Cz75
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Cz75後期型 |
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Česká zbrojovka(チェスカー・ズブロヨフカ)75 | |
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種類 | 民間用自動拳銃 |
製造国 | チェコスロバキア |
設計・製造 | チェコスロヴァキア国営銃器工場 Česká zbrojovka社 |
口径 | 9mm |
銃身長 | 120mm |
ライフリング | |
使用弾薬 | 9mm×19パラベラム弾 |
装弾数 | 15+1発 |
作動方式 | ダブルアクション ティルトバレル式ショートリコイル |
全長 | 203mm(前期型) 206mm(後期型) 206mm(現行モデルCz75B) |
重量 | 980g(前期型) 990g(後期型) 1000g(現行モデルCz75B) |
発射速度 | {{{発射速度}}} |
銃口初速 | 396m/s |
有効射程 | 50m |
Cz75は、1975年に開発を計画され製造されたチェコスロバキア(現在のチェコ)製の自動式拳銃。
当時の西側のニーズを的確に備えて、粗悪なものが多かった東側製の武器としては異例の高品質・高精度であった。そのこともあり、西側市場で成功した数少ない東側の銃器である。
目次 |
[編集] 概要
Czの由来は開発者の「チェスカー・ズブロヨフカ (Česká zbrojovka) 」からきている(設計者はKoucky兄弟)。
当初から軍用ではなく民間用として開発されており、外貨の獲得を重視した設計となっている。革新的な新技術を導入するわけでもないため軍用拳銃として採用される見込みが薄かったことと、民間用ならば多少値が張ってもよかったことも理由の一つである。
口径は9mm(9mm×19パラベラム)、装弾数はダブルカラムマガジンによる15+1発である。冷戦時に東側であったチェコスロバキアが西側で主流である9mmを選んだのも、比較的軍用以外で拳銃が浸透していた西側での外貨獲得を睨んだためである。
ちなみに、セフティ機構としてはダブルアクションでありながらコック&ロックを採用しており、デコッキングレバーの類は装備されていない。
また、ファイアリングピンセフティなども存在しない為、ダブルアクションに意味があるのか疑問符がつく。
[編集] 前期型
チェコスロバキアは当時共産圏であったために、コストパフォーマンスを第一に考える必要がなく、素材も最高級のスチールの削り出しであり、その素材の恩恵として部品の厚さを薄くすることができた。一般的に、ダブルカラムマガジンは装弾数は大きいがマガジン自体が太いため、必然的にグリップ部も太くなり握りにくい。しかし、素材の恩恵と人間工学によりグリップ形状に特徴を持たせ、非常に持ちやすく構えやすい形となっており「手に吸い付くようだ」と評する人もいる。
ただし、素材のスチールが硬いということは、切断、切削加工の際に切削工具の刃がすぐに駄目になるということでもある。これは生産性第一の軍用の拳銃であれば致命的な問題である。
輸出に際しては(チェコスロバキアは東側であったが)西側諸国にも多数送り出され、東側ゆえの品質に対する値段の安さといった西側のニーズを的確に備えた優秀な自動拳銃としてその評判を高めていった。しかし、共産主義と敵対していたアメリカは東側の製品であるCz75の輸入を認めず、ヨーロッパから少数流れ込んだ正規品のCz75はマニアの間で高値の値段で取引されていた(その人気ゆえ、コピー品も少なからず存在した)。現在でも前期型は盲目的なコレクターの垂涎の的で、かなりの高価で取引がされている。
また、当時コンバットシューティングを提唱していたジェフ・クーパー (Jeff Cooper) がCz75を高く評価し「これが.45ACPであったなら世界最高のコンバットオートである」と述べ、後にこれをベースに「ブレン・テン10mmオート」の開発に協力した。ただし「高い評価でありながら、共産圏製であるがゆえに手に入らない」という事実が組み合わさって、アメリカでは銃自体の実力からは想像も付かない過大評価がされていた。
