テリジノサウルス
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?テリジノサウルス | |||||||||||||||||||||||||||||
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全身骨格図 |
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||||
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種 | |||||||||||||||||||||||||||||
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テリジノサウルス(Therizinosaurus)は、白亜紀後期にモンゴルに生息していた恐竜の一種。名前は「刈り取りをする爬虫類」を意味し、前肢の巨大なツメを刈り取り用の大鎌に見立てた命名と推測される。因みに種小名のcheloniformisは「カメのような姿の」と言う意味で、後述の前脚化石と共に幅広の肋骨化石が見つかり、カメのような姿に復元された事に由来する。推定全長8~11m。「テリズィノサウルス」、「ティリジノサウルス」とも呼ばれる。
1948年に、2メートルもの巨大な前脚が、不完全な後脚、幅の広い肋骨と共に発見された。その腕についたかぎ爪は70センチにも達し、生存時は90センチに達したと見られている。この巨大な前足から、当初は超巨大肉食恐竜であるとか、幅の広い肋骨からカメのような姿の復元をされたり、またアリクイのように巨大なツメで昆虫を掘り起こして食べる恐竜と考えられていたこともある。復元された全体像は驚くほど奇妙なもので、頭部は古竜脚類に似ており、骨盤は竜盤類と鳥盤類の特徴の混ざったものである。後肢はそれほど長くなく、前肢が長く発達しているという類を見ない体型をしている。
その後、1988年のアラシャサウルスのほぼ完全な骨格の発見により、その正体がようやく明らかになった。テリジノサウルス自身は獣脚類ではあるが、動きの鈍い植物食恐竜であったと見られている。後肢は4本指を接地させて歩くが、普通獣脚類は3本指を接地し歩行し、4本目の指は退化する傾向にある。しかしテリジノサウルスの場合、原始的な種であるベイピアオサウルスでは4本目の指が退化したままであり、進化の過程で再び4本目の指が発達していったものと考えられる。この種には原始的ながら羽毛があった痕跡が残されていた。
ちなみに、テリジノサウルス科に属する恐竜は側面に腕を広げる、鳥が羽ばたくような動きも可能な腕構造を持っていたが、なぜ腕を側面に広げる進化を遂げたのかはよくわかっていない。また、食性についても植物食であるという直接の証拠は少なく、魚食性であったとする説もある。
[編集] 系統関係図
- 恐竜 dinosaur
- 竜盤類 Saurischia
- 獣脚類 Theropoda
- テタヌラ類 Tetanurae
- コエルロサウルス類 Coelurosauria
- アルクトメタターサリア類 Arctometatarsalia
- テリジノサウルス類 Thurizinosauridae
- アルクトメタターサリア類 Arctometatarsalia
- コエルロサウルス類 Coelurosauria
- テタヌラ類 Tetanurae
- 獣脚類 Theropoda
- 竜盤類 Saurischia