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ミゲル・デ・ウナムーノ - Wikipedia

ミゲル・デ・ウナムーノ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ミゲル・デ・ウナムーノ・イ・フーゴMiguel de Unamuno y Jugo,1864年9月29日-1936年12月31日)は、スペインを代表する哲学者文学者詩人劇作家。いわゆる「98年の世代」にあたり、真のスペインの思想・国家・人民のあり方について模索し続け、スペイン思想界に大きな影響を残した。思想面では哲学と詩の両面から、あるいは自己の問題などに取り組み、実存主義的な思想家としてしられる。特にデンマークキルケゴールにも強く影響されていたことでも知られ、「南欧のキルケゴール」という呼称もある。

[編集] 生涯

生地・ビルバオのウナムーノ広場にあるウナムーノの像
生地・ビルバオのウナムーノ広場にあるウナムーノの像

スペイン・ビルバオの生まれ。厳格なカトリック教徒の家庭で育つ。1880年マドリード大学へ入学。文学哲学言語学を学ぶ。1883年に博士号を取得。この頃はイギリスのハーバート・スペンサー合理主義的な思想に深い関心を示していた。大学教授の座を目指すも彼の考えと大学との溝が埋まらず、しばらく個人教授として生計を立てることになった。この頃に社会主義に深く傾倒する。1891年にコンセプシオン・リサラガと結婚。同年にサラマンカ大学ギリシア語の教授につく。1895年に『生粋主義について』を発表。これは、スペインの歴史を振り返り、真のスペイン思想やスペイン国家とは何かを説いた著作で大きな反響を呼ぶ。この頃にアンペル・ガニベットを知り、真のスペイン思想の追求という点で意気投合する。

1896年に息子のライムンドが生まれたが、脳水腫により、ウナムーノの看病の甲斐もなく無意識のまま短い生涯を終えた。この出来事はウナムーノに終生死という問題を突きつけたことになり、彼の著作にも大きな影響を及ぼした。1897年に長編小説『戦争の中の平和』を発表。1900年にサラマンカ大学総長に選出される。この頃にイプセンの劇作やキルケゴールの哲学を知り、デンマーク語を修得。特にキルケゴールの思想は、ウナムーノの実存主義的な思想に多大な影響を及ぼした。ウナムーノはヨーロッパ思想界の中でもかなり早い時期からキルケゴールの思想の独自性に注目していた先駆的な存在であった。1902年エッセイ『風景』を出版。1904年に『ドン・キホーテとサンチョの生涯』を執筆。これはセルバンテスが描いたドン・キホーテという架空の人物の生き方の中に、真のスペイン人としての生き方・倫理観があると考えたウナムーノがドン・キホーテを自分流に解釈し、人生や死の問題や自己というものにアプローチした作品であり、ウナムーノの代表的な作品として知られる。

1907年自伝的作品『幼き日の思い出』を発表。1911年より雑誌『近代スペイン』に各種随筆や論考を寄稿する。1913年には『近代スペイン』にも投稿された『人間と民族における生の悲劇的感情』(生の悲劇的感情)を出版。彼の哲学の代表作となった。1914年に彼は、大学総長を罷免させられる。反政府的な考えという理由によるものであった。この頃は随筆・小説などを発表していたが、1924年プリモ・デ・リベラの独裁政権を強く批判したため、ウナムーノのサラマンカ追放が決まる。フェルテ・ペントゥーラ島への島送りという憂き目に会う。島からは脱出したが、独裁政権が滅ぶ1930年までフランスへの亡命生活となったが、この政治的な事件はウナムーノに対する注目を一層集めることになった。1925年には『キリスト教の苦悶』を執筆。独裁制を非難する『自由ノート』を執筆(共著者は、エドゥアルト・オルテガ・イ・ガセット。Eduardo Ortega y Gasset)。1930年に独裁政権が崩壊。サラマンカに帰り、熱烈な歓迎を受けた。1931年にスペインが共和制になり、ウナムーノは国会議員になる。1933年に小説『殉教者マヌエル・ブエノ』を執筆。1934年にサラマンカ大学終身総長になる。同年に最終講義を行う。1936年スペイン内戦が始まる。彼は、反戦を説き、大学を追放され、自宅に軟禁させられる。同年12月31日、失意のまま、自宅で72歳で息を引き取った。

彼の思想はその後のオルテガ・イ・ガセットらスペイン哲学に大きな影響を与えた。

[編集] 著作

日本語訳では、法政大学出版局より『ウナムーノ著作集』(全5巻)として出されている。

  • 『生粋主義をめぐって』En torno al casticismo.
  • 『文明と文化』
  • 『人生は夢』
  • 『スペイン的個人主義』
  • 『知性と霊性』
  • 『スペイン哲学について』
  • 『充実中の充実』
  • 『孤独』
  • 『スペイン的愛国心の現在的危機』
  • 『生の秘密』
  • 『ヨーロッパ化について』
  • 『魂の風景』
  • 『ドン・キホーテとサンチョの生涯』Vida de Don Quijote y Sancho.
  • 『生の悲劇的感情』Del Sentimiento Trágico de la Vida.
  • 『霧』
  • 『三つの模範小説と序』Tres novelas ejemplares y un prólogo.
  • 『二人の母』
  • 『ルンブリーア侯爵』
  • 『男』
  • 『内部の調』
  • 『小説はいかにして作られるか』
  • 『殉教者聖マヌエル・ブエノ』San Manuel Bueno, mártir.


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