日南市
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日南市(にちなんし)は、日本の宮崎県の南部に位置する市。九州の小京都と呼ばれる飫肥(おび)や風光明媚な日南海岸国定公園などを抱える、歴史と自然あふれる観光の街である。
黒潮海流の影響により温暖な気候で、雨量も豊富である。また、夏から秋にかけては頻繁に台風が接近し、しばしば甚大な被害を蒙ることもある。
2004年度下半期に放映されたNHK朝の連続テレビ小説「わかば」の舞台のひとつとなった。
目次 |
[編集] 地理
鰐塚山系の山地に囲まれている。市の面積の約77パーセントを森林が覆い、その多くは特産の飫肥杉に占められている。
市内を東西を貫くかたちで酒谷川(さかたにがわ)が流れる。この川は河口付近で広渡川(ひろとがわ)と合流し、太平洋に注ぐ。
[編集] 歴史
戦国期は、天然の良港油津港(あぶらつ)を扼す飫肥城を巡って、戦国大名伊東氏と島津氏の100年にわたる国盗りの舞台となった。江戸時代は一貫して伊東氏5万1千石の城下町として栄えた。
市としての歴史は1950年1月1日の南那珂郡飫肥町、吾田町、油津町および東郷村の4町村の合併から始まる。この合併においては、城下町としての歴史と文化を色濃く残す商業の中心・飫肥町と、古くから漁師町として知られ、漁業や海運業を中心とした活気ある港町・油津町の、双方の住民の意識や性格の相違、庁舎設置の主導権争いなどが原因で何度も協議が決裂しそうになった。しかし、新庁舎を両町の中間、新市の中央にある吾田町に置くなど、双方が歩み寄った結果、ようやく実現にこぎつけた。このとき採用された新市名「日南」は、「日向国(宮崎県の旧国名)の南、日本の南」にちなんで名づけられたいわば造語であり、この市名そのものが合併の苦難や当時の住民の志を象徴するものとなっている。なお、この合併は昭和の大合併のさきがけになったとされ、参考とすべく多くの市町村が当地を視察に訪れた。
その後南那珂郡細田町および鵜戸村(1955年2月11日)、南那珂郡榎原村(一部は南郷町に編入)および酒谷村(1956年4月1日)の編入合併を経て、現在の市域が確定した。
平成の大合併の流れに沿い、2004年8月に住民発議により隣接する南那珂郡北郷町および南郷町と『日南市・北郷町・南郷町合併協議会』を設置し、合併の検討を進めた。しかし、両町の住民投票による賛成過半数を受け合併の調印まで行なったにも関わらず、北郷町議会が合併議案を否決したため計画が頓挫し、2005年5月に協議会を解散した。その後、両町の議会が改選され合併賛成派が多数を占めたことなどから、2007年9月28日に合併協議会を再設置。2009年3月30日に合併し、(新)日南市となることが決定した。
[編集] 行政
- 市長:谷口義幸(2004年から)
[編集] 経済
[編集] 産業
主な産業は農林水産業。王子製紙日南工場があり、企業城下町としての一面もあわせ持つ。この他にも自動車用冷間鍛造部品メーカー、株式会社ニチワの本社も立地する。
[編集] 姉妹都市・提携都市
[編集] 国内
[編集] 日本国外
[編集] 地域
[編集] 吾田(あがた)地区
市庁舎や消防署、警察署が立地し、日南市発足当初から行政の中心地区である。もとが田園地帯で用地確保がしやすかったことから、ここ数年のうちに郊外型商業施設の出店が加速、商業の中心としての役割も担いはじめた。
[編集] 油津地区
日南市の中で面積が最も小さい地区。かつて東洋一のマグロ漁港と言われた油津港を中心とした港町であり、往時を偲ぶ観光地としても脚光を浴びている。サーフィンスポットとして有名な梅ヶ浜がある。
市内最大の商店街や日南山形屋、サピア日南ショッピングセンターなどを擁す古くからの商業集積地だが、サピアは核テナント寿屋日南店の撤退以後精彩を欠き、商店街のシャッター街化も既に末期的な状況で、前述の吾田地区に押されているのが現状である。
[編集] 飫肥地区
江戸時代まで飫肥藩の城下町として栄えた。1977年に重要伝統的建造物群保存地区の選定を受け城下町らしい景観と飫肥城を復元をするために大規模な改修を行った。現在は日南の観光地区の役割を果たしている。
