タブキー
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タブ (tab) は、タイプライターやワードプロセッサなどで、文書の途中で、縦横をそろえるために基準線を設け、その基準線までの間に空白を取ることを言う。縦をそろえるために縦に基準線を引き、ここまで右方向に空白を取ることを水平タブ、横をそろえるために下方向に空白を取ることを垂直タブという。tabはtabulator(tabulateは「一覧表にする」の意)の略語である。
なお、これらの説明は英語や日本語で行われる横書き文書(右へ字送り、下へ行送り)を基準に行う。日本語の縦書き(下へ字送り、左へ行送り)などでは、縦横、上下左右などが入れ替わるが、読みやすく説明するため、原則としてそれへの言及は省略する。
[編集] 水平タブ
行の途中で縦をそろえるために、縦に1本ないし数本の基準線を設け、その基準線まで右方向に空白を設けることを水平タブ (HT) という。一般に、単にタブといえばこの水平タブのことを指す。
英文タイプライターでは、キーを打つと印字の直後に用紙を左に送り、次の印字に備える。すなわち用紙を基準に見ると、印字しようとする位置が右に1文字分ずれる。同様にスペースキー(スペースバー)を押すと、印字せずに1文字分ずれる。しかしタブでは、あらかじめセットしてある位置まで、数文字分一気にずれる。この機能は、表の作成や、字下げ(段落の最初を数文字分落とすこと)に使われた。
この機能は、コンピューターにも持ち込まれた。文字コード(コントロールコード)9(アスキーの場合。Unicodeにおいても同じ)が割り当てられ、タイプライター同様、QWERTY配列のキーボードではQの左隣にキーが置かれた。その実際の機能はアプリケーションソフトウェアによってさまざまであるが、多くのソフトウェアでは4文字ないし8文字ごとに基準線(タブ位置という)を設け、このコードがあるとその位置まで空白を空ける。ソフトウェアによってはタブ位置を自由に変更できたり、タブの直後を左揃えにそろえるばかりでなく、中央揃えにしたり右揃えにしたりする機能を拡張しているものがある。
タブは、通常の日本語文書や、欧文タイプライターのように、文字送り幅が等しい(等幅という)場合には、仮にこれがなくてもスペースを1個から数個置くことで代用できる。しかし、通常の欧文文書や一部の日本語文書のように文字送り幅が文字によって異なる(プロフォーショナルフォント)場合には、行の途中で縦をそろえるためにはタブが必須である。
[編集] 垂直タブ
垂直タブ (VT) には文字コード(コントロールコード)11(ASCIIの場合。Unicodeにおいても同じ)が割り当てられている。 プリンターでは縦方向に6行ほどずれる。コンソールでは桁位置を維持して改行する。