アンツーカー
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アンツーカー(英:en-tout-cas(仏語より))は、高温で焼成した土石を粉砕してつくられる人工土。陸上競技場のトラックやテニスコートの全天候型舗装材として用いられる。語源はフランス語の"en tout cas"(アン・トゥ・カ、「どんな事情にせよ」「ともかく」の意、転じて英語でin any caseとなり「どのような場合にも」と解釈される。フランス語には人工土としての意味は無い)で、どのような天候でも利用できることを表している。
塩化マグネシウムなどを添加した粘土を高温で焼いてレンガ状のブロックにし、これを細かい粒状に砕いたものが一般的。水はけの良さと鮮やかな赤い色彩が特徴だが、水分が多くなりすぎると軟弱になり、乾燥するとほこりが立つなど短所も多い。
アンツーカーのテニスコート(クレーコート、仏:"la terre battue")は球足が遅くラリーが長く続くため、ベースライン・プレーヤーに有利とされている。全仏オープンが開かれるローラン・ギャロスにもこのアンツーカーが使われている。
1928年アムステルダムオリンピックの競技場に世界で初めて導入され、日本では1938年(昭和13年)に大阪市立運動場に初めて導入された。