構成要件
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日本の刑法 |
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刑事法 |
刑法 |
刑法学 · 犯罪 · 刑罰 罪刑法定主義 |
犯罪論 |
構成要件 · 実行行為 · 不作為犯 間接正犯 · 未遂 · 既遂 · 中止犯 不能犯 · 相当因果関係 違法性 · 違法性阻却事由 正当行為 · 正当防衛 · 緊急避難 責任 · 責任主義 責任能力 · 心神喪失 · 心神耗弱 故意 · 故意犯 · 錯誤 過失 · 過失犯 期待可能性 誤想防衛 · 過剰防衛 共犯 · 正犯 · 共同正犯 共謀共同正犯 · 教唆犯 · 幇助犯 |
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観念的競合 · 牽連犯 · 併合罪 |
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死刑 · 懲役 · 禁錮 罰金 · 拘留 · 科料 · 没収 法定刑 · 処断刑 · 宣告刑 自首 · 酌量減軽 · 執行猶予 |
刑事訴訟法 · 刑事政策 |
構成要件(こうせいようけん Tatbestand)とは、いかなる行為が犯罪を構成するかを表す行為類型である。
1907年にベーリングが樹立した[1]三分説(犯罪とは、構成要件に該当し・違法・有責な行為であるとする説)において犯罪論の基点となる。日本の刑法の条文上は構成要件という言葉は出てこないが、日本刑法学を含むドイツ系刑法学において欠くことができない概念である。
なお、しばしば構成要件を刑罰法規と同視する議論がなされるが、要件に関する一般論からすれば、刑罰法規を解釈して導き出された要件が構成要件であるというべきであり、刑法学界の主流もこの立場を採っているように思われる。
罪刑法定主義の観点から、構成要件は条文に一般人が認識可能な形で定められていなくてはならないとされる。ただし、刑法の謙抑性の立場から、法の適用を限定するものについては法令に規定されず判例で認められるものがあり、これを記述されざる構成要件要素という。
目次 |
[編集] 日本法における定義
[編集] 通説
通説は、構成要件を「社会通念上、違法かつ有責とされる行為の類型」であると定義する。およそ社会通念上、違法でない行為、または、責任を問い得ない行為はこれを処罰する必要がなく、従って、犯罪は、違法かつ有責な行為であり、条文はこれを類型化したものであるからである。
[編集] 有力説
有力説は、構成要件を「違法な行為の類型」と規定する。この見解においては、構成要件の故意規制機能が重視されており、故意の対象として構成要件を想定するため、構成要件概念から故意、過失といった責任要素を除外するのである。この有力説からは、故意または過失により構成要件該当事実を実現することが(違法性阻却事由、責任阻却事由および処罰阻却事由が存在しない限り)可罰的な犯罪事実であることになり、通説が構成要件と呼んでいるものを犯罪類型と呼ぶ。
[編集] 日本法における機能
- 罪刑法定主義的機能 - 処罰される行為を明示する機能
- 犯罪個別化機能 - 犯罪行為の類型化
[編集] 日本法における具体的内容
構成要件の要素は、客観的構成要件要素と主観的構成要件要素に分けることができる。違法構成要件と責任構成要件に分ける見解もある。
[編集] 客観的構成要件要素
など
[編集] 主観的構成要件要素
[編集] 日本法における修正された構成要件
原則形態として刑罰法規に規定される犯罪類型の基本的構成要件に、他の規定により修正を加えた形で規定される犯罪類型の構成要件を、修正された構成要件という。
[編集] 脚注
- ^ 板倉宏『新訂 刑法総論 補訂版』勁草書房、2001年、64頁。