関節技
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関節技(かんせつわざ)とは、格闘技・武術・武道などに見える、人間の関節可動部の動きを封じる技である。靭帯を損傷し、捻挫・脱臼させることも可能な危険な技でもあり、軍隊などの徒手格闘術にも用いられる。
「梃子の原理」を応用し、腕力で勝る相手と対戦したとしても、技術で対等以上に渡り合える点で有効な技である。絞め技など、相手の関節を極めない技を含める場合、サブミッションホールドと呼ぶこともある。技が完成した状態は極まる(きまる)と表現され、この状態から脱出・回避するのは困難である。
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[編集] 関節技の特質
関節技は技がかかれば、体格差や体力の差を克服しやすく、技によっては相手を無傷で制圧しやすいなどの特性を持ち、護身術や逮捕術などでも重宝される。一方、関節技の多くは、その対策を相手が知っていたり通常より関節の可動域が広い人には、有効とはいえない場合がある。これは打撃や投げ技が「来ると分かっていても、防げない」レベルにまで高めることが出来ることとは対照的である。トップレベルの柔道の試合で、関節技で決まる試合が少ないのは、関節技の持つこうした性質も理由の一つであろう。関節技は、それ単体としてよりも、他の技術と併用してこそ威力を発揮するのである。
近年の総合格闘技においても、関節技を得意とする選手の活躍が頭打ちになったことは、この事を傍証している。ただ、総合格闘技に有効な新しい技術が開発された場合、その対策が広まるまで、再び関節技が総合格闘技の世界を席巻することになるだろう。
なお、2006年2月11日にアームロックで妻の腕を骨折させ死亡させる事件が起こり、関節技で関節および周辺の筋肉断裂をした場合、医療機関で治療せず放置しておくと敗血症などでショック死することがあると報道があった。
[編集] 関節技の名称
関節技は様々な格闘技、武道に存在する。そのため、同じ技でも競技や流派によって、名称が異なる場合がある。例えば、相手の肘関節を攻撃する関節技を柔道では腕緘、腕挫○○固と呼ぶが、プロレス・格闘技ではアームロックと呼ぶ。他に、柔道(柔術)の技であった腕挫十字固がプロレスに導入されるに当って、腕拉ぎ逆十字固めと呼ばれるなどの例もある。この件については腕挫十字固の項を参照。
日本の総合格闘技においては、プロレスとブラジリアン柔術における名称が主に使われている。これは日本の総合格闘技を主催する団体がプロレスと関係が深いこと、また、総合格闘技において、寝技、関節技を学ぶ際にはブラジリアン柔術を学ぶ場合が多いことが理由であると思われる。
[編集] 関節技の例
[編集] 腕関節技
- 腕挫十字固(アームバー)
- 腕緘(うでがらみ)
- チキンウィングアームロック(キムラロック、羽折り固め)
- V1アームロック(アメリカーナ)
- ストレートアームバー
- ツイストアームロック
- 腕挫腕固
- 腕挫膝固
- キーロック
- オモプラッタ
- Vクロスアームロック
- 腕挫腹固
- 腕挫手固
- ピローアームロック
- 腕ひしぎ襟十字固め
- 腕挫腋固
- 腕挫三角固
- 腕挫脚固(腹固め)
- 手首固め(モンジバカ)
- 二頭筋固め
- 小手返し
- 一教・一箇条・腕抑え
- 合気道・日本柔術や逮捕術などに見られる、相手の腕を肘と手首を掴んで取り押さえる。
- 二教・二箇条・小手回し
- 合気道や日本柔術などに見られる、相手の手首を捻りながら下方に押さえ込む技。手首や肘の腱を痛め、脱臼を起こす。
- 三教・三箇条・小手捻り
- 合気道・大東流合気柔術に見られる、相手の手首を捻りながら上方に突き上げる技。手首や肘の腱を痛める。
- 二本背負い投げ
- 日本柔術の派派に見える、いわゆる「裏投げ」の一つ。両の腕を交差させ、可動方向とは逆に投げる。極まると両肘を破壊するだけでなく、受身も封じられるため、脳天から叩き落とされ、頚椎損傷または、頭蓋骨折を併発し、命にかかわる。
- 指取り
- 柔術などに見られる、指関節を極める技。可動方向とは逆にまたは可動方向に捻ることで、動きを封じる。おもに小指、親指を狙う。いわゆる千里引き。
[編集] 足関節技
[編集] 首関節技
- 「ネックロック」と総称され、首関節、頚椎を極める技。危険なため、アマチュアの競技の中では禁止されてることが多い。
- 相手の両腕を羽交絞めにし、両手で相手の後頭部を押し極める。
- ネッククランク
- コブラ固め
[編集] その他
- 逆海老固め
- プロレスなどで見られる、相手が仰向けのところを、両足または片足を持ち海老状に、背中方向に極める技。股関節・膝・踝の三関節の同時極めである。
- ツイスター