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中国の書道史 - Wikipedia

中国の書道史

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

中国歴史
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中国の書道史(ちゅうごくのしょどうし)とは、有史以来、現在までの中国における歴史である。本項では時代ごとに、その背景、書体の変遷、書風、筆跡書人など書に関連した事跡を記している。

目次

[編集]

甲骨文、金文
金文
金文
篆書
篆書
隷書
隷書
草書
草書

現存する書跡のうち、最も古いのは代のもので、亀の甲羅や牛の肩甲骨などに占いの文字として刻られた甲骨文である。次に現れるのが、同じくこの時代のもので、おもに祭器などの金属(銅)に鋳込まれた金文であり、書風は甲骨文に比べて秀麗である。

この時代の筆跡
  • 甲骨文(河南省安陽市(彰徳)西北の小屯と呼ばれる村落一帯から出土)
  • 金文(小臣艅犠尊)

[編集]

殷代の甲骨文と金文は、周代まで受け継がれたが、この時代になると政治や社会制度の転換に伴って甲骨文の使用は急激に衰えたが、銅器の製作は盛行し、豊かな筆意を持ち装飾的書体の金文が主流をなし発展した。

この時代の筆跡
  • 大豊殷
  • 令殷
  • 周公殷
  • 作冊大鼎
  • 庚贏
  • 大盂鼎
  • 宗周鐘
  • 大克鼎
  • 毛公鼎
  • 石鼓文(篆書)

[編集] 時代

大篆

金文の次に現れたのが、の太史である籀によって創られたといわれる籀文である。石鼓文の文字がこれにあたるが、この時代にはこの籀文の他にもいくつかの書風があったようであり、これらを含めて大篆と呼ぶ。

小篆

秦の始皇帝は、中央集権制を布いて広大な領地を統治し、権勢と命令の施行を徹底させるために、これら大篆の文字の統一を政策として実施する必要があった。始皇帝は、宰相の李斯に命じて、長い間諸地方で使われていた各種の字体を整理統一して使用の利便を図った。これが小篆であり、この時代はこの小篆を正書とした。

隷書(古隷、八分)

小篆の次にこの時代に現れたのが隷書だが、最初に現れた隷書を古隷と呼ぶ。古隷の次に出現するのが、今日一般に隷書と呼ばれている八分である。ただし、古隷も八分もこの時代のものは伝存せず、次の前漢時代のものが最も古い。

この時代の筆跡

[編集] 前漢時代

古隷

この時代の石刻の文字は概して古隷である。古隷は、篆書から八分に移る過渡期のもので、挑法・波磔(はたく、横画の収筆時の右払いに似た装飾)もなく、点画の俯仰の弊もなく、篆書の円折を省いて直とし横としただけの古拙遒勁な書風で、いわば篆書の速書きから生まれたものである。

章草

この時代に興ったものといわれる書体に章草(隷書と草書の中間)がある。章草は八分を速書きして、その点画を省略し、八分の方形なのに比べて円形に近いものになっている。波磔は残っているので今日の草書よりも古意がある。主として尺牘などに用いられたもので、八分の自然の変化と見るべきである。

この時代の筆跡
  • 魯霊光殿址石刻
  • 魯孝王石刻
  • 麃孝禹石刻
  • 萊子侯石刻
  • 漢印、封泥、鏡や銅器などの銘文
  • 木簡

[編集] 後漢時代

今隷

後漢後期に建碑が流行し、書体の発達を促した。特に古隷、八分とともに今隷(隷書と楷書の中間)が発達したのは、この時代の特色である。今隷は今日の楷書に比べ運筆法はかなり異なり、相当に隷意が多いものである。

