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ジャーマン・シェパード・ドッグ - Wikipedia

ジャーマン・シェパード・ドッグ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ジャーマン・シェパード・ドッグ
ジャーマン・シェパード・ドッグ

ジャーマン・シェパード・ドッグ(英:German Shepherd Dog)は犬種名。この犬種は知的で、忠誠心と服従心に富み、訓練を好む性格から種々な作業犬として訓練が容易である。このため、救助犬・軍用犬警察犬麻薬探知犬など、特殊訓練を必要とする作業犬として使われている。また、ラブラドール・レトリバーゴールデン・レトリバーと同様、介助犬または補助犬(盲導犬)としても使われている。

目次

[編集] 体型

ホワイト
ホワイト

大きく、強く、ハンサムである。体毛はダブルコートで、ショートが主体であるが、ロングもいる(ただし、ロングは劣性遺伝子である)。毛色は多種あるが、大部分はクリーム(黄褐色)とブラウンである。他に、均一なブラックやアルビノでないホワイトも存在する。また、ホワイトのものはホワイト・スイス・シェパード・ドッグという別犬種としても繁殖されている。

股関節や膝関節に傾斜が見られ、後ろ足がカーブしている。このため、関節の病気になりやすい。股関節・肘関節に異形成のない犬種(イースト・ジャーマン・シェパード・ドッグ)もあるが、各国ケンネル・クラブからは認められていない。

[編集] 欠点

10-15%のジャーマン・シェパード・ドッグには、耳が完全に立ち上がらないものがいる(これらは friendly-tipped と呼ばれる)。ショータイプとしては失格の原因となる。

また、わずかながら、尻尾が垂直に立ち肛門が露出する場合がある。これも、ショータイプとしては失格の原因となる。

[編集] 性格

ブラック
ブラック

育ちのよいジャーマン・シェパード・ドッグは、力強いあごと歯を持ち、忠誠と服従の感情を表すことができ、攻撃とリリース(噛み付くのをやめさせる)命令を訓練することができる。育ちの良くない同種は、厄介な恐ろしい犬となるか、攻撃的な犬となるか、またはその両方になる。

この種は、本質的にはピット・ブルドーベルマンのように危険な犬と思われがちであるが、凶暴であるか攻撃的であるならば、それはしばしば育ちの悪さか悪い神経質の組み合わせ、またはブリーダーの訓練不足によるものである。この性格を訓練により効果的に利用することで、各種警備犬として使うことができる。しかしながら、たくさんのジャーマン・シェパード・ドッグは、攻撃的ふるまいが不適切な役割、すなわち検索犬や家庭のペットとしての役割を完璧にこなす。これは、忠誠心を備えていることと、縄張り意識が希薄であるためである。

この忠誠心が逆に作用することもある。ブリーダーが生意気な時期のうちに訓練までを終え、盲導犬として雇い主に引き渡すときに、分離トラウマを起こすことがある。これは、現在においては同種が盲導犬として使われない傾向にある理由の一つである。

[編集] 飼育上の注意

他の犬種でも同様であるが、ジャーマン・シェパード・ドッグにおいては、肘関節と股関節に異形成の傾向がある。他の健康問題としては、フォン・ウィルブラント病(en:von Willebrand's disease)と、皮膚アレルギーがある。また、太りやすい傾向もある。平均寿命は10-12年。

家が狭くても飼うことはできるが、健康上・精神衛生上の問題から、最低限でも1日2回、1時間程度の運動が必要。これを怠ると激しい作業に耐えうる体力・持久力をもてあますことになる。

上記のような気質から、ブリーダーがきちんと訓練したものでなければ、子供のいる家庭には向かない。また、初めて犬を飼う場合には不向きな犬種である。

[編集] 参考

German Shepherd Dog は、ドイツ語の Deutscher Schäferhund を逐語訳したものである。さらに日本語に訳すとなると「ドイツ牧羊犬」である。

第一次世界大戦時、ドイツ軍において伝令、弾薬運搬、陣地警備の軍用犬として使われていたこの犬の能力に感心したイギリスとアメリカの兵士が、家庭に連れて帰りペットとした。すぐにこの種はペットおよび作業犬として人気を得た。イギリスでは大戦後の反独感情からAlsatian (アルザス犬)と呼ばれ、今でもイギリス、アイルランド、英連邦各国ではAlsatian の別名が一般的。今日に至るまで、最も知的で融通が利く犬種の一つという評価がある。有名なシェパードとしては、ジョン・F・ケネディが飼っていたクリッパー(Clipper)、フランクリン・D・ルーズベルトが飼っていたメイジャー(少佐)(Major)、アドルフ・ヒトラーが飼っていたブロンディ(Blondi)などがいる。

[編集] 文献

  • Hank Whittemore and Caroline Hebard 『災害救助犬が行く』新潮社、1998年、ISBN 4-10-210711-8
  • グレーフェ・彧子『ドイツの犬はなぜ幸せか:犬の権利、人の義務』中央公論社、2000年、ISBN 4-12-203700-X
  • 志摩 不二雄『軍犬ローマ号と共に:ビルマ狼兵団 一兵士の戦い』光人社、2006年、ISBN 4-7698-2511-0

[編集] 外部サイト

ウィキメディア・コモンズ


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