シグマ (カメラ)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
株式会社シグマ(SIGMA Corporationは、日本の光学機器製造企業。神奈川県川崎市麻生区に本社を置く。旧社名はシグマ研究所。一眼レフカメラ用交換レンズが主力で、一般的にカメラ用レンズメーカーとして扱われることが多いが、一眼レフカメラなども製造している。 他メーカーが製品を次々と海外生産に移行するなか、全製品を国内(会津若松工場)にて生産する品質第一主義を貫いている。
なお、レーザー用レンズやプリズムなど実験・工業用光学機器を扱うシグマ光機株式会社(本社:東京都墨田区)とは、資本関係を含めて全く関係ない。
目次 |
[編集] 概要
多様なレンズを生産するとともに、他のレンズメーカーに先駆けて超音波モーターや手ぶれ補正機構などの技術を導入した。近年はデジタル一眼レフカメラ用レンズの開発に力を入れており、デジタル一眼レフカメラ用大口径標準ズームや超音波モーター搭載の標準レンズ(30mm F1.4 HSM)を開発している。また、フォーサーズ・システムに早期に賛同し、対応レンズを製造している。特に、ほかのカメラメーカーにはない独特な画角を持つレンズ(70mm F2.8 EX DG MACROや12-24mm F4.5-5.6 EX DG HSMなど)を作ることにより、ニッチ市場を狙うメーカーとして海外から評判されている。
過去、同社製レンズは逆光への弱さを指摘されることがあるが、近年開発されたデジタル対応レンズにおいては改善がみられ、一部のレンズは同クラスのメーカー純正レンズを上回る性能という記事やユーザの意見も多数見られるようになった。
[編集] 沿革
- 1961年9月:現 代表取締役 山木道広が自ら開発した35mm一眼レフカメラ用テレコンバーター(リアコンバージョンレンズ)を製造販売する目的で有限会社シグマ研究所を東京都世田谷区に設立した。
- 1965年11月:本社々屋を東京都狛江市岩戸南に移転。
- 1968年3月:現在の社名、株式会社に商号変更。
- 1970年11月:株式会社シグマに商号変更。
- 1973年11月:福島県猪苗代町に会津工場を完成(第一期)
- 1979年11月:シグマ初の海外進出としてシグマドイツを設立。
- 1983年2月:福島県猪苗代町に会津工場を完成(第二期)
- 1983年3月:本社狛江の新社屋が竣工。
- 1983年5月:シグマ香港設立。
- 1986年5月:シグマアメリカ設立。
- 1992年5月:シグマベネルクス設立。
- 1993年4月:シグマシンガポール設立。(現在は撤退)
- 1994年2月:福島猪苗代(会津)新工場完成。
- 1994年9月:シグマフランス設立。
- 2001年11月:シグマU.K設立。
- 2006年9月:東京都狛江市より現社屋の神奈川県川崎市麻生区に移転。
[編集] レンズ
[編集] 光学系による分類
- APO - 特殊低分散ガラスを採用し、色収差を補正したレンズ。
- EX - 高性能レンズ群。光学性能と操作性を向上させている。
- DG - デジタル一眼レフの特性に合わせたレンズ。35mm判対応。
- DC - デジタル一眼レフ専用レンズ。APS-Cサイズ相当の固体撮像素子に合わせて設計されており、より小型・軽量化が図られている。
[編集] 機能・駆動系による分類
- HSM
- ハイパーソニックモーター(Hyper Sonic Motor)
- 超音波モーター搭載レンズ。望遠系を中心に採用されているが、広角系であっても採用されていたり、望遠系であっても採用されていないものも存在しており、採用基準は不明。
- OS
- オプチカルスタビライザー(Optical Stabilizer)
- 手ぶれ補正機構搭載レンズ。
[編集] 対応マウント
以下に現在製造されているもののみ掲載する。
- キヤノンEF - HSMレンズあり。
- ニコンF - HSMレンズあり。
- ソニーα(コニカミノルタ/ミノルタα) - コニカミノルタ(ミノルタ)が超音波モーターの導入に踏み切ったのが終息期であったため、HSMレンズはなかったが、近年からの新型から導入することになった。ただし、レンズ駆動式オートフォーカスに対応していないカメラではオートフォーカスが作動しない。
- ペンタックスK - HSMレンズあり。コニカミノルタと同じく、レンズ駆動式オートフォーカスに対応していないカメラではオートフォーカスが作動しない。
- シグマSA - HSMレンズあり。
- フォーサーズ - HSMレンズあり。
[編集] レンズラインアップ
[編集] 広角単焦点レンズ
- 8mm F3.5 EX DG CIRCULAR FISHEYE
- 15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYE
- 20mm F1.8 EX DG ASPHERICAL RF
- 24mm F1.8 EX DG ASPHERICAL MACRO
- 28mm F1.8 EX DG ASPHERICAL MACRO
[編集] 広角ズームレンズ
- 12-24mm F4.5-5.6 EX DG Aspherical HSM - 現在生産されている35mmフォーマットSLRカメラ用のレンズとしては最広角レンズである。
[編集] 標準単焦点レンズ
- 50mm F1.4 EX DG HSM - 発売予定
[編集] 標準ズームレンズ
- 24-60mm F2.8 EX DG
- 24-70mm F2.8 EX DG Macro
- 28-70mm F2.8 EX DG
- 28-70mm F2.8-4 DG
[編集] 望遠単焦点レンズ
- APO 300mm F2.8 EX DG HSM
- APO 500mm F4.5 EX DG HSM
- APO 800mm F5.6 EX DG HSM
超望遠域のレンズを比較的安価に提供し、また、ズーム化することによって、消費者への敷居を下げている。特にレンズメーカーで500mm と800mmを製造しているのは同社だけである。
