グレートレース
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グレートレース The Great Race |
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監督 | ブレイク・エドワーズ |
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製作 | マーティン・ジュロー |
脚本 | ブレイク・エドワーズ アーサー A.ロス |
出演者 | トニー・カーティス ジャック・レモン ナタリー・ウッド |
音楽 | ヘンリー・マンシーニ |
撮影 | ラッセル・ハーラン |
編集 | ラルフ・E・ウィンターズ |
公開 | 1965年7月1日 |
上映時間 | 160分 |
製作国 | アメリカ |
言語 | 英語 |
制作費 | $12,000,000 |
allcinema | |
IMDb | |
グレートレース(The Great Race)は1965年に製作されたアメリカのどたばた喜劇映画。同年のアカデミー賞音響効果賞を受賞した。監督はブレイク・エドワーズ。1908年に実際に行われたニューヨークからパリまでの自動車レースをモチーフにして、レースのおおよそのコースとその時期を実話に合わせている。映画史上最大のパイ投げ合戦シーンなど、サイレント映画の手法のギャグが多く使われている。
[編集] あらすじ
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。 →[記述をスキップ]
向こう見ずな興行師のグレート・レスリー(トニー・カーティス)はさまざまなスピード記録や脱出ショーの成功で名声と富を獲得していたが、彼を目の敵にして張り合うフェイト教授(ジャック・レモン)の興行は、いつも失敗して悲惨な結果に終わっていた。レスリーが企業家やメディアの賞賛を集めているのに対し、フェイトは奇怪な屋敷の中で怪しげな研究に没頭しながら、レスリーに対する悪意ある競争心を燃やしていた。
レスリーはアメリカの自動車業界にニューヨークからパリまでの大レースの開催を持ちかけ、ウェバー自動車の援助により高性能の大型オープンカーを獲得した。これに対し、フェイトは独自に大砲や煙幕装置などを備えたジェームズボンドの映画を連想させるスーパーカーを開発し、レスリーの準備に対するさまざまな妨害工作を行い、必ずのように失敗しながら、レースに備えていた。その頃、有力新聞センチネル紙のニューヨーク市の編集室にジャーナリストを自称するマギー・デュボア(ナタリー・ウッド)という女性が、自分をこのレースの取材記者として採用するよう編集長に談判し、強引に契約を認めさせる。マギーが記者としてレスリーを取材に行くと、レスリーは丁寧に迎えるが女の新聞記者ということに違和感を隠さず、女性の能力や社会的地位あるいは権利についてのマギーとの意見の相違を際立たせることになった。次にフェイト宅を訪問するが、相手にされずに乱暴に追い返されてします。マギーは、新聞社の調達した自動車でレースにエントリーし、優勝の記事を書くために自分が優勝しなければならないと言う。
レースが始まろうとしているときに、フェイトの命令で彼の助手のマックス(ピーター・フォーク)が細工をして、レスリー以外の自動車はすべてレース開始直後に故障してしまう。ただし、マギーの自動車は会場に着くのが遅かったので、この工作を免れる。しかし、マギーの自動車は装備が不十分なので、中西部の砂漠地帯で故障して動かなくなり、彼女は通りかかったレスリーの自動車に拾われて次の経由地までという条件で乗車を許され先に進む。こうしてレースにはレスリーとフェイトの自動車だけが残るが、その間に美しい女性マギーがからんで話が進行する。重要な給油地である西部の小都市にたちよったレスリーが、市長主催の歓迎パーティーに参加しているうちに、フェイトはガソリンを自分の必要なだけを盗み、残りを燃やしてから、先に出発する。燃料を確保できなくなったレスリーに対し、マギーは彼女が取材記事を送るためにもっている伝書鳩で燃料を注文すれば、次の経由地につくと同時に自分がガソリンを確保できるという話を持ちかけてガソリンを注文する。さらに、次の経由地で燃料を受け取ろうとしたときに、自分の署名がなければ燃料を引き渡してもらえないという事情に付け入って、そのままレースに同行させるよう迫り、レスリ-の忠実な相棒でメカニックのヘゼカイア(キーナン・ウィン)が強烈に反対すると、彼を巧みに追い払ってしまう。
