スタンドイン
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スタンドイン (stand-in) とは、映画やテレビ番組において、照明の仕込み時に配光を確認するような技術的な目的のために、撮影の前に俳優の代理をする人物のこと。
[編集] 概要
スタンドインは、撮影現場の最初の段階で必要とされる。
照明の吊り込みが終わり、大道具など美術の配置が済んだら、セットの中にスタンドインが入り照明を当てる。その間、撮影監督やカメラ部門はシーンの照明の明かりの大きさと方向などを確認できる。ディレクターは、しばしばシーンにおける演技の動きをスタンドインに指示する。スタンドインがセットの中を行き交うのを見ながら、演技者の立ち位置やライトの見切れ、マイクの影などを確認し、照明スタッフは配光調整をししていく。このように、スタンドインは撮影現場をスムーズに進行させるために必要で大切なスタッフの一員である。
スタンドインは、俳優の代わりにカメラに映るボディダブル(英:body double)やスタントマンと区別される。スタンドインは、撮影時に映ることはない。しかしながら、いくつかの作品ではボディダブルあるいはスタントマンの仕事とスタンドインを同じ人物が行う場合もある。
スタンドインが俳優そっくりに見えなければならないという訳ではないが、照明プランどおりにシーンの中の照明が正しく組み立てられるように、俳優と同じ肌の色、同じ髪の色、同じ背格好が望ましい。例えば、実際の俳優より背が低いスタンドインで照明がシューティングされてしまったら、当の俳優が撮影されるときに顔の部分に照明がうまく当たらず暗く映ることになるかもしれない。また、画面のトーンを確認したいときは俳優と同じ肌の色や髪の色のスタンドインが必要である。
[編集] その他
- 演出上、照明に特に注文もなく、誰がやっても見当がつくような場合、手の空いてるスタッフがスタンドインを行う場合もある。
- 演出空間の雰囲気が特に重視される場合は、スタンドインなど意味がないとする向きもある。一方で、この俳優にはこのスタンドインという具合に重宝されているスタッフもいる。
- 俳優を入れたリハーサルを通じて照明の配光はさらに調整される。