スキナー箱
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スキナー箱(英称:Skinner box)は、アメリカの心理学者、行動科学者バラス・スキナーが開発した、主としてラットやハトのオペラント条件づけや行動研究に用いる実験装置である。研究内容からオペラント箱(operant chamber)とも呼ばれる。
スキナーはソーンダイクが研究に用いたネコの問題箱を参考にスキナー箱を開発したが、スキナー箱が現在の型になるまでの経緯はなお紆余曲折があった。
スキナー箱の卓越した点は、ラットやハトに応じてバーやボタンの形状を改良したのみならず、刺激と反応(バーやボタンを押した数)を、記録紙に自動的に記録されるようにした点である。これにより、実験記録の自動化が図れ、実験の効率や精度が高まっただけではなく、これまでの実験装置では発見できなかった、たとえば強化スケジュール(schedules of reinforcement)についての知見などが得られた。
以来、約半世紀に渡ってスキナー箱は最もポピュラーな条件づけ装置として世界中の心理学研究室や動物実験室で用いられている。
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[編集] 普及
スキナーは、1951年に、米国内外のいくつかの大学にスキナー箱を送るのと同時に、日本の東京大学にはラット用スキナー箱を、慶應義塾大学にはハト用スキナー箱を贈った。
しかし、体重統制や反応形成といったスキナー箱の使用についての基礎知識やオペラント条件付けの知識がまだ浸透していなかったために、動物を入れてもちっとも反応しないが故障しているのではないかという問い合わせがあったという。
[編集] 風評
スキナーの徹底的行動主義への反発か、スキナー箱については、およそ科学的でない風評が流れることがあった。
なかでも最悪のものは「スキナーは自分の娘をスキナー箱に入れて教育していた。そのせいで彼女は発狂してしまった」というものである。これはスキナーが開発したティーチング・マシンとスキナー箱の混同、オペラント条件付けへの反感などがない交ぜになったものである。
ローレン・スレイターは実際にスキナーの娘を取材し、このうわさが事実無根であったことを確認している。
[編集] 新世代装置の開発
なお、最近になってコンスタンツ大学のJ.D.デリウスらは、新しいタイプのハト用オペラント条件づけ装置を開発している。これはパネル本体をホームケージに取り付けて使用でき 、複数の視覚刺激を用いた実験を複数のパネルで並列的にコンピュータ制御するためのプログラムが用意されていることから、MPP(multistimulus, portable, and programmable) 条件づけパネルと呼ばれる。
[編集] 参考文献
- Skinner, B. F.(1956), "A case history in scientific method". American Psychologist, 11, 221-233.
- ローレン・スレイター『心は実験できるか―20世紀心理学実験物語』岩坂彰訳 (紀伊國屋書店,2005年)