マシニングセンタ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
マシニングセンタ(machining center, CNC milling machine)は、自動工具交換機能をもち、目的に合わせてフライス加工、中ぐり加工、ねじ立てなどの異種の加工を1台で行なうことができる工作機械。おもに切削加工を目的としている。工具マガジンには、多数の切削工具を格納し、コンピュータ数値制御(CNC)の指令によって、工具を自動的に交換し、機械加工を行う。自動工具交換装置を搭載したNCフライス盤とも言える。
マシニングセンタには、大きく分けて立て形と横形があり、ワークを削る主軸が鉛直方向のものを「立て形」、水平方向のものを「横形」と言う。マシニングセンタと、工作機械の顔とも言われる旋盤との大きな違いは、マシニングセンタ(フライス盤)は、刃物を回転させてテーブルに固定してあるワークを削る機械であって、旋盤のようにワークを回転させて削ることはできないところである。
マシニングセンタとNCフライス盤との違いは、ATC(Automatic Tool Changer、工具自動交換装置)の有無である。
JISの定義によると、「主として回転工具を使用し、工具の自動交換機能(タレット形を含む。)を備え,工作物の取付け替えなしに,多種類の加工を行う数値制御工作機械。(『JIS B 0105 工作機械―名称に関する用語』一部引用)」とある。
近年は、刃物を回転させる主軸の高速化にともなって、シャンクと呼ばれる刃物を固定して主軸に差し込む部分の形状も多様化しており、BTシャンク、ISO(DIN)シャンク、HSKシャンクなどがある。これ以外にも様々なシャンク形状が提案されている。
テーブルなどの本体部分を動かすための主要部分は、廉価版の機械においては、台湾製のボールねじ、直動ガイドなどを使用してコスト削減を行っている。また近年では、X、Y、Zの全軸をリニアモータで駆動するマシニングセンタが登場している。従来のボールねじ形式の場合は、バックラッシや振れ回り、摩擦に起因するスティックモーション等があるために寸法精度や形状精度に若干の難があった。一方、リニアモータ駆動形式では、非接触に近いため拘束力不足により、充分な減衰能が得られず重切削に難があった。しかし、ボールエンドミルを高速回転させ、微細ブロック切削送りを行なう加工方法により難切削材の加工も可能となり、高精度精密加工も行なえるようになってきている。
バブル崩壊後の工作機械メーカーでは、長期の景気低迷により、一部であるが、業界内での買収、撤退などが行なわれた。
2002年を底にして、戦後最長の景気拡大が続くなかで、毎年、過去最高の生産額を更新している工作機械業界であるが、年々海外比率が高くなっており、サブプライムローン問題に端を発した世界経済の動向によっては、不透明感が残る。
[編集] 製造メーカー
主たるマシニングセンタメーカ(順不同)
- 碌々産業
- キタムラ機械
- オークマ
- 東芝機械マシナリー
- 牧野フライス製作所
- 森精機製作所
- 滝澤鉄工所
- 大阪機工(OKK)
- ジェイテクト
- 倉敷機械
- 大隈豊和機械
- 安田工業
- ヤマザキマザック
- エンシュウ
- 静岡鉄工
- 松浦機械製作所
- 日平トヤマ
- 豊和工業
- 日新工機株式会社
- ニイガタマシンテクノ
マシニングセンタの、2004年における日本国内生産額は約2675億とされている(経済産業省調査)。内、ヤマザキマザック約23%、牧野フライス製作所約22%、森精機製作所 約19%、オークマ 約19%と推定されている。