この時代に書名のあった人物

詳細は中国の書家一覧#後漢時代を参照

この時代の筆跡
  • 三老諱字忌日記
  • 開通褒斜道石刻
  • 大吉買山地記
  • 祀三公山碑
  • 北海相景君碑
  • 楊孟文石門頌
  • 乙瑛碑(いつえいひ) - 永興元年(153年)、隷書(八分隷)
  • 礼器碑
  • 泰山都尉孔宙碑
  • 封竜山頌
  • 西嶽華山廟碑
  • 史晨前碑
  • 史晨後碑
  • 武都太守李翕西狹頌
  • 司隷校尉楊淮表記
  • 司隷校尉魯峻碑
  • 熹平石経
  • 白石神君碑
  • 曹全碑(そうぜんひ) - 中平2年(185年)、隷書(八分隷)
  • 張遷碑

[編集] 三国時代

楷書

この時代に石刻で現存するものは少ない。曹操が発令した建碑禁止の令のためである。しかし、書人(鍾繇の皇象)が登場し書跡を遺し、これが今日の楷書の始まりとされている。

書体の変遷

書体の変遷をまとめると概ね次のとおりである。楷書よりも草書が先に出現した。

甲骨文━金文━大篆━小篆━古隷━八分┳章草━草書
                  ┃
                  ┗今隷━楷書━行書
※小篆━草書、今隷━草書、大篆━古隷など諸説ある。
この時代に書名のあった人物

詳細は中国の書家一覧#三国時代を参照

この時代の筆跡
  • 公卿上尊号奏
  • 受禅表
  • 九真太守谷朗碑
  • 天発神讖碑
  • 葛府君碑
  • 三体石経

[編集] 西晋五胡十六国時代

この時代に、楷書、行書、草書の実用化が進展した。

この時代に書名のあった人物

詳細は中国の書家一覧#西晋時代を参照

この時代の筆跡
  • 任城太守夫人孫氏碑
  • 皇帝三臨辟雍碑
  • 斉太公呂望表
  • 鄧太尉祠碑
  • 広武将軍碑
  • 荀岳曁妻劉簡訓墓誌

[編集] 東晋時代

『孔侍中帖』(部分)王羲之
『孔侍中帖』(部分)
王羲之

東晋時代から南北朝時代にかけては、楷書、行書、草書が完成を遂げた時代である。この時代の法帖としては王羲之のものが最も多い。

二王
大王、書聖
東晋時代から南北朝時代を代表する王羲之の法帖は以下のとおりである。
『楽毅論』
蘭亭序
『黄庭経』
『東方朔画賛』
『曹娥碑』
『集字聖教序』
『興福寺断碑』
『喪乱帖』
『十七帖』
『孔侍中帖』
小王
王献之は王羲之の第七子である。羲之を大王と呼ぶのに対し、献之は小王といわれ、父子を合わせて二王と称される。羲之の諸子はみな能書家であり、献之は最年少であるが書の天分に恵まれ、羲之の書より逸気に富んでいるといわれる。
この時代に書名のあった人物

詳細は中国の書家一覧#東晋時代を参照

この時代の筆跡
  • 爨宝子碑
  • 楊陽神道碑

[編集] 南北朝時代

この時代に書名のあった人物

詳細は中国の書家一覧#南北朝時代を参照

この時代の筆跡

南朝の石刻として遺存するものは少ない。

  • 爨竜顔碑
  • 鶴銘
  • 劉懐民墓誌

北朝のものは豊富に遺存する。そのほとんどは18世紀後半以後に発見されたものである。極めて多いので、その代表的なもののみを挙げる。

  • 中岳嵩高霊廟碑
  • 龍門二十品
  • 石門銘 
  • 鄭文公下碑
  • 登雲峰山論経書碑
  • 司馬妻孟敬訓墓誌
  • 皇甫驎墓誌
  • 遵墓誌
  • 崔敬墓誌
  • 張猛竜碑
  • 高貞碑
  • 張玄(黒女)墓誌
  • 敬史君顕儁碑
  • 泰山経石峪金剛経
  • 西嶽崋山神廟碑

