スーパー・ブラックオニキス
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スーパー・ブラックオニキスは、1987年に東京創元社より刊行されたゲームブック。 コンピュータRPG「ザ・ブラック・オニキス」を原作とする。 著者は鈴木直人、イラストは鏡泰裕。1987年12月24日初版、ISBN 4-488-90901-9。
なお、ファミリーコンピュータ用ソフト「スーパー・ブラック・オニキス」とは直接の関係はない。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
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[編集] 概要
最大の特徴は、主人公に加えて三人の仲間と共に冒険する、コンピュータRPG風のパーティプレイを実現している点。 通常、パーティプレイはプレイヤーの手間が増大するという弱点があるが、本作は管理する項目を最小限に抑え、特に煩雑になりがちな戦闘をシンプルなものにするなど工夫を凝らし、ストレスなくプレイすることが可能になっている。 また、パーティの仲間をある程度自由に選べる点も画期的といえる。
他方で、シンプルにしたとは言えゲームブックに慣れない読者にとってはやはり複雑で、初心者向けとは言い難い。 ある程度ゲームブックに親しんだ層を想定しているように見受けられる。
ダンジョンは街を含めても合計8フロアと、前作「ドルアーガの塔」と比較すると少なめだが、その分密度は非常に高い。 前作で披露した構成や演出の巧みさにはさらに磨きがかかり、本作をして鈴木直人の最高傑作とまで評価する声もある。
[編集] あらすじ
いつか英雄となることを夢見る若者テンペストは、ある戦で敗れてウツロの街に流れ着いた。 「呪われた街」と呼ばれるそこには、富と永遠の若さをもたらす秘宝「ブラックオニキス」が隠されているといい、それを探し求めて冒険者たちが集っている。 テンペストはブラックオニキスを求めるうちにやがて、街を覆う呪いが邪悪な司法官マサイヤによるものと知り、仲間と共にマサイヤに立ち向かっていくことになる。
[編集] システム
[編集] 日数制限
ゲーム開始時の日付は九月三十日となっており、ダンジョンを攻略する、宿屋で一泊する等のタイミングで一日ずつ経過していく。 十月二十日になるとマサイヤの野望が達成され、ウツロの街が魔界と化してしまい、その時点でゲームオーバーとなる。 ある程度日数が経過しないと発生しないイベントもいくつか用意されている。
[編集] ダンジョン
レベル1~レベル5の五つの迷宮と、最終ダンジョンとなるブラックタワーが存在する。 レベル1~3はそれぞれ一人用~三人用、レベル4以降は四人用となっていて、それぞれ必要な人数をそろえていないと挑むことができない。
これらのダンジョンは全てウツロの町内部にその入り口が存在し、条件さえ満たせば何度でも挑むことができる。 その際、宝物の類は繰り返し入手できないが、モンスターは復活しているので、経験値や金貨を稼ぐことができる。 ただし、ダンジョンに一回挑む毎に一日が経過するので、無限に稼げるわけではない。
レベル1~5の各迷宮には脱出路が用意されており、ウツロの井戸に通じる地下水路がそれである。 地下水路は流れが速く、脱出の際体力の残っていないメンバーは溺れて死亡してしまう。
[編集] パーティ
ウツロの街では基本的に主人公一人で行動するが、ダンジョンに挑む際には仲間と合流する。 また、酒場や宿屋などで合流することもある。
戦闘の際には、魔術師以外の三人が武器で戦い、その後魔法を選択する、という手順を踏む。
ダンジョン内であるメンバーが体力を全て失っても、戦闘に参加できなくなるだけですぐには死亡しない。 これは、会話の度に生死をチェックする不便を省いた上で、「死んだはずの仲間が突然しゃべり出す」矛盾を防ぐためである。 ただし、パーティの全員が体力を全て失うとゲームオーバーとなる。
