インヴェンションとシンフォニア
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インヴェンションとシンフォニア(BVW772~801)はヨハン・セバスティアン・バッハのクラヴィーア曲。
1723年頃の作品。自らの子どもや弟子の教育用に書いたものである。インヴェンションは新規の発明、シンフォニアは多声部を含む複音楽の意味。その名称通り、楽曲の基礎や対位法の構造、装飾法や運指の練習などの学習に最適で、ピアノの初学者は必ず習うといっても過言ではない。
2声のインヴェンション、3声のシンフォニアともに15の異なる調性の曲で構成されている。24調すべてを網羅している平均律クラヴィーア曲集ほどの高度さは求めないが、ポリフォニーの基礎が小曲の中にふんだんに詰まっており、作曲の基礎も含む。練習曲をはるかに超えた音楽的価値があり、鍵盤楽器奏者外にも意識が必要。
目次 |
[編集] インヴェンション
平均律曲集ほどではないが、多くの調性を網羅する。作曲者の時代は演奏記号は演奏者の判断に任せる慣例があり、記号の記載はない。装飾音についても同様で、演奏者は由来出典を調べる必要がある。
[編集] 第1番・ハ長調 BWV772
4分の4拍子。非常に有名な代表曲。C-D-E-F-D-E-Cの16分音符とG-C-H-Cの8分音符の組み合わせが主題。
[編集] 第2番・ハ短調 BWV773
4分の4拍子。冒頭は右手で下降音階を素材にした主題。
[編集] 第3番・ニ長調 BWV774
8分の3拍子。左手のオクターブの上に右手が優雅な主題を奏でる。
[編集] 第4番・ニ短調 BWV775
8分の3拍子。上昇音階を中心にした主題。しばしば非常に速いテンポで演奏される。
[編集] 第5番・変ホ長調 BWV776
4分の4拍子。
[編集] 第6番・ホ長調 BWV777
シンコペーションをふんだんに使った右手と左手の兼ね合いが妙味を出す。ポロネーズに近い8分の3拍子。繰り返し記号が2カ所に付いているため、他の作品よりも演奏時間が少し長くなる。
[編集] 第7番・ホ短調 BWV778
4分の4拍子。左手の8分音符によるオクターブ下降が特徴。
[編集] 第8番・ヘ長調 BWV779
4分の3拍子。非常に打楽器的な主題。F-A-F-C-Fの8分音符と下降音階の組み合わせ。マッキントッシュの電子効果音にも使われるなど、古典が現代に通じる新しさを備えた秀作。
[編集] 第9番・ヘ短調 BWV780
4分の3拍子。滑らかな下降音階をもとにユニゾンが登場する。
[編集] 第10番・ト長調 BWV781
8分の9拍子。緩いアルペジョが支配する。
[編集] 第11番・ト短調 BWV782
4分の4拍子。16分音符と8分音符による部分的な半音階が印象的。
[編集] 第12番・イ長調 BWV783
左手の音階に乗って右手がA音を伸びやかに歌う。8分の12拍子。
[編集] 第13番・イ短調 BWV784
構成的な名作。右手アルペジョと左手のシンコペーションが交代しながら完成されたポリフォニーを築く。4分の4拍子。
[編集] 第14番・変ロ長調 BWV785
4分の4拍子。32分音符と16分音符の組み合わさった軽やかな主題。
[編集] 第15番・ロ短調 BWV786
最終作品。4分の4拍子。右手のプラルトリラーが巧み。
[編集] シンフォニア
インヴェンションよりも演奏技術は高度。
[編集] 第1番・ハ長調 BWV787
4分の4拍子。伸びやかに上昇するスケールを主題に持つ。
[編集] 第2番・ハ短調 BWV788
8分の12拍子の落ち着いた曲。音階が随所に登場し単調さを避けている。
[編集] 第3番・ニ長調 BWV789
4分の4拍子。冒頭いきなり属調の第4音であるCが出てくるため、あたかもト長調であるかのような印象を受ける。
[編集] 第4番・ニ短調 BWV790
4分の4拍子。16分音符の「D-Cis-D」のあと4度下降、8分音符で6度上昇する動機が非常に多く用いられる。
[編集] 第5番・変ホ長調 BWV791
4分の3拍子。異稿があるが、演奏自体は平易。左手の音型は同じパターンの繰り返しである。
[編集] 第6番・ホ長調 BWV792
8分の9拍子。
[編集] 第7番・ホ短調 BWV793
4分の3拍子。
[編集] 第8番・ヘ長調 BWV794
4分の4拍子。
[編集] 第9番・ヘ短調 BWV795
4分の4拍子。冒頭の左手の低音と半音階下降、音価の大きさが非常に暗い印象を受ける曲。最終音はピカルディ終止。
[編集] 第10番・ト長調 BWV796
4分の3拍子。
[編集] 第11番・ト短調 BWV797
8分の3拍子。分散和音の下降のあと8度跳躍する主題。
[編集] 第12番・イ長調 BWV798
4分の4拍子。動機とバスを交互に分散した形の16分音符が多用される。
[編集] 第13番・イ短調 BWV799
8分の9拍子。
[編集] 第14番・変ロ長調 BWV800
4分の4拍子。
[編集] 第15番・ロ短調 BWV801
最終曲。16分の9拍子。スラーとスタッカートの組み合わされたリズミックな動機、H-Cis-D-Cis-Hの動機、そして16分音符のアルペジオが絡まっている。