新国立劇場
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新国立劇場(しんこくりつげきじょう New National Theatre, Tokyo)は、東京都渋谷区本町一丁目にある歌劇場、劇場。財団法人新国立劇場運営財団によって運営されている。オペラ劇場、中劇場、小劇場の3つの劇場が設けられ、オペラ、バレエ、現代舞踊、演劇の自主公演が行われている。
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[編集] 沿革
1997年10月10日、オペラ「建・TAKERU」(團伊玖磨作曲、星出豊指揮)で今上天皇・皇后、内閣総理大臣橋本龍太郎(当時)臨席の元、杮落とし。
[編集] 施設
[編集] オペラ劇場 (OPERA PALACE Tokyo)
- 座席数:1,814席
- 1〜4階の4階層に客席を配置。
- 主としてオペラ、バレエ等の公演に利用 コンサートが開催されたことは、過去に数回しかない。
- 100人の奏者が入るオーケストラピットは常設であり、公演内容に応じて深さの調整が可能。
- 4面舞台をもつプロセニアム形式。上下奥舞台の機構を使用し、度々入れ替え公演が行われている。
- オペラの字幕装置は舞台左右に設置されている。
- 劇場が愛称を公募し、2007年3月29日にオペラパレス(OPERA PALACE Tokyo)と決められた。[1]
[編集] 中劇場 (Playhouse)
- プロセニアム形式:1,038席、オープン形式:1,010席
- 1〜2階の2階層に客席を配置。
- 主として演劇、現代舞踊等の公演に利用。オペラ、バレエ公演も可能。
- 4面舞台、仮設オーケストラピットもある。
[編集] 小劇場 (The Pit)
- 座席数:340~468席
- B1Fにある。
- 可動式の舞台と座席をもつ。
- オープンステージによる上演形式を持つ現代舞台公演の公演に利用される。
[編集] その他
情報センター(5F)、リハーサル室(B2F)、研修室、屋上庭園(5F)など
- 鉄骨鉄筋コンクリート造 地上5階・地下4階
- 延床面積:68,879㎡
- 設計:柳澤孝彦+TAK建築研究所
[編集] 公演
[編集] オペラ
- 新国立劇場合唱団が専属
- 専属オーケストラの他、音楽監督がおらず、演奏は東京フィル、東京交響楽団が交代で担当。但し過去に新星日本交響楽団、東京都交響楽団、NHK交響楽団が演奏したこともある。
- 若い演出家を育てる目的で、「小劇場オペラシリーズ」が開催されている。
- 1999年から、毎年7月に「高校生のためのオペラ鑑賞教室」を実施し、2004年からは「子どものためのオペラ」の上演も行い、次代の聴衆拡大への取り組みも行っている。
- 開場記念公演のオペラ「建・TAKERU」は、演奏、演出上の問題から数多くの批判を浴びた。
- 開場記念として上演されたヴェルディ「アイーダ」(ゼッフィレッリ演出)は豪華絢爛な舞台演出であり再演が望まれていた。2003年9月、五十嵐喜芳芸術監督の退任時に再演され、2008年3月には10周年記念として公演されて記録的な成功を収めた。
- 2000年、中劇場でオペラが1演目だけ上演された。(バルトーク「青ひげ公の城」)
- 2001年から2004年にかけて上演されたワーグナー「ニーベルングの指環」(キース・ウォーナー演出、準・メルクル指揮)は、「トーキョー・リング」として歴史的に残る舞台となった。2009年、2010年に再演予定。
- 2003年9月までは、日本人と外国人によるダブルキャストによる上演であったが、2003年10月以降、原則的に外国人が主役を歌うシングルキャストとなった。
[編集] 芸術監督
- 畑中良輔(~1999年8月)
- 五十嵐喜芳 (1999年9月~2003年9月)
- トーマス・ノヴォラツスキー(Thomas Novohradsky)(2003年10月~2007年8月)
- 若杉弘 (芸術参与 2005年9月~2007年8月)
- 若杉弘 (2007年9月~2010年8月)
[編集] 上演作品(プレミエ)
[編集] 開場記念公演
[編集] 1998/1999シーズン
- プッチーニ「蝶々夫人」
- モーツァルト「魔笛」
- ヴェルディ「ナブッコ」
- R.シュトラウス「アラベッラ」
- ロッシーニ「セビリアの理髪師」
- フンパーディンク「ヘンゼルとグレーテル」
- ビゼー「カルメン」
- 水野修考「天守物語」
- J.シュトラウス「こうもり」
- 原嘉壽子「罪と罰」
[編集] 1999/2000シーズン
[編集] 2000/2001シーズン
- プッチーニ「トスカ」
- チャイコフスキー「エウゲニ・オネーギン」
- バルトーク「青ひげ公の城」
- 團伊玖磨「夕鶴」
- ヴェルディ「イル・トロヴァトーレ」
- ワーグナー「ラインの黄金」
- マスネ「マノン」
[編集] 2001/2002シーズン
[編集] 2002/2003シーズン
