サハの電離公式
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サハの電離公式（さはのでんりこうしき）は気体の電離度を気体の温度、密度、イオン化エネルギーの関数として求めたものである。インドの物理学者メグナード・サハによって求められた。
X = ne / n を電離度（電離した分子の比率）とすればサハの公式は
とあらわされる。ここでT は温度、h は プランク定数 、 I は イオン化エネルギーである。
Ｘ＝１ は気体中の分子がすべて電離して中性分子がなくなった状態を示し、完全電離と呼ばれる。 上記公式から温度 T が充分に高いと完全電離になることが分かる。 これは構成粒子の運動エネルギーが充分に大きくてイオン化エネルギー I の壁を楽に乗り越え、かつ電離を起こす粒子間の２体衝突の頻度が高くなるためである。
一方この公式から、密度 n が充分に小さくなっても完全電離になることが分かる。 これはイオンと電子の再結合が起こるためにはエネルギーと運動量の保存のために３体衝突が必要であるが、密度が充分小さくなるとその頻度が２体衝突の頻度に比べて極めて低くなり、電離した粒子が中性分子に戻れなくなるためである。 このため、極めて稀薄な宇宙空間の星間ガスの類は多くは完全電離プラズマの状態にある。