[編集] 時代

『真草千字文』(部分)智永筆
『真草千字文』(部分)智永筆

南北両朝に分かれ、趣を異にした書風は、隋の南北統一とともに融和し、整斉温健な書風を醸成し、初唐の先駆をなした。

この時代に書名のあった人物
東晋時代の王羲之の七世の孫にあたる。智永の『真草千字文』は草書の基準とされ、現在その真蹟が日本で珍蔵されている。
この時代の筆跡
  • 竜蔵寺碑(りゅうぞうじひ)
建碑は開皇6年(586年)。恆州刺史、鄂国公の王孝僊が建碑したもので、張公礼の書と伝えらる。書体は楷書で、書風は整正温雅であり、唐の虞世南褚遂良の先駆をなす。碑高215.2㎝、碑文30行、各行50字、字の大きさは2.4㎝である。仁寿2年(602年)に建碑された啓法寺碑(原石佚亡)とともに隋碑の代表作で、河北省正定府竜興寺の大殿内に現存する。
  • 杜乾緒等造像記(とけんちょとうぞうぞうき)
開皇12年(592年)、杜乾緒、張子元、董難当らが石仏一体をつくり、銘を刻したもので、上下6段に分けて八分に近い楷書が刻されている。
  • 蘇孝慈墓誌銘(そこうじぼしめい)

[編集] 時代

[編集] 初唐の三大家

初唐に書道の名人大家が多数輩出されたことは古今にその例を見ない。中でも歐陽詢虞世南褚遂良の3人の大家を初唐の三大家と称す。この三大家に至って、楷書は最高の完成域に到達する。

三大家 生没年 代表作(書体)
歐陽詢 557年 - 641年 九成宮醴泉銘(楷書)
虞世南 558年 - 638年 孔子廟堂碑(楷書)
褚遂良 596年 - 658年 雁塔聖教序(楷書)

[編集] 初唐の四大家

初唐の三大家薛稷を加えて初唐の四大家と称す。

この時代に書名のあった人物

詳細は中国の書家一覧#唐時代を参照

[編集] 五代

小国が分立して不安な時代であったが、唐の文化の流れが伝わっていて、文芸や美術は各地で成長した。

この時代に書名のあった人物
  • 楊凝式
文章に巧みで楷書、草書をよくした。書は顔眞卿柳公權から受けたもの。

[編集]

『黄州寒食詩巻』(部分)蘇軾筆
『黄州寒食詩巻』(部分)
蘇軾筆
『蜀素帖』(部分) 米芾筆
『蜀素帖』(部分) 米芾筆

晩唐の人々が無気力におちた反動として、宋人は思索と情感により大胆に個性を表現し、自由奔放な新様式の書風を生んだ。南宋時代に禅僧の間で流行した宋の大家たちの書風が、日本の鎌倉時代の禅林にも流行した。

宋の三大家
宋の四大家
この時代に書名のあった人物

詳細は中国の書家一覧#宋代を参照

[編集]

宋代の書が古法を軽んじ、粗放に流れたのに対し、元時代には復古調の雅健整正の書風が起こった。

この時代に書名のあった人物

詳細は中国の書家一覧#元代を参照

[編集]

宋代以後多く行われた各種の法帖が模刻され、世を挙げて帖学を重んじた。そのため、行書、草書、小楷に巧みなものを輩出したが、大楷や隷書が現れないのは、碑学を怠った結果である。

この時代に書名のあった人物

詳細は中国の書家一覧#明代を参照

[編集]

康熙のころから考証学が勃興したため、書道界にも金石学が起こり、従来の法帖中心から碑石、金文に注目が移り、三代()、六朝の古法の研究が考証的に行われ、碑学派が擡頭した。

清の四大家
この時代に書名のあった人物

詳細は中国の書家一覧#清代を参照

[編集] 中華民国

清朝の碑学派は各人各様の書を示して百花斉放の観があるが、中華民国の時代は騒乱を極めたので書道界は振るわず、わずかに清末の書人の余勢が引き続いて保たれていたに過ぎない。

中華民国の初期まで生存した清代の人物
この時代に書名のあった人物

詳細は中国の書家一覧#中華民国を参照

[編集] 中華人民共和国

この時代に書名のあった人物

詳細は中国の書家一覧#中華人民共和国を参照

[編集] 関連項目

[編集] 参考文献


他の言語


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