VA方式
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VA方式(ぶいえーほうしき)は、液晶表示方式の一つ。高コントラスト、広視角が可能であることから広く使用されている。高品位テレビではこのVA方式とIPS方式が全てである(2007年時点)。
特にシェアで上位に居るシャープ、三星(韓国)、CMO、AUO(共に台湾)が採用しているため量的比率も非常に高い。
[編集] 原理・特徴
VAとは Vertical Alignment の略。他の多くの方式と違いネガ型のネマチック液晶が使われる。名の通り初期状態で液晶を垂直に配向させ、電圧を印加させて液晶を倒す事により変化する複屈折を利用して、透過状態(白)と非透過状態(黒)を表現する。電圧が低いときに非透過状態としている。
この時、液晶が一方向に倒れると視角特性が悪いために、通常4方向に倒す事で広視野角を実現している(マルチドメイン配向)。
黒状態が垂直配向であることによる高コントラストが最大の特徴。非主流で有るネガ型ネマチック液晶を使っているために応答速度、電圧、信頼性に問題が有ったが改善され量産に至った。生産量が増えた現在ではネガ型であるデメリットはかなり低減されている。
広視角型として最も反射型に向いているのも特徴であり、反射+透過両立タイプの広視角型として量産されている。この場合には位相差フィルムの追加が必要となるために視角特性は悪くなる。
[編集] 歴史
原理の発見は古く、1970年代に溯る。DAP方式(Deformation of vertical Aligned Phase)と呼ばれていたり、VAN (Vertical Aligned Nematic) と呼ばれることもあったようだ。
表示方式としての採用は1990年頃の主にスタンレーによるパッシブ駆動が最も盛んだった。SH(Super Homeotropic)方式等と名付けられて開発されたVAはマルチドメイン等の考え方から現在の原型と言えるが、アクティブ化をしなかったこともあり育つことなく撤退した。
現在の隆盛への貢献は富士通に依るところが大きい。TFT駆動と突起によるマルチドメイン等の基礎を確立した。Δε(誘電率異方性)がネガティブとなるいわゆるネガ型という当時特殊な液晶はメルク社による独占的な供給ということ、CF上に液晶のプレティルトのための突起や、位相差フィルムもA-plateとネガC-Plateが必要で材料はコスト高が課題であったが、これまでのTN-TFTで必要であったラビングプロセスが不要なことから、シャープや台湾勢などに広く技術提携・技術供与した。量産効果による材料のコストダウンにVA方式の高歩留りという特徴も加わり、生産性から他方式を圧倒して市場を拡大させた。一方、設備投資を怠った富士通は業界での地位を落し、最終的には撤退に至った。
現在は、シャープ(後に富士通を吸収)、三星、富士通から技術供与を受けた台湾勢などを中心に非常に多くのメーカーが液晶テレビ用のパネルとして量産している。