[編集] 東郷地区
吾田地区の北にあり、農業が盛んな地区である。
[編集] 鵜戸地区
日南市の北東部にあり、面積も最大の地区。沿岸部に人口が多く、漁業や地形を生かしてぽんかんの栽培が盛んである。中心部には鵜戸神宮があり、多くの参拝客が訪れる。また、地質の違いによってできた鬼の洗濯岩、世界で唯一イースター島から複製を認められたモアイ像が設置されているサンメッセ日南がある。
[編集] 酒谷地区
日南市の中で最も西にある地区。山沿いのため降水量が多い。自然豊かであることからキャンプ場や公園がある。道の駅酒谷や日本の棚田百選にも選ばれた坂元棚田があり、観光資源も豊富である。
[編集] 細田地区
日南市の南部に位置し、唯一海沿いから陸地側を貫く地区。沿岸には大堂津港や大堂津海水浴場があり、陸地側には滝が平などがある。農業が盛んで早期水稲で栽培された米や極早みかん、スイートピーが特産である。また、地鶏のひとつであるみやざき地頭鶏の生産も盛んである。
[編集] 小学校
- 日南市立飫肥小学校
- 日南市立油津小学校
- 日南市立吾田小学校
- 日南市立潮小学校
- 日南市立酒谷小学校
- 日南市立内海小学校
- 日南市立鵜戸小学校
- 日南市立大窪小学校
- 日南市立細田小学校
- 日南市立吾田東小学校
- 日南市立吉野方小学校
- 日南市立桜ヶ丘小学校
- 日南市立大堂津小学校
[編集] 中学校
- 日南市立飫肥中学校
- 日南市立鵜戸中学校
- 日南市立吾田中学校
- 日南市立酒谷中学校
- 日南市立東郷中学校
- 日南市立油津中学校
- 日南市立細田中学校
[編集] 高等学校
- 宮崎県立日南高等学校
- 宮崎県立日南振徳商業高等学校
- 宮崎県立日南工業高等学校
- 日南学園高等学校(学校法人日南学園)
[編集] 専門学校
- 日南看護専門学校(学校法人日南学園)
[編集] 交通
[編集] 鉄道路線
- 九州旅客鉄道(JR九州)日南線:伊比井駅 - (北郷町:北郷駅 - 内之田駅) - 飫肥駅 - 日南駅 - 油津駅 - 大堂津駅
- 市内を南北に貫く。完全な車社会であるため、専ら通学や高齢者の足としての役割を果たしている。運行ダイヤは1 - 2時間に1本程度。
[編集] 路線バス
[編集] 道路
海岸沿いを南北に国道220号が走り、県庁所在地である宮崎市や南の串間市・南郷町と結ぶ。この路線は風光明媚な日南海岸を通るため観光路線としても重要な道路であるものの、陸地側・海岸側の双方が断崖絶壁であり災害に非常に弱いことから、北郷町を経由して宮崎市と連絡する内陸側のルートとして県道日南高岡線が1993年2月4日までに整備された。西隣の都城市との連絡には国道222号があり、市内を東西に走る。2つの国道は港のある油津地区で交わる。
- 酒谷(国道222号沿い)
[編集] 船舶
市内に油津港を有するが、漁港としての側面が強く、定期旅客船の発着はない。
[編集] 名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事
- 日南海岸国定公園
- 飫肥城
- 飫肥の町並み(重要伝統的建造物群保存地区)
- サンメッセ日南
- 鵜戸神宮
- 堀川運河
- 日南市天福球場(広島東洋カープの春秋のキャンプ会場 主として1軍が使用)
- 東光寺球場(同上 主として2軍が使用)
- サボテンハーブ園 - 2005年3月31日閉園
- 名物
- サボテンステーキ
- 厚焼卵
- おび天
[編集] 日南市を舞台にした作品
[編集] 出身有名人
- 小村寿太郎(元外務大臣、ポーツマス条約日本全権大使)
- 服部新佐(苔研究家)
- 堀江泰子(料理研究家<NHK「きょうの料理」講師>)
- 榎木田朱美(テレビ宮崎アナウンサー)
- 中島淳彦(脚本家)
- DJ POCKY(鹿児島県と宮崎県で活躍しているディスクジョッキー)
- 秦基博(シンガーソングライター)小2の夏まで在住していた。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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