アラン諸島
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「アラン島」と呼ばれることの多い、アラン諸島(英:Aran Islands、アイルランド語:oileáin Árann)は、アイルランド島の西、ゴールウェイ湾に浮かぶ島々。アラン諸島は3つの島からなり、西側から、イニシュモア(英:Inishmore、アイルランド語:Inis Mór)、イニシュマーン(英:Inishmaan、アイルランド語:Inis Meáin)、イニシィア(英:Inisheer、アイルランド語:Inis Oírr)と呼ばれる。アイルランド語でÁrannの意味は「長い山々」の意味で、現在の島の名前にあるInisは「島」の意味である。また、Mór、Meáin、Oírrはそれぞれ「大きな」「真ん中」「東」の意味がある。これらのアラン諸島は石灰質の岩盤だけで出来た島群である。
主要産業はジャガイモなどの農業と漁業。
岩盤で出来たこの島での農業は、土が風で飛ばされないように畑を石垣で囲み、岩盤を槌で砕き海藻と粘土を敷き詰めて土をつくることから始まる。
手編みのアランセーター(フィッシャーマンセーター)も有名。
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[編集] イニシュモア島
イニシュモア(大島)は、アラン諸島最大の島であり、三島の最も西に位置する。面積は12平方マイル。20世紀にはいるまでは、アランモア(英:Aranmore、アイルランド語:Árainn Mhór)と呼ばれていた。島の名前は1800年代中頃につけられた。このアイルランド語の島の名前は、厳密に言えば文法的には誤っており、島を意味するInisが女性名詞であるため、本来はInis Mhórとなるべきものである。島の人々はアイルランド文化の影響が強く。アイルランド語を話す。
[編集] 名所・旧跡
- 「ダン・エンガス」(Dun Aengus)または「ドゥーン・エンガス」(Dún Aonghasa) - 断崖を背後に築かれた環状の石の砦. 古代ケルト人が築いたと言われる.
- 聖ベナン教会 - ヨーロッパで最も小さな教会として知られる古い建造物.
- 聖キーラン修道院(Teampall Chiaráin) - 古代の日時計や石造りの十字架がある
[編集] イニシュマーン島
イニシュマーン(中島)は、アラン諸島第二の大きさを持つ島であり、イニシュモアの東に位置する。アイルランド語ではInis Meadhóinと書かれることもある。人口は200人程度、他の2島と比較して観光客は少なく静かな土地である。アイルランドの歴史で重要な要塞があった土地の1つである。人々はアイルランド語を話す。
[編集] 名所・旧跡
- ラバ・キンジャラグ - 難病を治すと伝えられている円形の遺跡。
- コナー要塞(Dún Conchuir) - キリスト教伝来前に作られた要塞の跡地。
- シングの住んでいた家 - 1898年から1902年の毎年夏に、ジョン・ミリントン・シングが暮らしていた家。
- シングの椅子 (Synge's Chair) - 島の西の切り立った岸壁。
ジョン・ミリントン・シングの住んでいた家 |
[編集] イニシィア島
イニシィア(東島)は、三島の中で最も小さく、最も東に位置する。アイルランド語では、Inis OirthirやInis Thiarと書かれることもある。人口は300人ほどである。
[編集] 名所・旧跡
- テンパル・ケイヴィン(Teampall Chaomháin) - 遺跡
[編集] アラン島関連の作品
- 小説・紀行
- ジョン・ミリントン・シング(John Millington Synge):随筆『アラン島』
- 野沢弥市朗:『アイルランド/アランセーターの伝説』(2002年、繊研新聞社)
- 戯曲
- ジョン・ミリントン・シング:戯曲『海に行く騎者』
- 映画
- ロバート・J・フラハティの監督によるドキュメンタリー映画『アラン』(Man of Aran、1934年)