武蔵水路
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武蔵水路(むさしすいろ)は、利根川の水を荒川に導くための導水路。埼玉県行田市の利根大堰で利根川から取水され、鴻巣市で荒川に注ぐ。全長14.5kmで全体が開水路である。管理者は水資源機構。
[編集] 地理
利根大堰からほぼ真南に流下し、鴻巣市糠田で荒川に注ぐ。途中では国道125号、見沼代用水、星川、元荒川と交差するが、武蔵水路はこれらをサイフォン(伏越)で潜っている。 この水路で荒川に通された水は秋ヶ瀬取水堰から朝霞浄水場、大久保浄水場を経てそれぞれ東京都、埼玉県の広範な地域に上水道として供給し、首都圏の生活を広く支えている。
[編集] 老朽化問題
通水後35年以上を経ているが、近年、水路沿線の地盤沈下と水路自体の損傷、そして老朽化が大きな問題になっている。地盤沈下の影響による水路の沈下・変形、底板隆起や側面パネルの欠損なども発生しており、耐震性の低下も著しく、現状では震度6弱の地震が発生すれば使用不能になる危険があるとの試算も新聞記事などでは報じられている。この為、本来ならば毎秒50立方メートルの導水機能を有していながら、現在では毎秒40立方メートル以下の水しか導水できないという機能不全の状態に陥っている。対処には全区間に渡る改修が必要とされているが、その中でも特に国道125号を潜る行田市の長野サイフォン付近、最下流の鴻巣市糠田地区の区間などで早急な対策が必要とされている。 また、大雨時の洪水処理の機能が建設当時は考慮されていなかったが、現在では宅地化の進展とそれに伴う洪水被害増加の為に内水排除機能も要求されており、沿線地域の都市生活基盤の水害からの保護という観点からも改修を要望する声が多い。 いずれにせよ、現状の武蔵水路はこのまま損傷を放置すれば遠からず水路として機能しなくなると言われており、全面的な改修が必要な時期が来ており、管理者である水資源機構が改築事業を実施している。
[編集] 橋梁・施設
- 水路の岸や橋のたもとからはオレンジ色の球体が等間隔にぶら下がっており、また、網のついていない虫取り網のようなものが岸に設置されているが、これらは万が一流されたときのための救命道具である。これは当水路の流れが非常に速く、一度流されると自力で脱出するのが困難なためである。
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