かとり (練習艦)
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TV-3501 かとり | ||
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艦歴 | ||
起工 | 1967年12月8日 | |
進水 | 1968年11月19日 | |
就役 | 1969年9月10日 | |
除籍 | 1998年 | |
要目 | ||
艦種 | 練習艦 | |
排水量 | 基準排水量 | 3,350t |
全長 | 128m | |
全幅 | 15m | |
吃水 | 4.3m | |
深さ | 10m | |
機関 | 蒸気タービン2基 2軸推進 | 20,000hp |
速力 | 25ノット | |
乗員 | 460名(内実習員165名) | |
武装 | 68式50口径3インチ連装速射砲 | 2基4門 |
68式3連装短魚雷発射管 | 2基6門 | |
71式ボフォース対潜ロケットランチャー | 1基 | |
搭載機 | ヘリコプター発着甲板のみ |
かとり(かとり、JMSDF TV KATORI class)とは、昭和41年度計画により建造された海上自衛隊の練習艦である。名前は大日本帝国海軍で練習艦として使用されていた香取型練習巡洋艦と同じく、香取神宮に由来する。
[編集] 概要
海上自衛隊は昭和32年以降、幹部候補生学校卒業後の初任幹部の実習訓練として内地巡航と遠洋航海を実施していた。この実習訓練には、毎年4~5隻の護衛艦がその任に当てられていたが、第一線の護衛艦が数ヶ月間も遠洋航海に使用されることは練度保持上も問題であった上、護衛艦では教育用施設や居住施設が充分ではなかった。そこで、建造されたのが「かとり」である。
「かとり」は長途に亘る訓練航海に対応出来うる様な配慮がなされており、実習員のための居住区や教育設備は艦の後部付近に纏められ、固有乗組員の区画と切り離されている。煙突後部の大型甲板室には、実習講堂や実習員の居住区画、食堂が配置された。後部甲板はヘリコプターの発着甲板であるが、実習員の体育訓練や様々なレセプションに使用出来る様になっていた。各戦闘区画や実習に用いる艦内区画は実習員の教育訓練が行える様に通常の護衛艦に比して広いスペースが確保されている。
主機関は蒸気タービンであるが、通常のタービン推進艦艇の様に缶室と機械室を分離させることなく、同一区画内に配置し実習員が主機の運転状況を実習出来るように配慮された。
兵装は、68式50口径3インチ連装速射砲や71式ボフォース対潜ロケットランチャー、68式三連装短魚雷発射管など、計画当時の護衛艦が搭載していた代表的兵装が装備されていた。
船型は艦首部にシアーの付いた長船首楼船型で、海外を訪問する機会の多い練習艦故に「かとり」は重厚なイメージを持つシルエットとなっている。また、特別公室・司令官公室などが艦内に設けられ、「かとり」を訪問する外国の要人に対応出来る様になっていた。特に、特別公室は各国の元首クラスの来訪に備え室内にはチーク材が使用されていた。
「かとり」は昭和42年12月8日に起工され、昭和43年11月19日に進水し、昭和44年9月10日に竣工し、同日付で練習艦隊に編入された。
[編集] 運用
「かとり」は海上自衛隊初の新造の専用練習艦であり、「かとり」で多くの初任幹部が実習を行い巣立っていった。
しかし、護衛艦の主兵装が砲雷からミサイルに移り変わり、主機関も蒸気タービンからガスタービンエンジンに移行すると「かとり」の設備では物足りなくなりつつあり、老朽化の進行も相まって後継艦のかしまが竣工した後の平成10年に除籍された。