Microsoft Virtual PC
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Microsoft Virtual PC | |
開発元: | マイクロソフト |
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最新版: | 2007SP1 (Windows), 7.0.2(Mac) / 2008年5月15日(Windows), 2005年6月28日(Mac) |
対応OS: | Windows,Mac OS X |
種別: | 仮想PC |
ライセンス: | プロプライエタリ |
公式サイト: | Windows用 |
Microsoft Virtual PC(マイクロソフト バーチャル ピーシー)とは、WindowsおよびMac OS X上にPC/AT互換機の仮想マシン環境を構築するマイクロソフトのアプリケーションソフトウェアである。
米Connectix社がMacintosh向けに開発し、後にWindows、OS/2にも移植された。その後マイクロソフトが2003年にConnectixより当製品部門および関連特許等を買収し、Microsoft Virtual PCとして開発、提供している。
目次 |
[編集] 入手方法
2006年7月12日、米マイクロソフト社がWindows向けにVirtual PC 2004の無償提供を開始した。
また、Windows用最新バージョンであるVirtual PC 2007は2007年2月20日に無償提供された。2008年5月15日には同SP1が公開されている。
Virtual PC for Mac Version 7は各種エディションがパッケージで販売されているほか、Office 2004 for Mac Professional EditionにVirtual PC for Mac 7 with Windows XP Professionalが同梱されている。
[編集] 機能
Virtual PCは、パソコン上に簡単にPC/AT互換機の仮想マシン環境を作ることが出来るソフトウェア製品。OSを仮想的に動作させるタイプではなく、ハードウェアとしてのPC環境を仮想的(ヴァーチャル)に構築している。Macintosh版製品にはパッケージによりMS-DOSまたはWindowsが付属するが、付属しているOS以外の物もインストールすることができるのが特徴である。ハードウェアをソフトウェアによってエミュレートしているため、かなり高速なマシンでも、動作の面ではどうしても遅さが目立ってしまう(Macの実装CPUと仮想マシン上のCPUの対比は、1:5になる。例えば1.5GhzのG4で走る仮想マシーンでは、300Mhz足らずのインテルとしての機能を提供する)。とくにビデオチップをCPUでエミュレーションしているため、高度なグラフィック機能を要求する3Dゲームをプレイするのにはほとんど使い物にならない。Direct3Dのハードウェアアクセラレーションは存在しない。
しかしシステムのバックアップやファイル交換、オフィスアプリケーションの利用、あるいは別OSでのWebやアプリケーションの動作テスト等、速度を必要としない用途に非常に便利である。コンピュータ・ウイルスやソフトウェアのバグなどによりシステムが破壊されても容易に復旧できるなど、仮想環境ならではの長所もある。付属の連携ソフトをゲストOSにインストールする事により、ホストOSとゲストOSの間でデスクトップやフォルダ間のファイルのドラッグ・アンド・ドロップが可能になり、またMac OS上のWindowsではドック内にスタートメニューを置く事ができるなど、さまざまな便利な機能が用意されている。
Virtual PCのエミュレートでは、ネットワークの設定を変更して、インストール時にMacと共有していたIPアドレスを固定のIPアドレスに設定できる。こうすることによりVirtual PC上のWindowsは、さも一台の実在するマシンのようにネットワーク上では認識される。また、Virtual PCの設定ファイル類を外付けHDDで持ち歩けば他所のPCのVirtual PC上で同じ環境がエミュレートできる。
当初は米Connectix社が販売していた価格よりも安く提供されていたが、後に無償公開に変更された[1]。サーバOSのWindows Serverで動作する仮想化技術(Virtual Server 2005の無償公開に合わせたものと思われる。一方、Universal版(PowerPCとインテル両プロセッサのMacでネイティブで作動する)Virtual PC for Macの開発中止を発表している[2]。
[編集] 対応OS(ホスト)
以下はマイクロソフト社が対応を表明しているOSである(Virtual PC 2007での対応状況)。
- Windows XP Professional
- Windows XP Professional x64 Edition
- Windows XP Tablet PC Edition
- Windows Server 2003 Standard
- Windows Server 2003 Standard x64 Edition
- Windows Vista Business
- Windows Vista Enterprise
- Windows Vista Ultimate
以降
公式にサポートされていないが動作が確認されているOS
- Windows XP Home Edition
- Windows Vista Home Premium
Virtual PC 2004での対応状況
- Windows XP Professional Service Pack 2
- Windows 2000 Professional Service Pack 4
- Windows Server 2003 Service Pack 1
以降
[編集] 対応OS(ゲスト)
以下はマイクロソフト社が動作確認しているOSである(Virtual PC 2007での対応状況)。
- Microsoft Windows Vista
- Microsoft Windows Server 2003
- Microsoft Windows XP
- Microsoft Windows 2000
- Windows Me
- Microsoft Windows 98 Second Edition
- IBM OS/2
公式にサポートされていないだけで、ほかにも
- Microsoft Windows 3.1
- Linux (Connectix時代は正式サポートされていた)
- Windows NT 4.0
- Windows 98
- Windows 95
- MS-DOS 6.22 (Virtual PC 2004 SP1までは正式にサポートされていた)
- 超漢字
等のOSがゲストとして実行可能である。
[編集] 用語解説
- バーチャルPC(バーチャルマシン)
- BIOSとハードウェアをこのソフトウェアでエミュレーションしている状態。実際に手元にある物理的なPCに対し、この状態をバーチャルPCという。
- 物理PC
- バーチャルPCに対し、実際に手元にあるPCのハードウェアを指す。
- ゲストOS
- バーチャルPC上のOS。
- ホストOS
- バーチャルPCをソフトウェアとして、物理PC上で動作させているOS。
- バーチャルハードディスク(またはバーチャルHD)
- ゲストOSのハードディスク。ホストOSから見て、以下で解説する*.vhdファイルを指す。
- バーチャルメモリ(またはバーチャルRAM)
- 物理PCに搭載されているメモリの一部をバーチャルPCのメモリとして使用している状態。間借りしている形になるため、上限はホストOSの動作に影響を及ぼさない範囲で設定することになる。ゲストOS側の設定で、メモリのスワッピングやページングファイルなどの機能を停止した方が無駄なHDDアクセスを減らし、パフォーマンスを高めることが出来る場合がある。
- vhdファイル
- バーチャルマシンハードドライブイメージ。HDサイズをあらかじめ決めて作成するが、実際に使用した分量のみがこのイメージファイルの実際のサイズとなるため、物理PC上のHDDを圧迫する心配は少ない(容量可変ディスクの場合)。
- vmcファイル
- バーチャルマシン構成(設定)ファイル。物理PCのHDDにバーチャルPCの設定情報として保存される。
- vsvファイル
- バーチャルマシン保存された状態ファイル。ゲストOSをシャットダウンせずにバーチャルPCを「状態を保存して終了」させるとこのファイルに保存される。
[編集] 関連項目
[編集] 参照
- ^ http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2006/07/13/12653.html
- ^ http://japan.cnet.com/news/ent/story/0,2000056022,20194607,00.htm