前述の通り、体力を全て失ったメンバーは水路で脱出する際に溺れて死亡してしまう。 これは主人公も例外ではない。 死亡したメンバーを蘇らせるには、それぞれのメンバーに対応した「生き返りの薬」が必要になり、これはウツロや各迷宮で入手できる。 生き返るまではそのメンバーが必要になるダンジョンの探索はできず、また生き返る度に体力の上限が低下していく。
主人公が死亡したときに主人公用の生き返りの薬を所持していない場合、また主人公一人で行動していて仲間がそばにいない状況で死亡した場合は、ゲームオーバーとなる。
[編集] 仲間を選択
二人目と三人目の仲間については、二人目は三人いる盗賊の中から、三人目は同じく三人いる魔術師の中から、それぞれ一人を選んで仲間にする。 それぞれの仲間は、能力値やあらかじめ持っている道具などに違いがある。
選んだ仲間によって項目を分岐させると項目数が膨大になってしまうので、これを防ぐ手段として、誰を選んでも同じ名前になるようにし、基本的な性格も共通とした上で、要所要所で分岐させることで個性を表現している。
[編集] チェックシート
アドベンチャーシートには<A-1> <C-5>といったチェック用のマス目が用意してあり、これらをフラグ管理に用いる(例えば、鍵を拾ったときに<A-1>にチェックさせるとする。その鍵が必要となったときに<A-1>にチェックがあるかどうかで分岐させる)。
この方式は、例えば
- あなたは王冠と杖を持っているだろうか?両方あれば三三五へ、どちらか片方しかなければ一五六へ、どちらも持っていなければ三一一へ、それぞれ進め。
とすると、プレイヤーは即座に王冠と杖が必要になることを察知してしまう。 これを、
- <B-5>と<G-3>の両方にチェックがあれば三三五へ、どちらか片方しか……(以下略)
とすることで、ある程度情報を隠蔽しつつ分岐させることができる。
上記のメリットに対し、文面が無機質になる、誤記・誤植によって容易にゲームが破綻してしまう、等のデメリットも存在する。
[編集] マッパー
マッパーと呼ばれる、迷宮内で現在値の座標を表示する道具が冒険の過程で入手できる。 便宜上、マッパーを入手する前でも座標は示されるが、「BXAY」のように一見意味不明な文字列で表記されるため、実際に入手して使い方を知るまでは役に立たない。
[編集] 主な登場人物
- テンペスト
- バムブーラ
- 最初の仲間となる盗賊。太っちょ、長身、小柄な男の三人から選ぶことになり、後の者ほど能力が高く、より役に立つ発言をするが、日数が経たないと出現しない。どのキャラクターもお調子者だが、小柄な男以外には「臆病」、太っちょの場合は「大食い」という特徴が加わる。
- シモン
- マサイヤに囚われていた魔術師。老人、壮年、若者の三人から選ぶことになる。やはり後の者ほど能力が高いが、バムブーラと比べると明快な性能差と言うよりもメリット・デメリットを選択できるレベルである。またバムブーラと違いキャラクター毎の性格の差は特になく、いずれも寡黙な性格。
- タラミス
- マサイヤ打倒のため、僧会が呼び寄せた女戦士。聖職者としての力も持っており、祈りで仲間の傷を癒すことが出来る。黒騎士に捕まり火あぶりにされかかったところをテンペストたちに救われる。明るく屈託のない性格。露出度の高い鎧を着用しているが、この鎧はフルプレートメイルより防御力が僅か一点低いだけと言う優れた防御性能を誇る。
[編集] その他
[編集] 続編
続編をほのめかすような終わり方をしており、それを待ちこがれるファンは数多いが、2007年現在まで音沙汰はない。
なお、創土社より復刊予定(時期は未定)があり、仮題として「テンペスト1」と付けられている。 「1」という思わせぶりなタイトルに続編を期待してしまうのがファンの心理であるが、真相は不明である。
[編集] バグ
本作の初版本には、誤記・誤植による選択肢の不整合(プログラムのバグに当たる)がいくつか存在し、ゲーム進行を妨げている。 外部リンクの正誤表を参照。