[編集] 望遠ズームレンズ
- APO 70-200mm F2.8 EX DG MACRO HSM
- APO 70-300mm F4-5.6 DG MACRO
- 70-300mm F4-5.6 DG MACRO
- APO 100-300 F4 EX DG HSM
- APO 120-300mm F2.8 EX DG HSM
- APO 120-400mm F4.5-5.6 DG OS HSM - 発売予定
- APO 150-500mm F5-6.3 DG OS HSM - 発売予定
- APO 50-500mm F4-6.3 EX DG HSM
- APO 300-800mm F5.6 EX DG HSM
交換レンズメーカーの中では最多のラインナップである。特に120-300mm F2.8 HSMは、世界初の300mm F2.8(通称:サンニッパ)ズームである。
[編集] マクロレンズ
- MACRO 50mm F2.8 EX DG
- MACRO 70mm F2.8 EX DG
- MACRO 105mm F2.8 EX DG
- APO MACRO 150mm F2.8 EX DG HSM
- APO MACRO 180mm F3.5 EX DG HSM
カメラメーカーも含めてこれだけの種類のマクロレンズを製造しているところは他にはない。また、他の単焦点広角レンズや標準ズームレンズで「マクロ」の名前が付いているものは、最大撮影倍率が1:4未満となっている。
[編集] 高倍率ズームレンズ
- 28-300mm F3.5-6.3
[編集] デジタル専用レンズ
- 4.5mm F2.8 EX DC CIRCULAR FISHEYE HSM
- 10mm F2.8 EX DC FISHEYE HSM
- 10-20mm F4-5.6 EX DC HSM
- 17-70mm F2.8-4.5 DC - ニコン用にはHSM付
- 18-50mm F2.8 EX DC - ニコン用にはHSM付
- 18-50mm F3.5-5.6 DC
- 18-125mm F3.5-5.6 DC OS HSM - 発売予定。
- 18-200mm F3.5-6.3 DC
- 18-200mm F3.5-6.3 DC OS HSM
- 30mm F1.4 EX DC HSM
- 55-200mm F4-5.6 DC
- APO 50-150mm F2.8 EX DC HSM
[編集] 一眼レフカメラ
[編集] M42マウント
ユニバーサルマウントのM42マウントを採用。
- シグママークI(SIGMA Mark I 、1975年発売) - シグマ唯一のM42マウント採用機。
[編集] Kマウント
ユニバーサルマウントのKマウントを採用。オートフォーカス化に伴い、独自のSAマウントへ変更された。
- Sa-1(ズームマン) - シグマ唯一のKマウント採用機。1984年発売。
[編集] SAマウント
物理的にはKマウントと類似している(厳密には異なる)が、信号伝達方式が変更されている。
超音波モーター、手ぶれ補正機構搭載レンズに対応。公称では視野率100%の機種は存在しないが、SD9とSD10には「スポーツファインダー」が採用され、実際に写る範囲外の部分も確認できるようになっている。
[編集] 銀塩一眼レフ
- SA-300(1993年発売)
- SA-300N(1995年発売)
- SA-5(1997年発売) - BlackモデルとSilverモデルがあった。
- SA-7(2001年発売)
- SA-9(2001年発売)
[編集] デジタル一眼レフ
撮像素子には光の三原色を1画素で捕らえることができるFoveon X3 イメージセンサーが採用されており、偽色の発生を抑え、鮮明で正確な色再現であることを謳っている。なお、Foveon X3 イメージセンサーを最初に採用したデジタルカメラはSD9である。
- SD9 - 同社初のデジタル一眼レフカメラ。有効画素数約1,029万画素。データ記録方式はRAWのみ対応。
- SD10 - 有効画素数約1,029万画素。データ記録方式はRAWのみ対応。
- SD14 - 有効画素数約1,406万画素。データ記録方式はRAW、JPEGに対応。
[編集] コンパクトカメラ
[編集] 銀塩コンパクトカメラ
- AF35D-TF(1987年発売)
- 35AFズーム(1989年発売)
- 28AFズーム(1990年発売)
- 50AFズーム(1990年発売)
- ズームスーパー70(1991年発売)
- ズームスーパー100(1991年発売)
- ミニズームマクロ105(1994年発売)
[編集] デジタルコンパクトカメラ
- DP1 - 世界初のAPS-Cサイズの撮像素子を搭載したコンパクトデジタルカメラ。有効画素数約1,406万画素(SD14に搭載のものと同じ)。データ記録方式はRAW、JPEGに対応。JPEG画像エンジンは「TRUE(Three-layer Responsive Ultimate Engine)」。発表から約11ヶ月もの間まったくといっていいほど情報が出なかったため本当に発売されるのかという不安の声もあったが、2008年3月3日にようやく発売となった。カメラグランプリ2008カメラ記者クラブ特別賞受賞。
[編集] アクセサリー
フラッシュやレンズフィルター、自社レンズ専用のテレコンバーター(1.4×,2×)などを製造。
[編集] フラッシュ
- EF-530 DG SUPER
- EF-530 DG ST
- EF-140 DG - DP1用のフラッシュだが、SA-TTLに対応しているのため、同社の一眼レフでも問題なく使える。
- EM-140 DG - リングフラッシュ
[編集] テレコンバーター
- APO TELE CONVERTER 1.4x EX DG
- APO TELE CONVERTER 2.0x EX DG
[編集] レンズフィルタ
- SIGMA DG UV
- SIGMA DG WIDE CIRCULAR PL
- SIGMA DG CIRCULAR PL