ハルフォード・マッキンダー
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サー・ハルフォード・ジョン・マッキンダー(Sir Halford John Mackinder, 1861年2月15日 - 1947年3月6日)は、イギリスの地理学者、政治家である。ハートランド理論を提唱し、この概念は地政学の基礎的な理論付けとなった。事実上の現代地政学の開祖ともいえる。
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[編集] 経歴
[編集] 生い立ち
1861年、イングランドの東部にあるリンカンシャーでスコットランド系の医者の長男として生まれる。若い頃から周囲の自然に興味を示し、オックスフォード大学では生物学を専攻しようとしたが地質学や歴史や法学を学び、そのいずれにも頭角を表した。法学の分野においては弁護士の資格を取得している。その後も自然に関する関心と情熱は止みがたく、広く国内を旅行して、自然科学と人間社会を結びつける中間的な概念としての「新しい地理学」を提唱し、学会の注目を引いた。ちょうどその頃、イギリスの王立地理学協会(the Royal Geographical Society)では、地理を大学の正規の講座に昇格させる為の猛烈な運動を始めていた。それで1899年にオックスフォード大学が地理学院(the Oxford School of Geography)を開設したとき、マッキンダーはその初代の院長に迎えられた。さらに彼は1904年にロンドン大学に新設された政治経済学院(the Economics and Political Science)の院長に就任し、その後20年に渡って同学院の経営に専念するかたわら、経済地理の講義を続けた。この学校の卒業生や留学生の中から英連邦諸国の政治家や外交官を輩出している。
[編集] 政界へ
マッキンダーは学生時代から政治にきわめて強い関心を持ち、1900年に自由党から立候補して落選した後、1910年に保守党と自由党の一部が参加した統一党として下院に当選を成し遂げ、1922年の選挙で敗退するまで下院に議席を持っていた。その交友の中には、L・S・エーメリやミルナー卿など、当時の有名な政治家の名前がみられる。だがその後の出馬を断念したのは、おそらくはその学究肌が下院の空気と合わなかった為とみられる。にも関わらずマッキンダーの祖国イギリスと世界の現状を憂うる発言は高く評価され、とりわけ第一次世界大戦後の平和体制や国際連盟の構想を考える上での色々な参考にされた。ドイツとオーストリアの連合勢力を敗北に導いた最大の功績は、とりわけ英国海軍が主として行った大陸封鎖の作戦にあったので、その講和における発言力もまた相応に大きかった。マッキンダーは第一次世界大戦を基本的にユーラシア大陸の心臓部(ハートランド)を制覇しようとするランドパワーと、これを制止しようとする海島国(イギリス、カナダ、アメリカ、ブラジル、オーストラリア、ニュージーランド、日本)の連合およびフランスやイタリア等の半島国、言い換えればつまりシーパワー、との間の死活をかけた闘争であると見た。そして、今後の世界の平和を保証する為には、東欧を一手に支配する強力な国家の出現を絶対に許してはならないと力説した。マッキンダーの国際連盟の構想は、いわばこの目標を実現することに賭けられていたといっても良い。戦後の1919年から1920年にかけては南ロシアにおける英国の高等弁務官としてオデッサに駐在し、白軍勢力をまとめることに苦労したが、これは成功しなかった。しかしこのような国家的功績によって、ナイトの称号を授けられる。その後マッキンダーはいくつかの公職を歴任しているが、その主なものとしては、1926年に枢密顧問官に就任したことと、それから1920年以降1945年に至るまでイギリスの船舶統制委員会の議長を務め、1926年から1931年に至るまで、英帝国経済委員会の議長も務めている。
[編集] 晩年
第二次世界大戦の最中、マッキンダーが82歳の時に、アメリカの雑誌フォーリン・アフェアーズ(1943年7月号)に「球体の世界と平和の勝利」(the Round World and the Winning of the Peace)という題で最後の寄稿をしている。
1947年3月6日にドーゼットの自宅で死去。
[編集] 著書
- Britain and the British Seas, (W. Heinemann, 1902, 2nd ed., 1922).
- The Rhine: its Valley & History, (Chatto & Windus, 1908).
- India: Eight Lectures, (G. Philip & son, 1910).
- The Teaching of Geography & History: A Study in Method, (G. Philip, 1914, 2nd ed., 1918).
- Democratic Ideals and Reality: A Study in the Politics of Reconstruction, (Constable, 1919).(曽村保信訳『デモクラシーの理想と現実』原書房, 1985年)
- The Modern British State: An Introduction to the Study of Civics, (G. Philip, 1922).
[編集] 関連項目
- 地政学 - ハートランド - ランドパワー
- 地理学
- ニコラス・スパイクマン