サザン・ベル
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サザン・ベル(Southern belle)とは、南北戦争前のアメリカ合衆国南部において、上流階級の女性の理想とされた女性像のことである。belleとはフランス語で「美しい」の意であり、Southern belleとは、直訳すると「南部美人」ということになる。この時期、最も著名な「ベル」はケンタッキー州ルイビルのサリー・ワード(Sallie Ward)であった。ルイビル市内のスピード博物館に展示されているワードのポートレートは、しばしばThe Southern Belleと呼ばれ、サザン・ベルの代表とされている。
サザン・ベルはサザン・ホスピタリティ、洗練された美しさ、恋愛感情を誘いながらも上品な振る舞いの縮図とされた。こうしたステレオタイプは多くの人に強いあこがれを抱かせる要因となり、We're Just Like You, Only Prettier、The Southern Belle Primer、The Southern Belle Handbookなどサザン・ベルに関する多数の著書も残された。また、現代のポップ・カルチャーにおいても、Ya Ya Sisters、GRITS(Girls Raised In The Southの略)、Sweet Potato Queens、Bulldozers disguised as powder-puffsなど、あらゆる呼ばれ方でサザン・ベル像が残っている。
一方、批判的な見方をする者は、サザン・ベルのステレオタイプとは、古い時代の抑圧された、「コルセットをはめた」(厳しく規制された、という意の隠語)若い女性像の象徴であるとしている。