オリンパス・ペンF
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オリンパス・ペンFはオリンパスが1963年に発売した世界初のハーフ判でのレンズ交換式一眼レフカメラである。本項目では、その後シリーズ化された後継機種についても記述する。
目次 |
[編集] 開発の経緯と特徴
1961年ごろからオリンパス・ペンの成功を受けて、ハーフ判の一眼レフができないかという期待が高まってきた。その少し前から構想を練っていた設計者米谷美久は画面が縦長になることから、フランジバックを短くできるように、ミラーを通常の上でなく横にはねる形式の設計を考え、それに合わせてペンタプリズムを使わずポロプリズムで画像を導くファインダーを導入、チタンを利用したロータリー式のフォーカルプレーンシャッターを開発するなどして、1963年5月発売にこぎつけた。このシャッターは最高速度1/500秒まで画面が全開して露光するため、従来FP級フラッシュバルブを用いなければならなかったような日中の撮影でも、全シャッター速度でフラッシュが同調するという特徴がある[1]。またファインダー倍率を高めるために接眼用のルーペレンズを眼から離す必要が生じるため、ファインダー像が全部で4回反射するうちの第3反射面をミラーとして、第4反射面の間にルーペを置くという設計を行った[2]。FTではこの第3反射面をハーフミラーとして、その背後にTTL露出計を置くこととした[3]。
- ペンF(1963年5月発売) - 世界初のハーフ判の一眼レフ。後のFTではセルフタイマーレバーがつけられる場所に花文字のFが刻まれている。二回巻き上げ。なおアクセサリーシューは標準では取り付けられておらず、ファインダーアイピースに差し込む形のアクセサリーとして別売された。
- ペンFT(1966年発売) - CdSによるTTL露出計とセルフタイマー内蔵。露出計はTTLナンバーという数字で表示され、それをレンズに刻まれた数字(絞りと一定の法則で対応する)で合わせるという形式で、開放測光を実現するとともに、レンズごとに違う開放時と絞り込み時の特性の補正なども行った。[4]。一回巻き上げに改良されている。
- ペンFV - ペンFTから露出計を省略したモデル。
[編集] ペンFシステムの交換レンズ
レンズは専用マウント。
種類 | レンズ名 | 焦点距離F値 | ライカ判換算 | 画角 | 群-枚 | TTLNo. | FNo. | 最短撮影距離 | フィルター径 | 重量 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
広角 | GズイコーAUTO W | 20mm F3.5 | 28mm | 73° | 6-7 | 0-4 | 3.5-16 | 0.2m | 43mm | 145g |
EズイコーAUTO W | 25mm F4 | 35mm | 62° | 5-5 | 0-4 | 4-16 | 0.25m | 43mm | 120g | |
GズイコーAUTO W | 25mm F2.8 | 35mm | 62° | 5-7 | 0-5 | 2.8-16 | 0.25m | 43mm | 160g | |
標準 | FズイコーAUTO S | 38mm F1.8 | 55mm | 43° | 5-6 | 0-6 | 1.8-16 | 0.35m | 43mm | 135g |
GズイコーAUTO S | 40mm F1.4 | 58mm | 41° | 6-7 | 0-6 | 1.4-16 | 0.35m | 43mm | 165g | |
HズイコーAUTO S | 42mm F1.2 | 60mm | 39° | 6-8 | 0-6 | 1.2-16 | 0.35m | 49mm | 255g | |
望遠 | GズイコーAUTO T | 60mm F1.5 | 85mm | 28° | 5-7 | 0-6 | 1.5-16 | 0.8m | 49mm | 270g |
FズイコーAUTO T | 70mm F2 | 100mm | 24° | 5-6 | 0.5-7 | 2-22 | 0.8m | 43mm | 230g | |
EズイコーAUTO T | 100mm F3.5 | 140mm | 17° | 4-5 | 1-6 | 3.5-22 | 1.5m | 43mm | 250g | |
EズイコーAUTO T |
150mm F4 | 210mm | 12° | 4-5 | 1-5 | 4-22 | 1.7m | 49mm | 380g | |
超望遠 | EズイコーT | 250mm F5 | 360mm | 7° | 3-5 | 1-6 | 5-32 | 3.5m | 58mm | 800g |
EズイコーT | 400mm F6.3 | 570mm | 4° | 4-5 | 1-5 | 6.3-32 | 5m | 72mm | 1750g | |
ズイコーミラーT | 800mm F8 | 1150mm | 2° | 4-5 | - | 8 | 16m | 25.5mm | 2400g | |
ズーム | ズイコーAUTOズーム | 50-90mm F3.5 | 70-130mm | 34-19° | 8-10 | 0.5-4 | 3.5-16 | 1.5m | 49mm | 420g |
ズイコーズーム | 100-200mm F5 | 140-280mm | 17-9° | 9-12 | 1-6 | 5-32 | 1.7m | 49mm | 700g | |
その他 | EズイコーAUTO S | 38mm F2.8 | 55mm | 43° | 4-5 | 0-5 | 2.8-16 | 0.8m | 43mm | 70g |
DズイコーAUTO S | 38mm F2.8 | 55mm | 43° | 3-4 | 0-5 | 2.8-16 | 0.35m | 43mm | 125g[5] | |
EズイコーAUTOマクロ | 38mm F3.5 | 55mm | 43° | 4-5 | 0-4 | 3.5-16 | 0.156m | 43mm | 200g |
出典-[6]
[編集] ペンFシステムのアクセサリ
- マウントアダプター-フランジバックが短いため各社のレンズをアダプターを介して装着すれば手動絞りにはなるが撮影可能である。
[編集] 脚注
- ^ 米谷2002、176頁。
- ^ 米谷2002、136頁。
- ^ 米谷2002、181-4頁。
- ^ ペンF時代の初期のレンズにはTTLナンバーがないものもある。
- ^ 本項のみ『往年のオリンパスカメラ図鑑』、エイ出版社、178頁による。
- ^ 飯田1999、80頁。