ナラクーバラ
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ナラクーバラ(nalakuubara नलकूबर)は、インド神話に登場する半神。プラーナ文献にいくつかの説話が残されている。
アグニ・プラーナではナラクヴェーラ (nalakuvera नलकुवेर)と呼ばれる。 クベーラの子で、マニグリーヴァ(maNigriiva)の兄。一説に、妻はラムバー。
また、後に仏教の主護神として中国に伝えられ、更に道教に取り入れられて哪吒三太子となった。
バーガヴァタ・プラーナには、ナラクーバラが兄弟と共に呪いを受けて木の姿にされた事が記されている。 シヴァ配下のクベーラの子であるナラクーバラとマニグリーヴァは、贅を尽くし、酒色に溺れる生活を送っていた。ある日、したたかに酩酊していた二人は、通りかかった賢者ナーラダに無礼を働いてしまう。その際、二人の態度を嘆いたナーラダは、反省を促すべく、二人に樹木に変身する呪いをかけた。輝く双生樹となり、身動きの取れなくなった二人が前非を悔いた後、その呪いは幼いクリシュナによって解かれ、二人はクリシュナに出会えた事を喜ぶと共に、ヴィシュヌに帰依した。
また、マハーバーラタには妻のラムバーを犯した魔王ラーヴァナに呪いをかけた事が記されている。詳しくはラムバーの項を参照。
馬鳴による佛所行讃(en:Buddhacarita)には、釈迦族の王子であるゴータマ・シッダールタの誕生は、天部におけるナラクーバラの誕生と同程度の慶事であった、と記されている[1]。また、これは曇無讖によって漢訳されており、現存する漢籍では、ナラクーバラに言及した最古のものであると考えられている[2]。
毘沙門天王生那羅鳩婆 |
毘沙門天王に、那羅鳩婆が生まれて、 |
- ^ with all the surrounding inhabitants, was full of gladness like the city of the lord of wealth, crowded with heavenly nymphs, at the birth of his son Nalakûvara.
サンスクリットからの英訳. Buddhist Mahâyâna Texts(Oxford, the Clarendon Press, 1897) E. B. COWELL訳 The Buddha-karita of Asvaghosha[1]. - ^ 二階堂善弘『哪吒太子考』[2].
- ^ 佛所行讃卷第一亦云佛本行經,馬鳴菩薩造北涼天竺三藏曇無讖譯.大正新脩大藏經テキストデータベース[3].