TOPS-10
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TOPS-10は、1964年、ディジタル・イクイップメント・コーポレーション(DEC)がPDP-10向けにリリースしたオペレーティングシステム。TOPS-10を搭載したPDP-10システムは "DECsystem-10"と呼ばれた。
[編集] 概要
TOPS-10のAPIは非常に頑強であり、UUO(Unimplemented User Operation; 未実装ユーザー命令)を利用した機構を使っている。UUOによりシステムコールは機械語の一種のように実装された。APIはモニターコールと呼ばれ当時の他のオペレーティングシステムに比較して非常に進んでいた。DECsystem-10のシステムプログラミングは単純で強力であり、それはこの非常に柔軟なAPIによるところが大きい。
TOPS-10は多数のキューから構成される面白いスケジューラを備えていた。対照的にOpenVMSのスケジューリング用キューは2つしかない。TOPS-10ではプロセスの優先順位に応じてキューを選択している(多段フィードバックキューの原始的なものと言える)。また、ユーザーファイルとデバイスの独立性もある。TOPS-10の系統は RSX-11 に受け継がれ、さらに OpenVMSに受け継がれた。また、設計思想という意味ではMicrosoft Windows NTにも受け継がれている。
TOPS-10は、当時としては非常に先進的で柔軟性の高いオペレーティングシステムであった。
[編集] 共有メモリ機能の利用
TOPS-10は共有メモリをサポートし、マルチプレイヤー型のコンピュータゲームの開発を可能とした。DECWARというゲームはテキストベースの Star Trek のようなゲームで、ユーザーは端末からコマンドを打ち込み、リアルタイムで互いに戦うことができた。
他の特筆すべきアプリケーションとして FORUM がある。このアプリケーションはいわゆる「CBシミュレータ」の先駆けであり、現在ではチャットと言われるユーザー同士の会話を可能とするものである。このアプリケーションはマルチユーザー通信の可能性を示したもので、CompuServeのチャットが開発される要因のひとつである。
[編集] イースターエッグ
TOPS-10にはいくつかの興味深いイースターエッグがある。例えば、以下のコマンド
MAKE LOVE
には、以下のような応答が返ってくる。
Not War?
今日でもOpenVMSのエディター Teco には "$ make love" というコマンドを入力すると同じ応答が返ってくる機能が残っている。