ベガ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ベガ Vega |
|
---|---|
スピッツァー宇宙望遠鏡から撮影されたベガ。 ベガはこと座のなかで最も明るい星である。 |
|
仮符号・別名 | こと座α星, こと座3番星, GJ 721, HR 7001, BD +38°3238, HD 91262, GCTP 4293.00, LTT 15486, SAO 67174, HIP 91262 |
星座 | こと座 |
視等級 (V) | 0.03 等 |
変光星型 | たて座δ型 (D SCT) |
位置 元期:J2000.0 |
|
赤経 (RA, α) | 18h 36m 56.3s |
赤緯 (Dec, δ) | +38° 47' 01" |
視線速度 (Rv) | 13.5 km/s |
固有運動 (μ) | 赤経:201.02 mas/yr 赤緯:287.46 mas/yr |
距離 | 25.27 光年 (7.751 パーセク) |
絶対等級 (MV) | 0.58 等 |
物理的性質 | |
半径 | 2.73 R☉ |
質量 | 2.6 M☉ |
自転周期 | 12.5 時 |
スペクトル分類 | A0Va |
光度 | 51 L☉ |
表面温度 | 9,300 K |
色指数 (B-V) | 0.00 |
色指数 (U-B) | −0.01 |
金属量 | 63%(太陽比) |
年齢 | 3.5 × 108 年 |
■Project ■Template |
ベガ(ヴェガ、Vega)はこと座のα星で、こと座で最も明るい。全天では5番目に明るい。七夕のおりひめ星(織女星)としてよく知られている。わし座のアルタイル、はくちょう座のデネブとともに、夏の大三角形を形作っている。
純白のA型主系列星であり、“純白”と言う言葉の定義とされている[要出典]。標準的な0等星だが、0.19日の周期で僅かに変光するたて座δ型変光星である。変光範囲が0.01等~0.04等と小さいため、眼視観測では変光はわからない。太陽からの距離は25.3光年で、毎秒13.5キロメートルで接近している。
2003年には、惑星系が形成されつつあることが分かった。当時約100個ほど発見されていた惑星系のほとんどが、主星の近くを木星型惑星が高速で公転しているもの(ホット・ジュピターと呼ばれる)だが、この惑星系は太陽系に近いものである可能性がある。
2006年には、自転周期が12.5時間という高速で自転しており、その速さは遠心力でベガが自壊する速度の94%に達していることが判明した。このため、極付近と赤道付近では大きな温度差が生じている。
地球の歳差運動により、およそ12000年後には北極星になる。その頃にはベガまでの距離が24.7光年になると推算されている。
[編集] 名称
- 固有名をヴェガというが、理科の教科書や図鑑類に見られるためあまりに有名であり、旧式のベガと表記されることが多い。語源はアラビア語の al-Nasr al-Waki' (アン・ナスル・アル・ワーキ、「落ちつつあるハゲワシ」の意)だが、これは本来、こと座のε星、α星、ζ星に対する一種の星座名である。Λ型の並びを、通例、ハゲワシが獲物をねらって急降下している姿と解釈されているが、アラビアの天文民俗学者アッ・スーフィーが伝えるところでは、ハゲワシが木の枝につかまって羽を折り畳んで休んでいる姿を示したものである。ゆえに、アラビア名は「(木の枝に)留まっているハゲワシ」と訳さなければならない。
日本語の表記は英語形の Vega に、英語形はラテン語形を流用したものなので、「ウェガ」のように発音するのが正しい。ドイツやフランスでは Wega と綴るのが一般的である。
かつてはラテン語訳してウルトゥル・カデンス (Vultur cadens) ともいった。
- ベガはアラビア語源の固有名だが、ラテン語起源の固有名をリュラ (Lyra) といい、19世紀まで使われた。見てのとおりこと座のラテン語名と全く同じなので、混乱を防ぐために敬遠された。
- これを継承して、英語では the Harp Star (琴星)ともいう。また、白く明るく輝くことから、「空のアーク灯」(the Arc-light of the Sky) というニックネームもある。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- アストロアーツ「天文ニュース」 - 太陽系に似た惑星系存在の新たな証拠