1984年のF1世界選手権
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1984年のF1世界選手権は、FIAフォーミュラ1世界選手権の第35回大会である。1984年3月25日にブラジルで開幕し、10月21日にポルトガルで開催される最終戦まで、全16戦で争われた。
目次 |
[編集] 概要
[編集] 第二期ホンダエンジンの勝利
アメリカグランプリにおいて、ウィリアムズのケケ・ロズベルグがウィリアムズFW09・ホンダをドライブし優勝した。ホンダエンジン搭載車の勝利は1967年以来のことだった。
[編集] セナ、F1デビュー
アイルトン・セナが中堅チーム・トールマンからF1にデビューした。新人ながら第6戦モナコグランプリでは大雨の中でファステストラップを記録し、決勝でも2位表彰台を獲得する活躍を演じた。
[編集] 水タンク事件
アメリカ東GP後の車検で、ティレルのマシン(ティレル012)の水タンクから微量の炭化水素が検出された。これは、水タンクに燃料を入れ走行、終盤のピットインで水を足してレースを規定重量以下で走っていたことが判明、シーズン終盤にレギュレーション違反との判定が下された。これによって、このシーズンのティレルチームと所属ドライバー、ステファン・ベロフとマーティン・ブランドル、ステファン・ヨハンソンの全ての記録・ポイントが剥奪された。
[編集] チャンピオン争い 〜0.5ポイント差〜
プロストは今年マクラーレンに復帰。チームメイトのニキ・ラウダと選手権争いで接戦を繰り広げるが、ラウダより2つも多く勝ち星を挙げながらわずか0.5ポイント差でチャンピオンを逃す。
プロストはこの年のモナコGPで優勝したが、雨天であることを理由に短縮レースになったため、獲得ポイントが半分になってしまった(レース短縮により1位=9ポイントの半分である4.5ポイントしか獲得出来なかった)。これがチャンピオン争いに大きく影響したと言われた。
プロストは雨を苦手としており(極端に慎重な走りになる)レースが続行していれば優勝出来たかは疑問、と言う意見もある。最大で30秒以上あった2位アイルトン・セナとの差が、赤旗中止となったレース最終周では7秒差にまで縮まっていた。さらにその後ろからはステファン・ベロフが、セナを上回る猛烈なペースで追い上げていた。
しかし、プロストよりも速かったのはセナとベロフだけで、セナは火傷とマシンのサスペンションにトラブルを抱えており、ベロフは後に水タンク事件で年間ポイントを剥奪されている。その為、仮にレースが規定周回数まで行われていれば、もしセナに抜かれたとしても2位で6ポイントを獲得していたことになり、年間ポイントでラウダを1ポイント上回っていたことになる。もちろんセナとベロフに抜かれず優勝した可能性も大いにあり、そうなれば完全にラウダのポイントを上回っていたことになる。レース中止を促したプロストが最終的に自らの首を締める事となったのは皮肉と言えよう。
[編集] 参戦チーム・ドライバー
チーム | シャーシ | エンジン | タイヤ | ドライバー |
---|---|---|---|---|
ブラバム | BT53 | BMWM12/13(直4ターボ) | M | 1.ネルソン・ピケ 2.テオ・ファビ (2.)コラード・ファビ (2.)マンフレート・ヴィンケルホック |
ティレル | 012 | フォードDFY(V8) | G | 3.マーティン・ブランドル (3.)ステファン・ヨハンソン 4.ステファン・ベロフ (4.)マイク・サックウェル |
ウィリアムズ | FW09,FW09B | ホンダRA164E(V6ターボ) | G | 5.ジャック・ラフィット 6.ケケ・ロズベルグ |
マクラーレン | MP4/2 | TAGP01(V6ターボ) | M | 7.ニキ・ラウダ 8.アラン・プロスト |
RAM | 03 | ハート415T(直4ターボ) | P | 9.フィリップ・アリオー 10.ジョナサン・パーマー (10.)マイク・サックウェル |
ロータス | 95T | ルノーEF4B(V6ターボ) | G | 11.エリオ・デ・アンジェリス 12.ナイジェル・マンセル |
ATS | D7 | BMWM12/13(直4ターボ) | P | 14.マンフレート・ヴィンケルホック (14.)・31.ゲルハルト・ベルガー |
ルノー | RE50 | ルノーEF4(V6ターボ) | M | 15.パトリック・タンベイ 16.デレック・ワーウィック 33.フィリップ・ストレイフ |
アロウズ | A6,A7 | フォードDFV(V8) BMWM12/13(直4ターボ) |
G | 17.マルク・スレール 18.ティエリー・ブーツェン |
トールマン | TG183B,TG184 | ハート415T(直4ターボ) | P | 19.アイルトン・セナ (19.)ピエルルイジ・マルティニ 20.ジョニー・チェコット (20.)ステファン・ヨハンソン |
