青春パンク
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青春パンク(せいしゅんパンク)とは、青春系のテーマをもったパンク・ロックまたはそれをモチーフとした歌のジャンルのこと。恋愛や友情、トラウマ、夢と情熱など若者の個人的なできごとや感情を主にテーマにする。これを扱うバンドは「青春パンクバンド」と呼ばれる。2000年代前半、中高生を中心にブームを起こした。
パンク・ロックバンドのTHE BLUE HEARTSやKENZI&TRIPS、COBRAなどに影響を受けたバンドが多いが、その多くが1970年代後半から1980年代生まれでリアルタイムでの影響の薄い世代であるのも特徴。サウンド面ではむしろHi-STANDARDやGREEN DAYなどメロディック・ハードコアの影響下にある者が多い。
[編集] 概略
1990年代後半頃から起こったメロコアブームやフォークソング・リバイバルを背景としている。オナニーマシーンのイノマーが手がけるロック雑誌のストリートロックファイルでブレイクしたGOING STEADYやガガガSPなどがある。2000年に発売されたMONGOL800のアルバム「MASSAGE」がインディーズアーティストとして史上初の100万枚のセールスを記録、1stアルバムでインディーズチャート6週連続一位を記録したSTANCE PUNKS、2003年前後には175Rのデビューシングルでオリコン初登場1位獲得、テレビ番組の企画から誕生したロードオブメジャー、海援隊の「贈る言葉」をカバーしヒットを記録したFLOWなど10代の中高生を主な支持層にその絶頂期を迎え、同系統のバンドが雨後の筍のようにクローズアップされるようになる。しかし、2003年の終わり頃からブームは沈静化し、同年より台頭してきたミクスチャー・ロックバンドや下北系ギターロックバンドに取って代わられるようになる。そのため前述のロードオブメジャーやFLOWなど、新たな方向性を模索するバンドも多い。
[編集] 評価
中高生を中心とした若年層から絶大な支持を獲得し、もともと偏りがちだったパンク・ロックのファン層を押し広げた点や、1990年代半ば以降下火になっていたバンドブームを再燃させたことは、紛れも無く青春パンクに分類されるバンドの功績である。
その一方で、彼らの音楽性に対して異議を唱えるアンチも多い。シンプルな歌詞、荒々しいだけの演奏パフォーマンス、意匠の無いメロディ、歌唱技術の乏しいボーカル、かつオリジナルパンクが持つ反社会的要素が薄く、ポジティブ思考のバンドが多い事から「歌詞に奥行きがない」「説教臭い」「ブルーハーツの模倣」「現状に何の不満も持っていないのに何処がパンクなのか?」「音楽ではなくノイズ」など批判の対象となる事も少なくない。特にコアなロックファン、オリジナルパンクのファンの中に嫌悪感を持つ者は数多い。上述のGOING STEADY(及び後継バンドの銀杏BOYZ)やガガガSPは青春パンクと呼ばれる事こそ肯定しているものの、他のバンドと共にこのカテゴリーに括られる事を嫌い、ガガガSPは楽曲「オラぁいちぬけた」(同名アルバム収録曲)において同系統に分類されるバンドに対して痛烈な批判を行っている。
[編集] 主な青春パンクバンド
注:現在は解散、転向したバンドも含める
- 藍坊主
- 175R
- THE イナズマ戦隊
- オナニーマシーン
- ガガガSP
- 銀杏BOYZ
- GOING STEADY
- THE STAND UP
- STANCE PUNKS
- 太陽族
- HUNGRY DAYS
- FLOW
- THE HOMESICKS
- ザ・マスミサイル
- 向風
- MONGOL800
- ロードオブメジャー