A KITE
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『A KITE』(ア カイト)は、1998年2月25日にグリーンバニーより発売された全2巻のアダルトアニメ。
なお、本項では続編『KITE LIBERATOR』(カイト リベレイター)についても記述する。
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[編集] A KITE
[編集] 概要
物語の舞台は日本だが、赤井達のアジトが欧米スラム街にしか見えない場所にあるなど、洋画を意識した無国籍風の作風とその映像クオリティの高さから、日本国内は元よりハリウッドで多大な支持を得た。特に、『トリプルX』のプロモーションで来日したロブ・コーエン監督が、影響を受けたものは何かという記者質問に「『A KITE』が素晴らしかった」と答えたのが有名。
[編集] あらすじ
女子校生と殺人請負人、2つの顔を持つ美少女・砂羽。表と裏の世界を巧みに使い分ける大人達の淫魔な呪縛から逃れられず、泥沼の世界に生きる砂羽が唯一心を許せる存在は、同じ世界に生きる謎の少年・音分利だけであった。二人はお互いに同じ性を感じながら、惹かれ合う。ある時、砂羽は組織と決別しようとする音分利の始末を命じられ、音分利に銃口を突き付けるが…。儚いと知りながらも愛情を育むか、それとも殺し屋の掟を優先するか。やがて物語は、冷酷なクライマックスを迎える。そして、砂羽の行方は…。
[編集] 登場人物
※この作品に声をあてた声優は、アダルトアニメ用の異なる芸名を使っているので、本当に声をあてたという声優は不明。
- 砂羽(さわ)
- 声 - 鳴瀬琴美
- 主人公の女子高生。12歳の時、赤井に両親を殺された。犯人が赤井であることを知っているが、彼への復讐のために敢えてその手解きを受け、殺人請負人となる。
- 音分利(おぶり)
- 声 - 小山田慎吾
- 謎の殺人請負人の少年。一日も早く自由の身になれる日を待っている。ちなみに、ビデオパッケージでは「音分利」と誤記されている。
- 赤井(あかい)
- 声 - 渋沢五郎
- 表の顔は警察の鑑識課職員。かつて砂羽の両親を惨殺し、彼女を引き取った。砂羽には殺人術を仕込む一方で女として開花させ、夜な夜な性欲の捌け口として扱うなど、非道の限りを尽くす。日頃は砂羽に足が付かないよう、立場を利用して現場の事後処理をしている。
- 蟹江(かにえ)
- 声 - 的場辰夫
- 赤井の仲間で、砂羽と音不利に殺害依頼を伝える男。斜視でファーストフード好き。赤井と同様、女性を性欲の捌け口としか見ていない。
[編集] スタッフ
- 企画 - 金木怪男、天地悠大
- 原作、脚本、キャラクターデザイン、絵コンテ、監督 - 梅津泰臣
- スーパーバイザー - Dr.POCHI
- 作画監督 - 岩井優器
- 美術監督 - 池端茂
- 撮影監督 - 森口洋輔
- 音楽 - アン・フー
- プロデューサー - 雅太郎、越中おさむ
- アニメーション制作 - アームス
- 発売 - グリーンバニー
- 製作 - ビームエンタテインメント
[編集] 作品リスト
- A KITE VOL.1(VHS:1998年2月25日発売 / DVD:1998年7月25日発売)
- A KITE VOL.2(VHS:1998年10月25日発売 / DVD:1998年12月18日発売)
- A KITE INTERNATIONAL VERSION(VHS/DVD:2000年7月25日発売)
- A KITE PREMIUM COLLECTORS VERSION(DVD:2007年12月21日発売)
- 『KITE LIBERATOR』製作記念として、VOL.1とVOL.2とINTERNATIONAL VERSIONを1パッケージに収録した廉価版。『KITE LIBERATOR』先行プロモーション映像付き。
[編集] 備考
- 『MEZZO FORTE』にも登場している砂羽と赤井
- 本作との間に世界観や設定の繋がりは存在しないため、梅津監督の遊び心による登場である。なお、『MEZZO FORTE』での赤井は、DSAの黒川と浅からぬ因縁にある模様。
[編集] KITE LIBERATOR
[編集] 概要
『KITE LIBERATOR』(カイト リベレイター)は、2008年3月21日に発売されたOVA。本編57分。一般作品。
2007年9月27日には、コミックヴァルキリー誌上にて漫画版が連載開始。同年10月25日には、第20回東京国際映画祭自主企画「animecs TIFF 2007」にてダイジェスト版(20分)が上映された。
[編集] あらすじ
両親の復讐を遂げた砂羽が行方知れずになってから、数年後。都会の闇には、鮮やかな手口でターゲットを抹殺する一人の死の天使が舞うようになっていた。それは、ごく普通の高校生活を送る少女・野口百南花に隠された一面…彼女のもう一つの顔だった。百南花はかつての砂羽の如く、淡々と裏仕事を遂行していく。その知られざる過去と、今は亡き赤井との因果とは? 運命の皮肉に翻弄されながらも、決して絶望しない百南花の強さと繊細な心、そして眼差しの先に見える未来は…?