スピリット | 101,101B | ハート415T(直4ターボ) | P | 21.マウロ・バルディ (21.)ヒューブ・ロテンガッター |
アルファ・ロメオ | 184T | アルファ・ロメオ890T(V8ターボ) | G | 22.リカルド・パトレーゼ 23.エディ・チーバー |
オゼッラ | FA1E,FA1F | アルファ・ロメオ890T(V8ターボ) アルファ・ロメオ1260(V12) |
P | 24.ピエルカルロ・ギンザーニ 30.ヨー・ガルトナー |
リジェ | JS23 | ルノーEF4(V6ターボ) | M | 25.フランソワ・エスノー 26.アンドレア・デ・チェザリス |
フェラーリ | 126C4 | フェラーリTipo031(V6ターボ) | G | 27.ミケーレ・アルボレート 28.ルネ・アルヌー |
[編集] ドライバー変更
- コラード・ファビ - 第6・7戦、第9戦にテオ・ファビの代役として出走
- マンフレート・ヴィンケルホック - 最終戦のみファビの代役として出走
- ステファン・ヨハンソン - 第10戦から第13戦までブランドル、第14戦から最終戦までチェコットの代役として出走
- マイク・サックウェル - 第7戦にパーマー、第11戦にベロフの代役として出走
- ピエルルイジ・マルティニ - 第14戦のみセナの代役として出走
[編集] エンジン変更
- アロウズは、シーズン中盤からBMWにスイッチ。
- スピリットは、第8戦のみフォードV8を搭載。
- オゼッラは、第4戦のみアルファロメオV12を搭載。
[編集] タイヤ変更
- トールマンは、第5戦からミシュランにスイッチ。
[編集] カーナンバー変更
- ゲルハルト・ベルガー(ATS) - ヴィンケルホックが最終戦ブラバムから参戦し、No.31からNo.14に変更。
[編集] 開催地及び勝者
開催日 | GP名 | 開催サーキット | 勝者 | チーム | 結果 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 3月25日 | ブラジルグランプリ | ジャカレパグア・サーキット | アラン・プロスト | マクラーレン・TAGポルシェ | 詳細 |
2 | 4月7日 | 南アフリカグランプリ | キャラミ | ニキ・ラウダ | マクラーレン・TAGポルシェ | 詳細 |
3 | 4月29日 | ベルギーグランプリ | スパ・フランコルシャン | ミケーレ・アルボレート | フェラーリ | 詳細 |
4 | 5月6日 | サンマリノグランプリ | イモラ | アラン・プロスト | マクラーレン・TAGポルシェ | 詳細 |
5 | 5月20日 | フランスグランプリ | ポール・リカール | ニキ・ラウダ | マクラーレン・TAGポルシェ | 詳細 |
6 | 6月3日 | モナコグランプリ | モンテカルロ | アラン・プロスト | マクラーレン・TAGポルシェ | 詳細 |
7 | 6月17日 | カナダグランプリ | モントリオール | ネルソン・ピケ | ブラバム・BMW | 詳細 |
8 | 6月24日 | アメリカ東グランプリ (デトロイトグランプリ) |
デトロイト | ネルソン・ピケ | ブラバム・BMW | 詳細 |
9 | 7月8日 | アメリカグランプリ (ダラスグランプリ) |
ダラス | ケケ・ロズベルグ | ウィリアムズ・ホンダ | 詳細 |
10 | 7月22日 | イギリスグランプリ | ブランズハッチ | ニキ・ラウダ | マクラーレン・TAGポルシェ | 詳細 |
11 | 8月5日 | ドイツグランプリ | ホッケンハイム | アラン・プロスト | マクラーレン・TAGポルシェ | 詳細 |
12 | 8月19日 | オーストリアグランプリ | エステルライヒリンク | ニキ・ラウダ | マクラーレン・TAGポルシェ | 詳細 |
13 | 8月26日 | オランダグランプリ | ザントフォールト | アラン・プロスト | マクラーレン・TAGポルシェ | 詳細 |
14 | 9月9日 | イタリアグランプリ | モンツァ | ニキ・ラウダ | マクラーレン・TAGポルシェ | 詳細 |
15 | 10月7日 | ヨーロッパグランプリ | ニュルブルクリンク | アラン・プロスト | マクラーレン・TAGポルシェ | 詳細 |
16 | 10月21日 | ポルトガルグランプリ | エストリル | アラン・プロスト | マクラーレン・TAGポルシェ | 詳細 |
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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