「笠原悠里」の名前は今回の作戦のための偽名。
- 任務中は髪をおろして「戦闘モード」になる。戦闘モードのときは冷酷かつ正確な判断を下す有能な指揮官である。だが普段の生活では髪をポニーテールにして、年相応なテンションの高い言動や行動をする(志々野いわく「通常モード」、法地は「お馬鹿モード」と称した)。これは彼女の指揮官としての信念に基づくもので、本人いわくどちらが演技でどちらが本物ということではないとのこと。
- 志々野孝文(ししの たかふみ)
- デビルズ・ダイス対策室所属。かつては責任者だったが、部下3人を才に殺され降格。『財団』の序列は絶対なので、悠里に頭が上がらない。どちらかというと、指揮官より研究者向きの性格。
- 普段は温和だが、才に対しては強い恨みを持っている。
- 白河和歳(しらかわ かずとし)
- 才と彩の父で、考古学者。『財団』の助けを借りてデビルズ・ダイスを発掘するも、それをひそかに自分のものにする。デビルズ・ダイスの力を調べた結果、これは封印されるべきだとの結論に至り、山寺憲正の協力を得て、天のダイスは才の、地のダイスは彩の体内に埋め込むことで、デビルズ・ダイスを封印した。
- だがその後も、デビルズ・ダイスを使った博打の味が忘れられなかったのか、ギャンブル漬けになり、自殺した。だがこの死は『財団』の謀殺である可能性がある。
- 白河珠菜(しらかわ たまな)
- 和歳の再婚相手であり、才たちの義母にあたる。才たちが小さかった頃から母として二人を育ててきた。実は『財団』のスパイ。
- 才によって殺され、岡本哲也殺害の犯人に仕立て上げられる。
- 岡本哲也(おかもと てつや)
- 珠菜の内縁の夫。才と彩を虐げている張本人。女癖が悪く彩をも欲望の目で見ていた。才の手によって死亡。
- 山寺憲正(やまでら まさのり)
- 山寺総合医療センターの院長で、法地の父。和歳とともにデビルズ・ダイスで稼いだ金を、政治家などに献金して、かつては小さい医院だった山寺クリニックを大きな医療センターにまでした。
- 加茂香奈(かも かな)
- 才たちと同じクラスで、あだなはカモカモ。才に心を寄せていたが、才はそれを『財団』に対する隠れ蓑として利用した。
- 浅倉信哉(あさくら しんや)
- 広島の暴力団、浅倉組の組長の息子にして、カラーギャングブラッドのリーダー。ブラッドが解散寸前にまで追い込まれたときに、黒川と名を変えた才に出会う。その後は才の補佐によってのし上がり、付近一帯のカラーギャングを配下に入れ、浅倉組の若頭にまでなったが、最期は才によって殺された。
- 豪田寛次(ごうだ かんじ)
- 広島で強い勢力を持つ暴力団の一つ、豪田一家のボス。才と手を組んで、広島の他の暴力団を壊滅に追い込み、その見返りとして彼に武器と戦闘員を貸し与える。
以上で物語・作品に関する核心部分の記述は終わりです。
[編集] 関連事項
- アルベルト・アインシュタイン--「神はサイコロを振らない」という言葉が有名。1巻の冒頭でそのエピソードが引用され、またこの言葉が1巻のサブタイトルとなっている。
[編集] 既刊一覧
- 神はサイコロを振らない ISBN 978-4-04-473501-2
- 悪魔はサイコロと嗤う ISBN 978-4-04-473502-9