[編集] 2003/2004シーズン
- モーツァルト「フィガロの結婚」
- オッフェンバック「ホフマン物語」
- 間宮芳生「鳴神」
- 清水脩「俊寛」
- ラヴェル「スペインの時」
- ワーグナー「神々の黄昏」
- ヴェルディ「マクベス」
- ヴェルディ「ファルスタッフ」
[編集] 2004/2005シーズン
- マスカーニ「カヴァレリア・ルスティカーナ」
- レオンカヴァッロ「道化師」
- R.シュトラウス「エレクトラ」
- ベルク「ルル」
- 久保摩耶子「おさん」
- モーツァルト「コジ・ファン・トゥッテ」
- ベートーヴェン「フィデリオ」
- プッチーニ「蝶々夫人」
- プッチーニ「ラ・ボエーム」
[編集] 2005/2006シーズン
- ワーグナー「ニュルンベルクのマイスタージンガー」
- ロッシーニ「セビリアの理髪師」
- ジョルダーノ「アンドレア・シェニエ」
- 三木稔「愛怨」
- ヴェルディ「運命の力」
- J.シュトラウス「こうもり」
[編集] 2006/2007シーズン
- ヴェルディ「ドン・カルロ」
- モーツァルト「イドメネオ」
- ワーグナー「さまよえるオランダ人」
- プッチーニ「西部の娘」
- R.シュトラウス「ばらの騎士」
[編集] 2007/2008シーズン
[編集] 2008/2009シーズン
- プッチーニ 「トゥーランドット」
- モーツァルト 「ドン・ジョヴァンニ」
- ショスタコーヴィチ 「ムツェンスク郡のマクベス夫人」
- ロッシーニ 「チェネレントラ」
- 清水脩 「修善寺物語」
[編集] バレエ・現代舞踊
[編集] 芸術監督
- 島田廣(1997年~1999年)
- 牧阿佐美(1999年~)
[編集] 演劇
[編集] 芸術監督
[編集] 交通
[編集] 特別支援企業グループ
- TBSが支援してはいるが、新国立劇場での公演はしばしばNHK、NHK教育テレビで放映される。
[編集] 最近の主なNHKによる公演中継
[編集] NHK教育テレビ「芸術劇場」
- 2006/2007シーズン コンテンポラリーダンス「ガラスノ牙」(2006年12月収録) 振付・美術・照明:勅使川原三郎
- 2004/2005シーズン・演劇「その河をこえて、五月」(2005年5月収録) 作・演出:平田オリザ
- 2004/2005シーズン・バレエ「ドン・キホーテ」(2005年6月収録)
- 2004/2005シーズン オペラ「カヴァレリア・ルスティカーナ/道化師」(2004年9月収録・再放送)
- 2004/2005シーズン 現代舞踊「KAZAHANA」(2005年2月収録・再放送) 構成・演出・振付・美術・衣裳・照明:勅使川原三郎
- 2006/2007シーズン オペラ G.ヴェルディ「ドン・カルロ」(2006年9月収録)
[編集] NHK・BS2「ミッドナイトステージ館」
- 2006/2007シーズン 演劇「イワーノフ/オイディプス王」(2006年11月収録) 構成・演出:鈴木忠志
- 2006/2007シーズン 演劇「アジアの女」(2006年10月収録) 作・演出:長塚圭史
[編集] NHK・BS2「深夜劇場へようこそ」
- 1999/2000シーズン 演劇「怒濤」(作:森本薫/演出:マキノノゾミ)
- 2005/2006シーズン 演劇「屋上庭園/動員挿話」(2005年11月収録)
[編集] その他
- 会員組織「The Atre」があり、チケット割引、優先発売などの特典がある。
- オペラ、バレエ、演劇の研修所が設置されている。
- 千葉県銚子市に舞台美術センターがあり、大道具等の保管のほか、各種展示が行われている。
- 東京オペラシティが隣接している。
- 2004年から中劇場がTBS系で生中継される日本レコード大賞の会場になっている。
- 新国立劇場西側の道路は「オペラ通り」と名付けられている。
- オペラ劇場についての知識を浸透させる目的でオペラ劇場の裏側を見ることができるバックステージツアー(有料)も行われている。
- 設計の際にはコンペが行われ柳澤孝彦のものが採用された。
- 開館に至るまでには紆余曲折があった。「二国問題」(仮称:第二国立劇場から)と言われ、バレエ、演劇、オペラそれぞれの部門において論争の的となった。
- その中で大きなものは、オペラ劇場の客席数である。国内のオペラ関係者は客席数を少なくしてどの席からも見やすく音響的にも優れたものにすることを主張した。(実際問題としては国内団体の公演では座席数を多くしても満席にはならないというのも理由の一つであっただろう。)それに対して、海外の有名歌劇場を招聘している団体は座席数をできるだけ多くするように主張した。海外の歌劇場を招聘して日本で公演させるのには莫大な費用がかかる。その費用を回収するために座席数をできるだけ多くしたかったのである。結果としては国内のオペラ関係者の主張が通った。そのせいであろうか、海外歌劇場の招聘団体はオペラ公演には日本でもっとも適しているのにもかかわらず新国立劇場を使用していない。