アマゾン・キンドル
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アマゾン・キンドル(Kindle)はでインターネット通販大手のAmazon.comから2007年11月19日にアメリカ合衆国で399ドル(約4万4000円)で発売された電子書籍リーダー[1][2]。日本での発売時期は未定。
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[編集] 特色
ソニー・リーダーと同様にE-inkディスプレイを使うが、違うのは高速携帯電話通信ネットEVDOを利用してコンピュータを介さずに電子ブックや新聞記事がダウンロードできる。携帯電話会社との契約は不要で、アマゾンキンドルのサイトとウィキペディアのサイトは無料で閲覧できる。それ以外のウエブサイトは有料となる予定。ニューヨークタイムズなどの新聞やタイムなどの雑誌の講読が有料ででき、その際、月ぎめの購読料を払うと自動的にダウンロードがおこなわれる。
またキーボードによる入力が可能であり、検索やノートをとるのに使える。
USBケーブルでコンピュータと接続してファイルの移動が可能だが、HTMLやPDFやDocなどのフォーマットを直接読むことはできないため、Mobipocket社が無料配布しているソフトかアマゾンサイトでの変換が必要になる。
[編集] 市場の反応と批判
音楽や映像がデジタル化された後も、本はいまだにアナログメディアのままであり、過去のさまざまな試みはソニーリーダーなどが健闘しているものの、大半は失敗に終わっている[3][4]。アマゾンは「本のためのアイポッド」をコンセプトに開発に3年を費やし、2007年11月にキンドルが発売となった。過去の失敗を克服するために、次のような点が特徴になっている[5][6]。
- デジタル判の本はベストセラーの本で約10ドルとアナログ版の本より安い。
- いちいちコンピュータに接続してダウンロードする必要がなく、どこにいても1分以内に1冊の本が携帯電話高速通信(EV-DO)で送られてくる。また携帯電話会社(スプリント)との契約は不要。
- 端末が省電力で電池寿命が極めて長い。
批判としては、端末の値段が非常に高価、端末のデザインが悪い、PDFファイルが読めない、ダウンロードした本のテキストはDRMでプロテクトされている為PCや他のPDAにファイルを転送することは不可能、読んだ後人に本をあげることができない、古本として売買できない、端末が壊れたり無くしたりすると中の情報を全て失う、ディスプレーがカラーでない、E-inkのためディスプレイのレスポンスがおそいなどがある[7][8][9]。
[編集] ビジネスモデルとしてのキンドル
米国では一般に新書の単行本は27ドル程度の定価で、デジタル版は20ドルの定価で消費者に発売される。小売店は約10ドルでデジタル版を仕入れ、16ドル程度で売るのが慣習になっている(たとえばソニー・リーダーのオンライン店は16ドルで多くのベストセラーを売る)[10]。アマゾンはこれを9.99ドルで売り、しかもダウンロードにかかる費用はアマゾンがEVDOを提供するスプリント・ネクステル社に支払うため、新書からの利益はまったくでない[11]。アマゾンはこの低価格で読者を開拓し、利益の収入源はキンドルハードウエア自体(399ドル)に加え、キンドルの新聞購読費(1新聞あたり月10-15ドル程度)や雑誌・ブログ購読費(例えばTime紙で月1ドル50セント、1ブログあたり月1-2ドル程度)、30ドルから100ドルの価格レンジの需要が限定された電子書籍(主に専門書)および印税を払う必要のない著作権切れの電子書籍などの販売である。著作権切れの書籍の価格は1~10ドルとまちまちで同じ作品の別の版が異なる価格で販売されているのが目につくが、これは注釈などの差や有無によるものと思われる。[12]。
[編集] 仕様
- ディスプレイ:600x800 ピクセル、4段階グレースケール
- サイズ: 19.1cm × 13.5cm × 1.8cm、 292グラム
- 内部メモリー: 180MB, 約200冊の本をメモリーできる
- 外部記憶: SDメモリカード
- 充電式電池寿命: 2日(EVDO通信常時ON)から1週間(EVDO通信常時OFF)
- サポートするファイルタイプ: AZW (キンドル専用), .TXT, .MOBI, .PRC (".MOBI"および".PRC"はフランスで開発されたMobipocket形式の電子書籍ファイル )
- 付属辞書: The New Oxford American Dictionary.
- ウエブブラウザ: Basic Web (JavaScriptとSSLをサポートするがFlashには対応しない)
- 通信方式: Sprint EV-DO 3G network (Wifi機能はない)
- 電子書籍ライブラリー: アマゾン書店の88000冊を有料でダウンロードできる。また、Mobipocket形式の欧文書籍のうち、無料ダウンロードが可能なものを読むことができる。(Mobipocket形式でも有料のものは読むことができない。)全ての本の第一章は無料。
[編集] 売上
11月19日発売から5時間半ですべてのストックが完売したと発表されたが、売り上げ台数は未発表。11月24日現在、注文から発送まで4週間待ちの品薄状況が続く [13][14]発売から一ヶ月後品薄状態はさらに深刻化し発送時期は無期限に延長され、オークションサイトEbayで約1000ドル(約10万円)という高価格で取引されている。
[編集] その他
[編集] 脚注
- ^ Amazon.com のサイト
- ^ [1]"The Future of Reading" Newsweek, 11/18/2007
- ^ [2]"Amazon's Breakthrough E-book"ビジネスウイーク 2007年11月19日
- ^ [3]"Why e-books are bound to fail" April 27, 2007, ComputerWorld
- ^ [4] "Can Amazon Kindle Digital Book Fever?" ビジネスウイーク 2007年11月19日
- ^ [5] "Opinion: Why Amazon's Kindle is revolutionary" ComputerWorld, November 21, 2007
- ^ [6] "Amazon's Kindle vs. Sony's Reader" 11/19/2007 CNET記事
- ^ [7] "In Defense of the Kindle" New York Times, Nov 20, 2007
- ^ http://blogs.cnet.com/8301-13506_1-9822044-17.html "Amazon Kindle: Flop" 11/21/2007 CNET Blog
- ^ New York Times, Page C3, November 20, 2007
- ^ 同
- ^ New York Times, Page C3, November 20, 2007および米国アマゾン公式サイト
- ^ http://hardware.slashdot.org/article.pl?sid=07/11/21/1931203
- ^ http://www.marketwatch.com/news/story/story.aspx?guid=%7BDE36E488-17E7-4849-BFB5-208F26841932%7D&link=www.247wallst.com/2007/11/amazoncoms-kind.html
- ^ http://gizmodo.com/gadgets/doublethink/amazon-kindle-is-an-ugly-snowspeeder-of-contradictions-325513.php