江油市
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四川省・綿陽市内の江油市の位置 |
江油市(こうゆし)は、中華人民共和国の四川省綿陽市中部にある県級市。四川盆地の西北部に位置し、盆地西北にそびえる高山・龍門山脈の東麓にある。唐代の詩人・李白の故郷としても有名。
江油の中心部は綿陽の中心地(涪城区)の北40kmにある。長江の支流・涪江(ふうこう)が市の中心部を流れ、陝西省と省都・成都市を結ぶ宝成鉄道の駅がある。
面積2,719平方km、人口87万人(2002年)、うち市街地人口は27万人。市政府は中壩鎮にある。
目次 |
[編集] 歴史
現在の江油市域は、以前は彰明県と江油県に属していた。前漢の時代にはすべて涪県(ふうけん)に属したが、後漢の永平元年(58年)より徳陽県に属した。
東晋の寧康年間に現在の青蓮僑に漢昌県を置き、西魏廃帝二年(553年)に昌隆県となり、唐の先天元年(712年)には昌明県、後唐の同光元年(923年)には彰明県となった。
一方、江油県の方は後漢末期の建安二十四年(219年)に劉備が江油戍を置いたことに始まる。北魏の正始二年(505年)に現在の平武南壩に江油県が設置され、宋代には現在の県城の位置に移動し、元代には龍州に入れられ、明代には州が廃止され江油県が復活した。
1958年、江油県と彰明県は合併し江彰県となったが、翌年江油県に改名した。1988年2月24日、国務院は県を廃止して県級市の江油市を設置し、綿陽市の管轄下とした。
[編集] 地理
江油市域は丘陵地が主である。地勢は北西が高く、南東が低い。主な河川には涪江、盤江、平通河、方水河、青江があり丘陵を貫いて流れる。龍門山脈が北西にそびえ、主な山には轎子頂、大龍池山、雲羅山、蔵玉寨、観霧山、呉家後山、紫山がある。成都市街までは160km、綿陽市街までは40km。
気候は亜熱帯気候で、年平均気温は16.2度、1月の平均気温は4.9度、7月の平均気温は25.7度。年平均降水量は1148mm。砂金、天然ガス、石油、石炭、黄鉄鉱、大理石、石灰石、硫鉄鉱などの鉱産資源が豊富。
4街道21鎮19郷を管轄する。
- 街道:長鋼、華平、武都、含増
- 鎮:彰明、重華、三合、含増、龍鳳、永勝、双河、河口、馬角、青蓮、武都、雁門、新安、戦旗、九嶺、太平、大康、二郎廟、中壩、小溪壩、厚壩
- 郷:六合、西屏、銅星、新春、新興、義新、貫山、石元、楓順、敬元、大堰、東興、八一、雲集、重興、東安、文勝、方水、香水
[編集] 経済
交通は宝成鉄道が通る。江油駅は綿陽駅と広元駅の中間にある。また綿広高速公路などが走り、綿陽を経て成綿高速公路にもつながり成都の都心へも至便。
江油はかつて文化大革命時、核戦争を想定して内陸に経済を移動させた「三線建設」の重点地区のひとつだった場所であり、また現在は商品作物の国家級の生産基地に指定されており「小成都」の異名を持つ。
主な産業は石油や天然ガスの採掘、鉄鋼業、発電、コンクリートなどがあり、長城特殊鋼公司、江油発電廠、コンクリートの雙馬水泥公司などが主要な企業。
農業ではコメ、トウモロコシ、コムギ、アブラナなどの生産が盛んな穀倉地帯。著名な特産品にはトリカブト(附子。「彰明附片」の名で知られる)や太白花茶、方水生姜、中壩醤油などがある。木製家具も生産される。
[編集] 観光
江油は四川省の省級歴史文化名城に指定される町で、唐代の著名な詩人・李白の故郷としても売り出している。主要な景勝地や観光地には竇圌山、観霧山、大匡山、李白の故里、太白公園、白龍宮、仏爺洞、金光洞、猿王洞、雲岩寺(全国重点文物保護単位に指定)、海燈武館などがある。
[編集] 外部リンク
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成都市は副省級市。 |