オツベルと象
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『オツベルと象』(オツベルとぞう)は、宮沢賢治の短編童話である。詩人尾形亀之助主催の雑誌『月曜』創刊号(1926年1月号)に掲載された。賢治の数少ない生前発表童話の一つ。教科書にも広く収録されている。
かつては全集編集の際の手違いから『オッペルと象』というタイトルにされていたが、『校本 宮澤賢治全集』(筑摩書房、1973〜1977年)編集の際に誤りが正された。このうち「ッ」については初出誌『月曜』では、促音も通常の文字と同じ大きさになっているため、実際の発音・表記が「オツベル」なのか「オッベル」のいずれであるかは不詳である(下書きを含めて原稿が現存していない)。また、『月曜』では、末尾部に一字分が黒四角(■)になっている部分がある。前記の通り原稿が現存していないため、この部分は一字不明のままである。『校本 宮澤賢治全集』よりも前の全集ではこの箇所を「君」という文字に校訂していた。
目次 |
[編集] あらすじ
この物語は、「ある牛飼い」が物語るという形式になっている。
ある日、地主のオツベルのところに大きな白い象がやってくる。オツベルは象をうまく騙して自分の所有物にし、過酷な労働を課す。そうとは露知らず、初めは労働を楽しんでいた白象だが、徐々に食べ物を減らされて弱っていく。白象は月の助言で仲間たちに手紙を書き、それを読んだ仲間の象たちはオツベルの邸へと押し寄せていく。
[編集] 登場人物
- オツベル
- 大金持ちの大地主。象を自分の財産にしてこき使うが、最後に象の仲間に報復される。
- 白象
- 森からやってきた白い象で鶯のような美声を持つ。オツベルに騙されて奴隷にされる。
- 月
- 白象が毎晩藁をたべながら話しかけていた月。白象が別れを示唆すると、重要な助言をする。
- 赤衣の童子
- 何処からか現れて、白象の手紙を仲間たちに届ける。
- 牛飼い
- 物語の語り手。
- 百姓
- オツベルの家で働く百姓。