X-43 (航空機)
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X-43はNASAで開発、実験が行われた、スクラムジェット搭載の無人試験機である。エア・ブリージングエンジン(酸化剤を外部から取り入れる推進器)を搭載した機体としては最高速度となる時速11,199.6 km(秒速3.111 km、マッハ9.8)を記録した、世界最速の航空機である。
[編集] 概要
X-43は実験を通して極超音速飛行下のスクラムジェットの性能、挙動を確認するハイパーX計画のために建造された無人機であり、将来の宇宙往還機に必要なデータを集めることが目的であった。計画はA型をはじめ、B、C、Dの機体が建造される予定であり、多くの実験が行われるはずであった。しかし、巨大な予算が計画遂行の障害となり、B型以降の機体はキャンセルされ、また飛行計画も多く減らされた。
1回目の実験では加速用のペガサス・ブースターの不調で、空中発進後からわずか11秒後に、稼働状態に至らずに機体を喪失した。2回目はブースター分離には成功したものの、機体の制御を失い、太平洋に落下した。そして2004年11月14日、結果的に最後の飛行となった3回目でマッハ9.8の最高速度を記録した。この3回目の計画を持って、ハイパーX計画は終了した。
[編集] 機体形状
機体規模はきわめて小さく、大人の身長ほどの全長しかない。形状はX-30のジェネラル・ダイナミックス案に酷似したリフティングボディで、全体で揚力を生み出す構造となっている。機体側面、及び上面に極めて小さな主翼と2枚の垂直尾翼を持ち、胴体下部に箱型のスクラムジェットを装備している。推進剤は水素と大気中の酸素。 飛行はNASAのNB-52Bからペガサス・ブースターの先端に取り付けられた状態で1万メートル程度の高空から空中発進し、マッハ2まで加速後、ブースターを切り離してスクラムジェットを作動する。燃焼時間はわずか10秒足らずで、おおむねマッハ10まで加速、3万メートルを飛行する。エンジンカット後機体は滑空しながらデータを収集し、廃棄される。つまり機体は使い捨てである。
[編集] 後続計画
X-43はA型、3回の飛行のみで中止した。現在、NASAでは一般的な炭化水素燃料を用いてマッハ7程度まで加速するX-51計画が進められている。
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