イオン交換膜
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イオン交換膜（いおんこうかんまく、ion exchange membrane）は、膜状のイオン交換樹脂で同符号のイオンを透過させ、異符号のイオンを阻止する性質を持つ。
粒状で使用するイオン交換樹脂と異なり、この選択性を活用する形で陽イオン交換膜と陰イオン交換膜を組み合わせて使用する事が多い。
厚さ 10 - 500 マイクロメートル程度と薄いため、実際の製品では強靱で透水性の高いフィルムと貼り合わせて供給される事が多い。
[編集] 概要
例えばカチオンのイオン交換膜で隔てられた塩類溶液に電位差を作ると、陽イオンは膜を通過して陰極側へ移動（電気泳動）できるのに対し、陰イオンは遮られて移動できない。
この性質を利用し、カチオンとアニオンのイオン交換膜と直流電位を組み合わせると、純水（脱塩水）製造を行う事ができる。さらに複数の膜と粒状イオン交換樹脂を組み合わせたものが、連続電気再生が可能な電気脱塩 (EDI: Electro Deionization) 方式の純水製造装置である。
海水の濃縮による製塩（イオン交換膜製塩法）や、海水淡水化に使用されているほか、排水処理や有用物質の回収などの用途がある。
用途が近い逆浸透膜との大きな違いは、膜を通過するのはイオンであり、水はほとんど通過しない点にある。従って原水中の非イオン性物質は脱塩水側に残留するため、飲料水としての質は逆浸透膜によるろ過水のほうが高い。
[編集] 用途
純水製造・海水淡水化・化学工業での物質精製や、固体高分子形燃料電池の電解質などに用いられている。
- 高濃度塩類廃液の処理：焼却灰主体の管理型最終処分場で浸出水の処理に使用される。
- 人工皮膚の基礎（研究用）
- 固体高分子形燃料電池：電解質としてイオン交換膜を使用している