[編集] 登場人物
- 野口 百南花(のぐち もなか)
- 声 - 井上麻里奈
- 主人公。普段はレストラン・アポロ11でアルバイトに勤しむドジで地味な眼鏡っ子の女子高生であり、星空の彼方で働く父の折外に想いを馳せる毎日を過ごしているが、裏の世界ではコンタクトレンズを着用して髪形も変え、「死の天使」と称される凄腕の殺し屋と化す。
- 野口 折外(のぐち おるど)
- 声 - 小山力也
- 百南花の実父で宇宙飛行士。勤務は数年間にも及ぶため、愛娘であり唯一の家族でもある百南花を一象に預け、養育費とプレゼントを贈り続けていたが…。
- 土井 光一(どい こういち)
- 声 - 佐藤せつじ
- 食品大手の巨大企業「デファイ・フード」の宇宙食開発センターチーフ。気弱な男。
- 野口 一象(のぐち いちぞう)
- 声 - 乃村健次
- 折外の実弟でタクシー運転手。百南花がアポロ11でウェイトレスのアルバイトに勤しんでいることや、裏仕事には気付いていない。
- 野口 愛月(のぐち あづき)
- 声 - 真堂圭
- 一象の一人娘で、百南花とは従姉妹かつ親友の陽気な少女。一象同様、百南花の裏仕事には気付いていない。
- 我賀 倫(がが りん)
- 声 - 森田成一
- 署轄の生活安全部保安課の若き刑事。行き付けのアポロ11で働く百南花に想いを寄せるが、ある日以降彼女が未成年であることを知るも、死の天使であることには気付いていない。
- 雨津 都呂九郎(あむづ とろくろう)
- 声 - 麦人
- アポロ11の経営者兼店長。普段は百南花を未成年と知りながら雇っているスケベな男であるが、裏の顔は不法銃器の密売及び製造ビジネス業を営む商人。
- 向井 万夏(むかい まなつ)
- 声 - 岡村明美
- アポロ11の従業員で、シングルマザーの強気な美女。しかし、その正体は…。
- 追音 貴知/追音 香衣(ついん きち/ついん かい)
- 声 - ヤスヒロ
- 世間を震撼させている双子の連続殺人犯。
[編集] スタッフ
- 企画 - 鈴木径男(ハピネット・ピクチャーズ)、鈴木雅人、草野啓二(スタジオ旗艦)、ジョン・シラベラ(メディアブラスターズ)
- プロデューサー - 楠原真理子、越中おさむ、羽山陽子
- 原作、監督、脚本、絵コンテ、演出、キャラクターデザイン - 梅津泰臣
- 作画監督 - 梅津泰臣、金子秀一
- プロップデザイン - 金子秀一
- 3D制作 - デジタル・フロンティア、スタジオトリコ
- 美術設定 - 平田秀一
- 美術監督 - 佐藤豪志(草薙)、若松栄司(草薙)
- 色彩設計 - 中田亮大
- 撮影監督 - 菅原徹(スタジオコスモス)
- 編集 - 瀬山武司(瀬山編集室)
- 音楽 - 石川智久
- 音楽制作 - ランティス
- 音響監督 - 清水勝則
- 音響効果 - 神保大介
- 音響制作 - ザック・プロモーション
- アニメーション制作 - アームス
- 製作 - 「KITE LIBERATOR」製作委員会
[編集] 漫画版
コミックヴァルキリー11月号(9月27日発売)より連載中。作画は小宮利公。