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JR東日本E721系電車 - Wikipedia

JR東日本E721系電車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


JR東日本E721系電車
停車中のE721系500番台と0番台(2007年11月4日、仙台駅にて撮影)
停車中のE721系500番台と0番台(2007年11月4日、仙台駅にて撮影)
営業最高速度 110km/h
設計最高速度 120km/h
編成定員 0番台:270(座席定員:106)
500番台・SAT:269(座席定員:104)
車体長 20,000mm
車体幅 2,950mm
車体高 3,550mm
編成重量 74.4t
軌間 1,067(狭軌)mm
電気方式 交流20,000V(50Hz)
編成出力 500kW(MT比1:1)
歯車比 1:5.93
駆動装置 TDカルダン駆動
制御装置 VVVFインバータ制御IGBT
ブレーキ方式 回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ・直通予備ブレーキ・抑速ブレーキ・耐雪ブレーキ・純電気ブレーキ
保安装置 ATS-Ps
備考
第48回(2008年
ローレル賞受賞車両

カテゴリ / テンプレート

■Templateノート 解説)鉄道PJ

E721系電車(E721けいでんしゃ)は、東日本旅客鉄道(JR東日本)の交流一般形電車

本項では、仙台空港鉄道が所有する同型車両のSAT721系電車(SAT721けいでんしゃ)についても記述する。

目次

[編集] 概要

JR東日本の仙台地区輸送改善・仙台空港アクセス用として用いるため開発された電車である。

2007年平成19年)3月18日に開業した仙台空港鉄道仙台空港線名取駅 - 仙台空港駅)への直通運転用として500番台がSAT721系とともに製作され、JR東日本仙台地区の国鉄形電車置き換え用として0番台が製作された。製作担当は川崎重工業東急車輛製造である。また、2008年ローレル賞をE721系、SAT721系ともに受賞している。

[編集] 仕様

クモハE721形のDT72形台車(2007年3月 郡山駅)
クモハE721形のDT72形台車(2007年3月 郡山駅)

クモハE721形とクハE720形の2両で基本編成を構成する。

先に製作された701系電車と同様ステンレス製の軽量構体で、客用扉は両開き式のものを片側に3か所設ける。

バリアフリーの施策に鑑み、車体構造をはじめとする設計の細部が従来車から見直された。床下機器を小型化し、従来車より 50mm 小さい 810mm 径の車輪を採用して客室の床面高さを 950mm [1]まで下げ、ホームとの段差を小さくしている。乗降口はステップを廃して床面をフラットにしたほか、「くつずり」を延長して車両とホームの間のすき間を小さくしている。

乗務員室の床面は従来車と同一高さで、他系列と併結する際には客室と段差が生じる。このため、注意喚起の目的で黄色い点字が施されている。

0番台の客用扉開口部 ステップはない
0番台の客用扉開口部 ステップはない

客用扉は開閉ボタンの取付位置を従来車より低い位置に改め、閉扉時の扉挟み防止のために開口10cm程度となった時点で閉扉動作を一旦停止した後に閉扉動作を再開して扉締めを完了させる機構も採用されている。ドアチャイムがついており、ドアが開くときは1回、閉じるときは2回鳴るようになっている。

0番台の車内
0番台の車内

座席はセミクロスシート配置である。乗降扉の間にボックス式クロスシートが配置されており、それ以外の箇所はロングシートである。ボックス式クロスシートの座席間隔は1,585mm、ロングシート部分の1人分の座席幅は460mmで、従来車より広い。

0番台車は中央快速線などで運用されているE233系電車と同様に優先席の部分の床材が赤紫色と灰色のツートンカラー、つり革がオレンジ色になっており、優先席以外の空間との区別が明確にされている。空調機器には乗車率や車内・車外の温度を検知し、設定基準温度や風量を自動補正する機能が備えられた。トイレは、電動車椅子での利用にも対応可能な面積が確保されている。

自動放送装置は日本語・英語の2か国語対応のものを搭載し、ワンマン運転時、非ワンマン運転時を問わず自動で案内放送が行われる。[2]英語放送は、到着時には流れないほか、ドア開閉案内も省略されている。車内案内表示器はLED1段式である[3]。車外の行先表示器はLED式で行先のみを表示する。

運行機器関連では、保安装置のATS-Ps、補助電源装置の静止形インバータ (SIV) や主変換装置が二重系構造となり、一方が故障しても健全な機器に切り替えることでなるべく運行が続けられるような配慮がなされている。また、701系電車との協調運転が可能になっている。

今後のワンマン運転を想定し、整理券発券器と出入口表示器の準備工事がなされている。そのうち500番台車とSAT721系電車には仙台空港線でのワンマン運転にあわせて運転台にドア開閉スイッチが設置されている。ただし、同線では運賃収受を各駅で行っているため、整理券発券器や出入口表示器は準備工事のままになっている。

