オキナワトゲネズミ
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?オキナワトゲネズミ | ||||||||||||||||||||||||
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分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Tokudaia muenninki Johnson, 1946 |
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シノニム | ||||||||||||||||||||||||
Tokudaia osimensis muenninki | ||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||
オキナワトゲネズミ | ||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||
Okinawa spiny rat[1]、Muennink's Spiny Rat |
オキナワトゲネズミ(沖縄棘鼠、学名:Tokudaia muenninki )は、ネズミ目(齧歯目)ネズミ科 に属する小型のネズミ類の1種である。日本固有種であり、沖縄島北部にのみ生息する。本種はかつては、アマミトゲネズミ(トゲネズミ、T. osimensis)の亜種T. osimensis muenninkiとされてきたが、頭蓋骨の形態や染色体数、性染色体の違いなどから、2001年にそれぞれを別種とする報告がなされた(#分類と近縁種を参照)。沖縄方言ではアージと呼ばれる。
目次 |
[編集] 形態
背面が茶褐色、腹面は灰白色の体毛を持ち、名前の由来となった2cm程度の棘状の針状毛が体全体に生えている。頭胴長は約120-175mm、尾長は95-132mmである。
[編集] 生態
沖縄島北部の照葉樹林のシダ類等が繁茂する林縁に生息する。夜行性であり、日中は広葉樹の樹洞や根の隙間などに潜み、夜になると樹木の種子や昆虫、陸生貝類などを食べる。また、ジャンプ力があり、1mほどの幅を跳ぶことができる。この能力は、天敵であるハブから身を守るために役立っているのではないかと考えられている。繁殖期は10-12月。
[編集] 種の保全状態評価
- CRITICALLY ENDANGERED (IUCN Red List Ver.2.3 (1994))
- 絶滅危惧IA類(CR)(環境省レッドリスト)
- 日本国指定天然記念物 - 1972年指定(トゲネズミとして)
- 沖縄県版レッドデータブック - 絶滅危惧IA類
近年、野生化したネコによる食害や環境の変化により急速に個体数を減らしている。最近は生息情報が乏しくなっており、ネコの糞に含まれていた体毛による確認しかない状況だった。しかし、2008年3月にWWFジャパンと森林総合研究所の調査により、約30年ぶりに生体が捕獲され生息が確認された。[2]
[編集] 分類と近縁種
本種は、奄美大島及び徳之島に分布するものと含めてトゲネズミとして天然記念物に指定され、本種とアマミトゲネズミ(トゲネズミ)の1属1種2亜種に分類されてきたが、2001年にそれぞれが別種であることが報告された[3]。オキナワトゲネズミの染色体数2n=44と、他の2種の染色体数に違いがあり、オキナワトゲネズミが持つY染色体を他の2種は持たないことが知られている。さらに、2006年に徳之島産の個体群がTokudaia osimensisとは別種のトクノシマトゲネズミTokudaia tokunoshimensis とされ、トゲネズミ属(Tokudaia)は3種に分類された[4]。なお、トゲネズミ属は日本固有の属である。
- アマミトゲネズミ Tokudaia osimensis (Abe, 1934) Amami spiny rat[5], Ryukyu Spiny Rat
- 日本固有種。奄美大島にのみ生息する。染色体数2n=25。性染色体XO型。オキナワトゲネズミよりも小型である。
- 絶滅危惧IB類(EN)(環境省レッドリスト)
- 鹿児島県版レッドデータブック - 絶滅危惧I類
- トクノシマトゲネズミ Tokudaia tokunoshimensis Endo & Tsuchiya, 2006
- 日本固有種。徳之島にのみ生息する。染色体数2n=45。性染色体XO型。他の2種と比べ、体が一回り大きい。また頭骨の形状が異なる。
- 絶滅危惧IB類(EN)(環境省レッドリスト)
[編集] 脚注
- ^ オキナワトゲネズミ - 環境省生物多様性センター
- ^ WWFジャパン絶滅危惧とされていたオキナワトゲネズミ捕獲に成功、実物で確認
- ^ Kaneko, Y. (2001) "Morphological discrimination of the Ryukyu spiny rat (genus Tokudaia) between the islandsof Okinawa and Amami Oshima, in the Ryukyu Islands, southern Japan." Mammal Study, 26:17-33.
- ^ Hideki Endo and Kimiyuki Tsuchiya (2006) "A new species of Ryukyu spiny rat, Tokudaia (Muridae: Rodentia), from Tokunoshima Island, Kagoshima Prefecture, Japan." Mammal Study, 31:47-57.
- ^ アマミトゲネズミ - 環境省生物多様性センター
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
- 阿部永ら著・財団法人自然環境研究センター編 『日本の哺乳類【改訂版】』東海大学出版会、2005年、ISBN 4-486016-90-4。
- 阿部慎太郎 「アマミトゲネズミ」 『鹿児島県の絶滅のおそれのある野生動植物 -鹿児島県レッドデータブック動物編-』 鹿児島県環境生活部環境保護課編 編、財団法人鹿児島県環境技術協会、2003年、22頁、ISBN 4-9901588-0-6。
- 伊澤雅子 「オキナワトゲネズミ」 『改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物(動物編)-レッドデータおきなわ-』、沖縄県文化環境部自然保護課編 、2005年、23-24頁。