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泣きゲー - Wikipedia

泣きゲー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

泣きゲー(なきげー)とは、ギャルゲーアダルトゲーム恋愛ゲーム)、美少女ゲームにおいて、「プレイすることで感動を呼び起こされ、泣かされるゲーム」を指す俗語。転じて、そういったゲームの内容の属性(特徴)を示す語やゲームのカテゴリ(範疇)またはジャンル(種類)の一つとしても使用されている。

目次

[編集] 概要

泣きゲーとは一言で言えば「泣かされるゲーム」であるが、何によってどのように「泣かされる」かは、実際にゲームをプレイしたユーザー(プレイヤー)自身にしか認識できない(感じ取れない)ことである。言い換えれば、「泣きゲー」とはその作品に対するユーザーの「感想」を端的に言い表したものとも言える。当然、これは各ユーザーの主観・価値観に依るものとなるため、個々の作品が泣きゲーか否かに関しては意見が分かれる所である。そのため、厳密なカテゴリやジャンルとして各作品を明確に区分することは、ゲームメーカー(制作者)が行っている区分ではないだけに非常に難しく、また無理がある。

泣きゲーの特徴として抜きゲーとの対比から性的描写が低調であることがあげられるが、CD・DVDによる大容量化にともない高画質化やボイス付きなど演出面が進歩したこともあり、性的描写についても以前のゲームより充実しているものがある。ただしその場合でもゲーム全体からいえば大きな部分を占めてはいない。

「泣きゲー」という言葉は美少女ゲームに感動系のものが急増した1990年代終わりから2000年代初めに使われるようになったため、それ以前のゲームは内容にかかわらず基本的に泣きゲーとは呼ばれない。

最近では、感動に特化したシナリオでなくとも、たとえば性的描写以外にもシナリオ性などにも重点が置かれたゲームのことを総じて「泣きゲー」と称される誤用法が増加している。

[編集] ジャンルとしての歴史

長い間、アダルトビデオと同列の商品であるアダルトゲームでは性的快楽の描写が好まれ、ストーリー性を重視した作品は限られていた。しかし、1996年から発売されたLeaf制作の「リーフビジュアルノベルシリーズ (LVNS) 」以降、ビジュアルノベル形式のゲームが広まり、よりストーリー性を重視した作品が制作されるようになる。

中でもシリーズ第3作『To Heart』の マルチシナリオは、「読む人を感動させ、泣かせることのできるシナリオ」と多くの人に評価され、泣きゲーというジャンルそのものの直接のきっかけになった。

その流れを受け、今度は感動させることを主目的としたゲームが広まることとなる。その奔りは、1998年Tacticsから出された『ONE 〜輝く季節へ〜』で、「心に届くADV」として製作され 「せつなさ」を前面に押し出した作品であった。

その難解とも言われるストーリー性ゆえ、『ONE 〜輝く季節へ〜』の販売本数は振るわなかったが、その当時のインターネットや口コミ等でじわじわと話題となり、各種アダルトゲーム雑誌でも大きく取り上げられるようになり、新しいジャンルの存在を世間に知らしめた。

そして、『ONE 〜輝く季節へ〜』の製作チームの一部が Tactics から移籍して立ち上げた ゲームブランド・Key より、1999年に出された『Kanon』は大ヒット作品となり、これによって感動させるストーリーに重きを置いた作品が、一つのゲームジャンルとして広く認知されることとなった。

これらのゲームの特徴として、シナリオの完成度の高さもさることながら、感動すべき場面でその効果を増強するために挿入されるゲームミュージックやボーカル曲も無視できない。泣きゲーの発展に伴って、それまでは単調だったゲームミュージックやボーカルもより重視されるようになり、完成度の高いものになってきている。例えば、『Kanon』の主題歌を担当したI'veはゲーム音楽専門の集団として人気を博し、その後の同様の専門家集団やゲーム専門音楽クリエイターの発展を促した。

プレイヤーの「感動」を呼び起こすことを目的とした泣きゲーのシナリオにおいて、アダルトゲームとしてのアイデンティティである性的な描写は必ずしも必要ではなく、むしろおまけ的な扱いとして軽視され、または性的な描写を潔しとしない、と見ることにもなった。

このことはKeyから2004年に発売の『CLANNAD』(後にPS2版も発売)や、2007年に発売の『リトルバスターズ!』が発売当初から「ソフ倫一般ソフト作品」とするレーティング(便宜上の全年齢対象[1])で発売されたことからもいえよう。この経過は、泣きゲーとしての当然の帰結であった。そのような作品は最初にアダルトゲームとして発売したとしても、比較的容易に一般向けのメディアミックス(家庭用ゲームへの移植、アニメ化、漫画化など)が可能なため、制作するブランドが増加し、現在ではパソコンゲームの主要ジャンルの一つを担っている。 一方それはアダルトゲームにおける性描写の軽視にも繋がり、「18禁ならではの表現の自由が活かしきれていない」とその方向性を問題視する声もある。

[編集] 他の属性との重複

泣きゲーとして認知されている作品の中には、他の属性(特徴)を持つもの(例えば鬱ゲー)としても挙げられているものがある。これは一見矛盾しているようでそうではない。

それは、一つの作品が複数の属性を持っている場合がある、ということである。複数のキャラクターのストーリーがひとつの作品の中で扱われているため、一人のキャラクターに焦点を合わせた時、そのキャラクターは幸福な結末を迎えるが別のキャラクターに救済が齎されず悲劇的な結末を迎える事があり、この場合「鬱ゲー」という属性が付加される。また、主人公や周囲の人物があるストーリーで問題解決のために超人的な活躍をする事もあり、この場合「燃えゲー」という属性が付加される事になる。

こういった状況は、「泣きゲー」が登場キャラクターの悲劇的な状況を打破することでカタルシスを得ることが多いため起こる作劇上の特徴であり、鬱ゲー#他の属性との重複も一読されたい。

[編集] 泣きゲーと呼ばれる主な作品

発売日順(同日の場合は五十音順)。移植版がある作品については、初出作品を記載。

1998年
1999年
2000年
2001年
2002年
2003年
2004年
2005年
2006年
2007年

[編集] 関連項目

[編集] 脚註

  1. ^ 便宜上の全年齢対象としているのは、CEROに基づく全年齢対象に比べて基準が緩く、CEROとソフ倫で基準の食い違いが生じているためであり、混同される可能性が否定できないためである。実際、PS2に移植された「CLANNAD」は15歳以上対象であった。(もちろん、ボイスが追加されたこと、一部のテキストが変更された事など、全く同じとはいえないが)


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