あづま (訓練支援艦)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ATS 4201 あずま型訓練支援艦 | ||
---|---|---|
艦歴 | ||
起工 | 昭和43年7月13日 | |
進水 | 昭和44年4月14日 | |
就役 | 昭和44年11月26日 | |
除籍 | 平成11年 | |
要目 | ||
排水量 | 基準排水量 | 1,950t |
全長 | 98.0m | |
全幅 | 17.4m | |
深さ | 7.2m | |
吃水 | 3.8m | |
機関 | ディーゼル 2基2軸推進 | 4,000PS |
速力 | 18ノット | |
定員 | 185名 | |
武装 | Mk.22 50口径3インチ砲 | 1門 |
短魚雷落射機 | 2基 | |
言語 | 表記 | |
日本語 | あずま型訓練支援艦 | |
英語 | AZUMA class ATS |
あづま型訓練支援艦(あずまがたくんれんしえんかん、JMSDF ATS AZUMA class)とは、昭和42年度計画により建造された海上自衛隊の訓練支援艦である。この種の訓練専用の新造艦艇は世界的に見ても珍しいものであった。
目次 |
[編集] 概要
海上自衛隊では対空射撃の訓練目標であるドローンを運用する専用の艦艇として、供与されたLSSL「はまぎく」を改造し昭和33年から使用し始め、「はまぎく」が老朽化した後はくす型護衛艦の「くす」をドローン母艦として運用を開始したが、能力が限定されていたので効果的な訓練を行うことが難しいかった。 そこで、護衛艦隊の対空・対水上射撃の訓練を効果的に行うため計画されたのが「あづま」である。
「あづま」は護衛艦隊の対空・対水上射撃訓練を主目的とし、さらに護衛艦に対し補給を行えるように考慮された。 船型は長船首楼型で、船体後部の煙突後部に標的機格納庫を設けており、高速標的機(BQM-34A)3機と低速標的機(KD2R-5)10機の搭載能力を有していた。これらの標的機は後甲板から運用されるのだが、この後甲板は場合によっては中型ヘリコプターの発着も可能であった。 前述の、高速標的機BQM-34Aはファイアビーと呼ばれ航空機に搭載され発射運用することも可能であるが、艦上から発射しコントロールしつつ運用するのは「あづま」が世界初の試みであった。 海上では波浪によりプラットフォームが動揺するので、標的機を追尾・コントロールするのは非常に難しいのだが、「あづま」はSTTS(Shipboard Target Tracking System)という追尾誘導装置を搭載することによりこの問題を解決している。 その他に、水上射撃訓練に用いる標的船を16ノットの速力で曳航出来るワイヤーと機力巻取装置を装備し、補給能力は当時の1個護衛隊群に一週間分の食料と真水を補給可能であった。 また、司令部設備も保持しており様々な会議や研究会の開催が可能でホテルシップとしての使用を考慮していた。 新造当初の兵装はMk.22 50口径3インチ砲1門と短魚雷落射機2基を装備していた。
「あづま」は昭和43年7月13日に起工され、昭和44年4月14日に進水、昭和44年11月26日に竣工した。
[編集] 運用
「あづま」は竣工後、自衛艦隊に直轄艦として編入され、対空・対水上射撃訓練に用いられ練度向上に重要な役割を果たした。 しかし、「あづま」の建造が計画された当時の護衛艦が砲を主体とした艦艇が多かったのだが、対空・対水上兵装が砲からミサイルに主体が移ると「あづま」の装備は陳腐化していった。 しかし、長年に亘り訓練に用いられ、唯一の訓練支援艦として護衛艦隊を影から支える重要な艦であった。 「あづま」の装備では対応出来ない訓練に用いる目的で平成元年には「くろべ」が建造され、その後、老朽化が進行し代艦である「てんりゅう」が建造された平成11年に除籍された。
[編集] 同型艦
- あづま ATS-4201 昭和44年竣工 平成11年除籍