アラスカまで進んだ二台の自動車は、偶然に並んで吹雪の中で立ち往生したが、そのとき白熊に追われてフェイト教授と助手のマックスがレスリーの自動車に逃げ込み、寒さを防ぐために四人で毛布の中に包まる。翌朝目がさめると、二台の自動車を乗せた部分が氷山に裂け、海上に漂流していた。フェイトやマギーが絶望的になる中で、レスリーは毎日定期的に氷山の溶け具合を計測し、潮流を計算して氷山が溶けきる前にロシアの海岸に漂着すると予測し、その通りになる。
ロシアの港に漂着したときに、そこにはマギーが騙して追い払ったヘゼカイアが待っていて、マギーはレスリーに責められるが、彼女がレスリーの弱点でアキレス腱であることに気づいたフェイトは、レースから彼女が居なくならないよう彼女を誘拐して先に進む。
ロシアを通り抜け、中欧の小さな王国ポツドルフに通りかかったが、そこではフェイト教授と瓜二つの皇太子ハプニック(ジャック・レモンの二役)が王位継承の戴冠式を控えていた。フォン・シュテュプ男爵(ロス・マーチン)とクスラー将軍(ジョージ・マックレディー)は皇太子をなき者にする陰謀を企んでいたが、フェイトが皇太子と瓜二つであることに気づくと、替え玉にしようとしてフェイトと彼の同乗者であるマックスとマギーを捕らえる。マックスが脱出してレスリーに助けを求め、レスリーが救出に向かい男爵とフェッシングの対決で男爵を破り、陰謀を破綻させる。戴冠式の日、替え玉の戴冠を阻止しようとするレスリーらと将軍やフェイトとの追跡が、祝宴を控えて大量のケーキやパイを製作中のケーキ工場に突入し、そこで映画史上最大のパイ投げ合戦に発展する。すべてのキャラクターがパイまみれになる中、レスリーだけが上手にパイを避けて無傷でいたが、マギーがパイを持ってよろけたときにパイを顔にぶつけられて、全員がパイまみれになる。
その夜、レスリーが自動車を止めて野営しているとき、なぜか再びレスリーに同行しているマギーが川で身体を洗い、衣服を乾かしていて、ヘゼカイアが爪弾いているギターを取り上げて、スウィートハートツリーという唱を歌う。「森の中に恋人達の木があり、その木にあなたの名前と私の名前を刻み、キスをすると恋が成就する」という唱を聞いたレスリーがマギーにキスすると、マギーはレスリーの頬を叩いて逃げる。
いよいよパリ市に入り、ゴールに到着する寸前の自動車の中で二人は男と女の関係と役割についての論争を白熱させていた。ところが、ゴールの数メートル前に来たときにレスリーは突然、マギーへの愛を証明するといって、自動車を止めたため、レースに負ける。それによってレースに勝ったフェイトは、喜びもつかの間、勝ちを譲られたことに再び臍をまげて、再試合を要求する。再試合はパリからニューヨークまでのレースで、新婚のレスリーとマギーが出発する。ここに最後のギャグが入り、映画は大団円となる。
以上で物語・作品に関する核心部分の記述は終わりです。
[編集] キャスト
- ジャック・レモン .... フェイト教授/皇太子ハップニック
- トニー・カーティス .... グレート・レスリー
- ナタリー・ウッド .... マギー・デュボア
- ピーター・フォーク .... マクシミリアン(マックス)
- キーナン・ウィン .... ヘゼカイア
- ロス・マーチン .... フォン・シュテュプ男爵
- ジョージ・マックレディー .... クスター将軍
- ラリー・ストーチ .... テキサス・ジャック