Cz75は当時の東側製拳銃に比べると特徴のある流麗なフォルムであった(その当時の東側製銃器は無骨なデザインの物が多かった)。ただし、スライドとフレームの噛み合わせは一般的な拳銃とは逆になっており、これにより泥などの異物を噛みやすく作動不良を引き起こしやすかった。さらに、スライドを手で掴むセレーション部分が極端に小さく、スライドではなくフレーム後部を掴んでしまうなどの短所も存在した。
[編集] 後期型
前期型の成功により受注が増えたCz75は、生産性を上げるためにいくつかの変更を施された。
主な変更点は、製造過程を削り出し製法から鍛造へ変更したこと、これによる強度の低下のため、スライドとフレームの形状を若干変更したことである。また、グリップパネルを人間工学的に優れたデザインに変更した。なお、これに伴い重量もやや増加し、デザインも多少変化している。
東欧民主化後、チェコスロバキアからチェコ共和国へと国の形態は変化すれどもCzで生産は続けられ、世界市場に向けてさまざまなバリエーションが作られている。
[編集] 現在のCz75
Cz75シリーズとしてコンバットシューティングモデル(競技用)、ローエンフォースメント用マシンピストルモデル(法執行機関向けで全自動射撃可能)、Cz85といったアンビデクストラウスモデル(射撃者の左利き・右利きを問わない)も生産されている。
その他にも.22LRモデル、.40S&Wモデル、コンペンセイター装着モデルに加え、フレーム下部にアクセサリーレールを装備したCz75 SP-01、.45ACPを使用するために大型化したCz97Bなど、選択肢は他の銃同様となっている。
Cz75はコピー品を世界各地で見ることができ、Cz本社以外のメーカーでもスポーツバージョンといったものも発売されている。
また、イタリアや中国、北朝鮮でも生産されている。ただし、中国ノーリンコ製のものは、値段に対する実射性能は十分及第点に達しているが、サテンフィニッシュの外観はオリジナルとは程遠いといわれている。
北朝鮮では朝鮮半島の代表的な山である白頭山から名前を取った「白頭山拳銃」として生産されており、金正日総書記から送られる贈呈用拳銃として飾り付けられたものもある。もちろん銃としての性能に関しては、オリジナルと比べるべくもないと言われている。
最近では、NHKのドキュメンタリーで匿名を条件に取材に応じていたイギリスの某民間軍事会社がバリエーションのひとつ、CZ75Dを実弾訓練の際に利用しているところが確認されている。
[編集] Cz75が登場する作品
[編集] 映画・TVドラマ
- 『ピースメーカー』:検問突破のシーンでアレクサンデル=コドロフが使用。
- 『007 Casino Royale』:大使館に潜入したボンドが銃撃戦にて使用。
[編集] 漫画・アニメ
- 『ライディング・ビーン』:ヒロイン、ラリー・ビンセントの愛銃。前期型。
- 『ガンスミスキャッツ』:主人公、ラリー・ビンセントの愛銃。前期型。
- 『ガンスリンガー・ガール』:リコが使用。後期型。
- 『家庭教師ヒットマンREBORN!』:リボーンの愛銃。
- 『真ゲッターロボ』:神隼人が使用。
- 『パイナップルARMY』:第4巻Chapter1でジェド豪士が使用。
- 『Melty Blood』:シオン・エルトナム・アトラシアが所持。ゲーム版ではどの銃とは語られていないが、漫画版において形状で判断出来る(スライドに彫られたセレーションの形状でブレン・テンでなくCz75だと判断可能)。レール無し、コンペンセイター無し、ノーマルサイトなのでSP-01やコンパクト、コンバット、チャンピオンモデルでは無いと判断可能。かつゲーム版での弾数が13発なのでCz75B(当然後期型)の.40S&Wモデルの可能性が大。
- 『ヴァンドレッド』:銃器マニアのバーネットが愛用。
- 『ガガガガ(暴虐外道無法地帯ガガガガ)』:主人公ベニマルが使用。
- 『MONSTER』:物語後半、主人公テンマが使用。
[編集] ゲーム
- 『偽典・女神転生_東京黙示録』:初台シェルターのデビルバスター山瀬勇の初期装備。
- 『バイオハザード ガンサバイバー』:「ハンドガンB」として登場。速射性能に優れる。
[編集] 小説
- 『バトルロワイアル』:中川有香の支給武器
- 『トレジャー・ハンター 八頭大』:シリーズの主人公、八頭大の愛銃。菊地秀行の小説。
- 『撃つ薔薇 AD2023涼子』:大沢在昌のアクション小説。主人公の橡涼子(鮫島ケイ)が使用。
[編集] 関連項目
- ジェリコ941 - Cz75が参考にされている。