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国鉄レサ10000系貨車 - Wikipedia

国鉄レサ10000系貨車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

レサ10000系(レサ10000けい)は、1966年1969年に合計137両が新造されたレサ10000形と、1966年に11両が新造されたレムフ10000形の両形式からなる、国鉄冷蔵車である。

[編集] 概要

レサ10000系で組成された鮮魚列車「とびうお」
レサ10000系で組成された鮮魚列車「とびうお」

昭和40年代に入ると、それまで国鉄の冷蔵車が担ってきた鮮魚輸送にトラックの進出が激しくなり、長崎 - 東京間のような長距離輸送分野でもトラックに荷を奪われるようになってきた。そこで国鉄は高速走行可能な冷蔵車を開発してシェアの低下を食い止めようと計画した。そのために登場したのがレサ10000形、レムフ10000形である。

レサ10000形・レムフ10000形は、共に国鉄10000系貨車の一部として登場した。ワキ10000形の試作を元にほぼ同じ仕様で登場している。共通の仕様としては、空気バネ台車のTR203形を備え、応荷重式電磁自動ブレーキにより積み荷の重量に関わらず短い距離でブレーキを掛けられるようになっている。また連結器としてブレーキ管・元空気ダメ管を同時に接続できる密着自動連結器を使用している。

レサ10000形は、全長13.7m、全幅2.8m、全高3.7m、荷重24tで、車体はほぼレム5000形に沿ったものを使っている。車体中間に間仕切りを設け、それぞれ12tずつ積める部屋を作りそれぞれにを備えている構造である。断熱材はガラス綿である。前後に2つの部屋を設けているため、片方の部屋にだけ貨物を搭載した時でもブレーキ性能に問題がないようにそれぞれの台車で個々に応荷重制御ができるようになっている。また室内にはドライアイスを搭載できる棚や、荷扱い時に外部電源で点灯できる天井灯が設置されている。1966年に124両が、1969年に13両の増備があり合計137両製作された。

レムフ10000形は、高速貨物列車では従来の車掌車を連結することができないために、車体の一端に車掌室を設けた緩急車である。荷重が16t(前後で8tずつ)になっただけで、構造的には全くレサ10000形と変わりがない。車掌室は、コキフ10000形で使われているものと全く同一構造で、台枠にボルトで固定されている。車掌室内にはトイレの装備もあり、外部は青15号で塗装されている。1966年に11両が製作された。

両形式とも貨車としては特別な、客車と同じような運用・検査体制が組まれていた。香椎貨車区が検査を担当し、全車両とも香椎駅常備となっていた。

両形式は、100km/hで走行する特急鮮魚貨物列車に専用に運用された。1966年10月より、幡生 - 東京市場間に「とびうお」、博多港 - 大阪市場間に「ぎんりん」の愛称で運転を開始した。長崎西唐津、博多港、上戸畑、下関といった各地から貨車が集まり鮮魚貨物列車として組成されて運行された。従来の鮮魚貨車では長崎 - 東京市場間で42時間30分を要し出荷後4日目のセリになっていたのが、これらの列車の運行開始により27時間に短縮され、出荷後3日目のセリに間に合うようになった。これにより、他の国鉄冷蔵車が急速に衰退していく中で、これらの特急鮮魚貨物列車については一応の実績を上げている。

当初は瀬野八の急勾配のため、「とびうお」は13両で下関を出発し、前日に送っておいた7両を姫路で連結して20両編成となって東京へ向かっていた。しかしヨンサントオ(昭和43年10月ダイヤ改正)でEF66形が投入されて下関から20両で運転されるようになった。「ぎんりん」についても12両編成だったものを18両編成に増強している。1971年7月には、北九州からの荷の少ない夏期を利用して山陰の夏イカ輸送が計画されて、境港伯備線経由でのレサ10000形4両の貨物列車の運転も行われた。この列車は岡山操で「とびうお」に連結されて運転されていた。しかしあまり輸送実績が振るわずにまもなく廃止されている。

この他に、レサ10000形を使用して釧路 - 東京市場間(12両編成31時間運転)、鹿児島 - 芝浦間に枝肉輸送列車(33時間運転)を計画していたが、長距離の空車回送の効率が問題となって、コンテナ輸送になった。また、東北から東京への鮮魚輸送を行っていた「東鱗1号」での冷蔵車不足に対応するために一部のレサ10000形が八戸駅臨時常備の扱いで転属となっている。

高い運用効率で走行距離が長いレサ10000形は傷みが速く、1980年からは整備改造工事が若松車両センターで進められた。しかし鮮魚貨物列車の運行中止をにらんで全ての車両には施行されずに終わった。

昭和50年代後半になると、トラックへの移行がさらに進み、特急鮮魚貨物列車であっても編成両数が減少してきた。国鉄の合理化の動きもあり、各地の市場に隣接した貨物取り扱い駅の閉鎖と共に、鮮魚貨物列車のコンテナ化が進められた。最終的に1986年3月に、最後に残った「とびうお」号がコンテナ化されて消滅した。

レサ10000形は即座に運用を離脱、レムフ10000形については鮮魚コンテナ列車の緩急車として1986年11月1日国鉄ダイヤ改正まで使用が続けられたが、両形式とも1986年度中に廃車され形式消滅となった。レサ10117とレムフ10000が東小倉駅に保存され、その後日本貨物鉄道(JR貨物)からレムフ10000が鉄道博物館に寄贈され収蔵されている。

[編集] 参考文献

RM LIBRARY 28 「国鉄冷蔵車の歴史(下)」 渡辺 一策 ISBN 4-87366-257-5

[編集] 関連項目


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