[編集] 主要諸元

  • 車体構造:軽量ステンレス製・片側3扉(半自動ドアドアチャイム・開閉表示灯付き)
  • 外部装飾:緑と青の帯(500番台車)/緑と赤の帯(0番台車)
  • 座席配置:セミクロスシート(車椅子スペース付き)
  • その他設備:行先表示器・冷暖房装置・洋式トイレ(電動車椅子対応)
  • モニタ装置:MON16形
    • 701系のモニタ装置と互換性を持ち、両車間で機器の動作状況が監視できる。
  • 他系列との併結:701系電車と協調運転、719系電車651系電車[4]と相互に救援が可能。
    • 701系電車との協調運転の場合、同系列の性能に合わせて走行することになる。ATSの速度照査パターンも、同系列との協調運転の場合には同系列と同じ照査パターンになる。

[編集] 車号区分

[編集] 0番台

0番台(2007年3月25日、郡山駅にて撮影)
0番台(2007年3月25日、郡山駅にて撮影)

JR東日本仙台地区の在来線日本国有鉄道(国鉄)時代から使用してきた455系・457系717系417系など国鉄形電車の置き換え目的で製造された。

第1編成は2006年(平成18年)11月に落成した。翌2007年10月までの1年間で2両編成39本の計78両が導入され、上記の旧型車117両を置き換えた[5]。旧型車から新型車への置き換え過程では一部で混乱が生じた[6]。同年2月1日より東北本線で、3月17日から常磐線で、4月22日から仙山線でそれぞれ営業運転を開始した。

本区分は地域輸送に専用することを目的とし、大型荷物置場は装備しない。車体装飾帯の色は701系電車(仙台地区仕様車)や719系電車(同)と同様の緑+赤+白である。

[編集] 500番台

500番台(仙台駅にて撮影)
500番台(仙台駅にて撮影)

仙台空港線直通運転専用の車両である。空港へのアクセスを担うために大型荷物置場が設置されている他、ワンマン運転装置やホーム監視モニタなど仙台空港線を運行するにあたって特有の設備を有することから、車両番号が500番台に区分されている。第1編成は2006年2月に落成し、その後9月から10月にかけて第2 - 4編成が製造された。2両編成4本の計8両が存在する。1本が東急車輛製の他はすべて川崎重工製である。

仙台空港線の開業日である2007年3月18日から営業運転を開始した。営業運転開始は0番台が先行しているが、車両が落成したのは500番台車が先である。開始当初はワンマン運転であっても行先表示器には列車の行き先のみ(快速運転の場合は種別も併記)を表示していたが、後に「ワンマン」を併記するようになった。

500番台車は0番台車と異なり、JR東日本仙台支社のシンボルカラーである緑と空をイメージさせる青の装飾帯を車体に配する。座席表地は0番台車と同じく青を基調としたものである。発車メロディWater Crown)を車外スピーカーより放送することが可能である。

[編集] SAT721系電車

SAT721系(名取駅にて撮影)
SAT721系(名取駅にて撮影)

仙台空港鉄道の自社発注車で、2両編成3本の計6両を保有する。川崎重工製で、2007年3月18日から営業運転を開始した。

外部塗色は正面の運転台周り・側面の側窓上下に青色帯、正面 - 側面下部に黄色の細帯を配する。座席表地は赤を基調とした配色で、枕部は着席単位に分割されない布地である。他の仕様は500番台と同一で、E721系との併結運転も可能である。

[編集] 編成・運用

本系列は全車を仙台車両センターに配置する。仕様上は4編成8両まで併結可能であるが、現在の営業運転では6両編成が最大である。運用範囲は以下のとおりである。

基本番台
臨時列車として仙台空港線に入線した事例がある。
500番台・SAT721系
※ 500番台とSAT721系は運用を共通化しており、相互に連結しての運用もある。
※ P-501・P-503編成では側面のドアと窓の間と窓の下にステッカー型の広告が貼付されている。

[編集] 脚注

  1. ^ 東北地方ホームの標準高は 920mm である。従来車の床面はホームより10cm以上高かったため、ホームと車両の間に大きな段差が生じていた。
  2. ^ 音声は、日本語放送を三浦七緒子が、英語放送をクリステル・チアリが担当している。
  3. ^ 表示内容は次駅と行先と車内マナーの案内である。マナー表示はスクロール式であることと駅接近時の英語表示が「(駅名) Soon」となる部分がE721系のオリジナルである。
  4. ^ 2007年11月6日に常磐線(新地 - 坂元)で行われた合同異常時訓練で、故障のため緊急停車した651系電車をE721系電車が救援をするという想定で訓練が行われた。
  5. ^ 旧型車の残り27両は水戸線・常磐線友部 - 原ノ町間で運用されている415系電車(1500番台)に置き換えられた。
  6. ^ 常磐線では、2007年3月からE721系電車2両編成で運転される列車が生じたが、後日、一部列車で455系電車6両編成に戻され、同年11月に改めてE721系電車4両に編成変更された。磐越西線では、E721系投入により捻出された719系電車が455系電車を置き換える計画で、2007年7月に一旦は置き換わったが、同年9月から翌年3月まで455系電車1編成3両が磐越西線の運用についていた。

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

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