シリウスの伝説
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『シリウスの伝説』(-のでんせつ)は、1981年公開のサンリオのアニメーション映画である。
『小さなジャンボ』、『親子ねずみの不思議な旅』、『チリンの鈴』などで、アニメーション製作を手がけたサンリオ映画製作部が、『星のオルフェウス』の次に製作した劇場用アニメーション。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
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[編集] 解説
製作当時としてもすでに珍しくなっていた、24コマ/秒のフルアニメーション、ハンドトレスで撮影された。また、これも当時の国産アニメーションとしては異例の、ワンキャラクター=ワンアニメーター制を採用するなど、前作『星のオルフェウス』の製作によって得た、アメリカのアニメーション製作のノウハウを生かしている。さらに、サンリオでは、アニメーションとしては当時初めての、フル編成のNHK交響楽団の演奏と映像の競演を、特に『シンフォニメ』と呼んだ。
内容はロミオとジュリエットを、火と水の世界に置き換え、さらに神話的な宇宙観の世界の中に構築した物語。良質なアニメーション映画であるが、公開当時は宇宙戦艦ヤマトなどのSFアニメが全盛で、劇場公開より公民館等での巡回上映に重きをおいた上映形態もあり、本作のようなアニメーションは興行的には、成功しなかった。
[編集] 物語
かつてこの地上には、真っ赤に燃える火と、もうもうと立ち込める水煙が一かたまりとなって渦巻いていた。火の女王テミスと水の王グラウコスはとても仲がよい姉弟だった。其れを嫉んだ風の神アルゴンが、二人に互いの陰口を吹き込んだ。今まで互いに信じていただけに、裏切られた思いの二人は、激しく怒り憎しみ合うようになり、テミスは陸に炎の宮殿を、グラウコスは海に水の城を築き、一族同士も決して会う事はなくなった。宇宙を支配する大神は、このいさかいの元を起こしたアルゴンに腹を立て、その力の源である目玉を抜き取り、アルゴン自身も海の底に閉じ込めた。
時が過ぎ、グラウコスよりアルゴンの目玉を授かった水の精シリウスとテミスの娘マルタは、偶然出会い、愛し合うようになるが、それぞれの王に見つかり捕らえられてしまう。なんとか幽閉から逃れ、「火と水がともに暮らせる星」に旅立つために、90年に一度飛び立つクライン草の咲くメビウスの丘に向かう二人・・・・。